セラムン二次創作小説『無限に広がる孤独の中で』


あれからどれだけの時が過ぎたんだろうか?

繰り返される殺戮

長く苦しい戦い

現れた敵、セーラーカオスは強く巨大で…

どんなに抗っても、どれだけ戦っても勝ち目もなくて…

次々と仲間も失ってしまって…

大切なあの人も、逝ってしまった

またあの時のように1人きりに…


繰り返される激しい戦いをたった1人で挑む日々

気が遠くなりそうだった

現に気が遠くなってしまって、いるべき宇宙(ばしょ)から全てを捨てて逃げ出した事もあった


逢いたかったの…

みんなに、そしてあの人に…

でもそれも勇気が持てなくて、結局あの人を失った後の地球に降り立った


あの人を見てしまったら溢れる想いが止められず、我を忘れてその暖かな胸に飛び込んで行ってしまいそうで…

優しさに甘えて、本来いるべき宇宙(ばしょ)に戻れなくなりそうで…

この時代の彼は月野うさぎの、ずっと前の私の恋人なのに、忘れて取ってしまいそうで…

流石にダメだと必死で自分を律した


姿形を変え、月野家へ行き育子ママにあい、ちびうさを受け入れてくれた様に、何者かも分からない私を暖かく受け入れてくれた

やっぱり育子ママは偉大な母親だと安心した


特に名前も何も決めず昔の自分やみんなに会ったけど、「新手が来た」って大騒ぎして2人目の子供だとかちびうさの子供だとか好き勝手騒いでて、やっぱりこういう雰囲気好きだなと思った

