セラムン二次創作小説『とあるファーストフード店で(ゾイ亜美)』


『とあるファーストフード店で(ゾイ亜美)』


奇跡的に外で普通のデートが出来ることが出来たこの日、いつも以上にどこもかしこも混んでいて昼食をゆっくり食べられる所がなく右往左往していると珍しく亜美からここに入りたいと言われ了承した。


普段滅多に入らないファーストフード店“ファーストキッチン”と言うお店の勝手が掴めず戸惑う彩都を余所に、手慣れた感じで注文をとっていく亜美。


その姿はとても活き活きしていて、参考書がその手に持っていなくとも、水の中にいなくとも水を得た魚になっている事に彩都はとても驚いた。

メニューを見ると亜美の好きなサンドイッチがラインナップされていて、なる程と納得するに至った。


「彩都さんの分も頼んでおきますね?」


手馴れているからか珍しく積極的にテキパキとリードしてみせる。行き慣れてる感凄いわね?


メニューは彼女に任せ、席を取って待っておくことにした。


暫くしてやって来た亜美はとても上機嫌で鼻歌を歌う勢いに楽しそうだった。テイクアウトでも無いのに紙袋が2つとサンドイッチ4つに飲み物2つに疑問が湧き上がる。


「その紙袋は何?サンドイッチでもテイクアウトしたの?」

「いいえ、これ、ポテトフライなんですよ。これをこのままの状態でシェイクするんです」


説明しながら紙袋を激しく振り始めた亜美はやっぱり楽しそうな顔をしていた。

振り終わった中身を見せてくれたポテトフライは満遍なく粉が付いていて、食べると塩じゃなくピリッと辛い明太子味とバター醤油味の2種類だった。


「普通に美味しいわね?ポテトフライをシェイクするなんて斬新ね?思いつきもしなかったわよ…」

「このファーストキッチンの売りはそこなんです!ポテトフライをシェイクして食べるのが醍醐味で、来る人もこれがしたくて頼むんですよ!」


サンドイッチが好きでここに買いに来る事があり、その過程で知って時々ポテトフライも頼むようになったと教えてくれた。


その後、無類のサンドイッチ大好き天才少女は私の分のサンドイッチまで平らげ、挙句夕飯の分もと言って大量にサンドイッチをテイクアウトしていた。どんだけ好きなのよ?


今まで不規則な女医の母親と2人暮らしで、ご飯類はどうしているのかと思っていたけどこういう店で学校帰りとかにテイクアウトしているのかと考えに至った。

サンドイッチって作るの結構めんどくさいから勉強の時間結構裂いてしまうと思うから、自分で作ったりしないだろうし。

今はウーバー○ーツや出○館もあるからわざわざ買いに行かずとも電話やネット一本で済むしね。


サンドイッチの前では天才少女もただのバカになれるらしいと知れた面白い1日だった。





おわり



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