セラムン二次創作小説『ありがとう、さよなら(クンヴィ)』



『ありがとう、さよなら(クンヴィ)』




“君の恋は永遠に叶うことはない”


久々に再開したあの人は、やっぱり又、敵の手に落ちていた。

前世の時と同じように、私の前に敵として立ちはだかった。

どうしてまた敵の手に落ちたの?なんて無駄な事は聞かないわ。

歴史は繰り返される。そう言う運命。

私の恋は永遠に叶わない。

エースにそう言われた時から、覚悟はしていた。出来ていた。はずだった。

だけど、現実を突きつけられると辛い。


“戦い続けろって運命”


私はプリンセスを守る戦士。だから彼と、戦うわ!


しかも、久々の再開のこの日、プリンセスに攻撃をしてくるなんて!

エンディミオン王子を奪取して行くなんて……。

一体、どういうつもりなの?何を考えているの?

分からなくて辛い。


“私は好きになった男の人を、自分の手で倒して行く運命”


エースを倒した時に、自分のこれからの運命を受け入れた。

私が何より大切なのは、この世でたった一人だから。

その人を守る為なら私は、好きな男さえもこの手で殺めるわ!


私は、前世でも敵として私の前に立ちはだかった大切な人をこの手で殺した。だから大丈夫。

今回だって、敵として目の前に現れたのだから、あの時と同じ。一思いに出来るはず。


そして、その時は訪れた。

プリンセスを殺そうとしたクンツァイト。

やる事はただ一つ。

プリンセスの守護戦士のリーダーとして、あなたをこの手で殺してあげるわ!


「皆!力を合わせるのよ!ヴィーナス・パワー!」

「マーキュリー・パワー!」

「マーズ・パワー!」

「ジュピター・パワーッ!」

「セーラームーン!スティックでバリアーを!!」

「セーラー・プラネット・アターック!」


四天王リーダーであり、三人より強い。私1人じゃ勝てない。そう感じたから、リーダーとして下した判断だった。

4人で倒す。それが、強いクンツァイトへの私の敬意だった。


一思いに砂となり、石となり、クンツァイトは死んでしまった。案外と呆気ない最期だった。

不思議と悲しくは無かった。

プリンセスが生きている事が私の生き甲斐だから。それだけで良かった。


クンツァイト、前世からずっと、ずっと愛していたわ。

プリンセスの幸せだけを、戦士としてプリンセスを守る為だけに生きて来た私に、本当の愛を、人を愛する喜びを教えてくれた唯一の人。

女性として、恋をする事の素晴らしさと幸せを教えて気付かせてくれた唯一の人。

きっとこれからもあなた以上に好きになる人は現れない。

愛したことも、殺した事も後悔なんかしてないわ。

だけど、これだけは言わせて?


「ありがとう、さようなら」


愛の女神に愛されて、殺されたんだから、あんたも幸せ者よね。なんてね!






おわり



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