「ちびちび」なんて名前を付けて可愛がってくれた

美奈Pの真似して困らせたりするのも楽しかったし、こういう何気ない日常がとても懐かしくて心地よかった


小さな見た目の私を育子ママの様にみんな楽しそうに受け入れてくれたのも、仲間ってやっぱりいいなって再確認出来た

やっぱりこの見た目で何でもない無邪気で陽気な幼女になってみんなに会いに来て良かった


そして過去の私、“エターナルセーラームーン”に勇気を貰った


「希望と未来を捨てないで

あたし達の希望の星は決して消えたりしない

星が輝き続ける限りあたし達は大丈夫、負けないから」


そう言ってコルドロンの中になんの躊躇もなく飛び込み、全てを包み込み銀河を救った過去の私は、真のセーラーコスモスとしての姿

全てを捨て去る勇気の力と全てを受け入れる勇気の力

忘れかけていた無限の力


この時のセーラームーンは今の私より比べ物にならない程、本物のセーラーコスモスだった

私はただの偽物で臆病者の名ばかりのセーラーコスモス

私の今の姿形はセーラーコスモスでも、エターナルセーラームーンの方が余程セーラーコスモスの名に相応しい

この時の私も1人孤独に戦い、辛い思いをしていたはずなのに…

叶わない、そう思ったと同時にとても励まされた

そしてもう一度頑張ってみようと思えた


「伝説の最強の戦士セーラームーン」

そう称えられ、その時の私はただ擽ったくて歯痒くて…

そんな大した戦士じゃない

仲間の為、愛する人の為、大好きな場所を守る為、ただただ夢中で戦ってきたに過ぎなかった

でも、過去に来てエターナルセーラームーンの最後の勇気と力を見て本当にそうだと客観視出来た

別に過去の自分を神と崇めたいわけじゃないけれど…

そんな大それた存在なんかじゃないけれど…


ありがとう、エターナルセーラームーン



だから過去に来たタイミングはやはりあの場所からで良かった


もしも渡米する前まで遡り、まもちゃんに逢っていたりすればまた後悔していたかもしれない

過去が変わっていた、変えてしまったかもしれない

過去の私を傷つけ、励ましてもらうことも救われる事も、報われる事もなかったかもしれない

ただただ愛に生き、戦いを投げ出す無責任なヒロインになってしまっていたかもしれない

正しい道を選ばせる為に来たのに、結果私自身が気付かされてしまった

これで良かったのだと




けれど…




戦士になりたての頃からいつも私に力を与えて、優しく支え、時に厳しく叱咤激励してくれたあの人…


「泣くな!やるなら今だぞ、セーラームーン」

あの時のようにコスモスとなった私にもエールの言葉を送って欲しい

きっと頑張れる気がするの


「ずっと傍についてる、セレニティ」

そう言ってくれたけど、今はずっと1人貴方を想い孤独な宇宙を総べる番人


戦士になりたてから1人ではなく、共に戦う仲間がいたから心強く、巨大な敵に立ち向かえたけれど

今はたった1人、孤独に戦う戦士となった


1人は寂しい

1人は辛い

1人は怖い


「孤独とはもっと無限に広がるもの」

ウラヌス達が教えてくれた本当の孤独、今ならよく分かる

ウラヌス達はその中でもシルバーミレニアムのクイーンと前世の私の姿を思い浮かべた

それは一筋の光だったと言ってくれた

今いる場所から月も地球も見えない私は、ウラヌス達にとっての私は、私の中ではまもちゃん、貴方なの

貴方が私にとって希望の光


瞳を閉じればあなたが瞼の裏にいることで、どれ程強くなれたか

どれ程の勇気を貰えたか分からない


挫けそうな時はいつも貴方を想い浮かべて1人じゃないって胸の中の星を光輝かせて力をと祈っているの


そして貴方が私にくれた言葉の数々


「君は君の道を迷わず信じて進んでいいんだ。だから君は迷わず戦え」

この言葉にどれだけ支えられ、自分を信じて戦えたか

銀水晶と私がどれだけ救われたか計り知れない


「心を強く持て!この星を奴らに渡してもいいのか!?奴らを倒してこの星を守るんだ!!」

そう、心を強く持って自分のいるべき宇宙(ばしょ)を守らなくてはいけない


いつだってあの人が欲しい言葉をくれた

これらの言葉を胸に私は強く凛々しく戦おうと奮い立たせるの


でもふと考えてしまう

もし今貴方がいてくれたらと

傍にいてくれたら今の私にはどんな言葉をくれるのだろうか?

そんな事を考えてしまう


私はずっとここにいるわ

ずっと貴方を待ち続けているわ


コルドロンがある限り又星は産まれるもの

全てが有り、全てが無くなる場所


だから亡くなってしまった貴方もきっとまた生まれる代わると信じている

例えどんなに姿形が変わろうともあなたの事はきっとすぐに分かるわ

貴方を包む暖かなオーラはいつだって不偏だもの


エンディミオンの時も

タキシード仮面の時も

そして地場衛である時も

勿論キングの時もね


ずっと変わらず胸の中の星を輝かせて待ち続けるわ

だからまた一緒に大切な場所を守っていきたい




思えばいつも見送る側だった


セレニティの時も

セーラームーンとしても

月野うさぎの時も

ネオクイーンセレニティの時だって


いつも貴方を目の前で救えず先に死なせて逝かせてしまった

貴方を失い、絶望のドン底だった




どうしてまたあの時のように1人孤独に戦わなければ行けなくなったのか?

まだセレニティとして神の掟に背き、禁断の恋に溺れたずっと前の前世の所行が許されていないの?

セーラームーンとしてずっと戦う日々はセレニティの時に犯した罪の禊だと思っていたけれど、まだ続いていたのかと思った事もあった


でもまた貴方と巡り会い、恋をする為に必要な時間なのかもしれない

貴方に会った時に喜びもひとしおになるように

孤独を知ってあの人と同じ時間を過ごせる幸せを感じられるように


その為に必要な孤独の時間だと考えれば耐えられる、そんな気がする




ーまもちゃん


大好きよ


初めて恋した たった1人の貴方


もしも 生まれ変わっても

きっと また 貴方に 会うわ


きっと また


恋をするわ 私たち



そう、何度生まれ変わっても私は貴方に恋をする



そして今度こそ貴方と同時に生を終えたい


それが私の願いだからーー





おわり



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