セラムン二次創作小説『銀髪に魅せられて』




今私の目の前にいるのは紛れもなくプリンセス・セレニティその人だった。

時代は変わり、姿形も変わったけどプリンセスとして覚醒し、前世の記憶が戻った彼女“月野うさぎ”はあの頃のプリンセスその物だった。


前世での私はプリンセスの銀色に輝く長く綺麗な髪が大好きだった。

その髪の色に憧れていた。

守護星である月と同じ色に輝くその髪はとても魅力的で、繊細な髪質だった。

そんなプリンセスの髪をお団子に結うのが彼女にお仕えした時からの私の日課になっていた。

髪が伸びるのもとても早くて、それをカットするのも私の役割り。

プリンセスの髪質を誰よりも、それこそクイーンよりも熟知し、髪の全てを任されていた。

ーーと言っても“髪の毛を洗う”と言う行為だけはしてはいなかったけれど。そして乾かす事も必要なかった。

銀色のその髪はどういう訳か乾きやすく、乾かす必要性が無く、唯一そこだけが私の不満だった。

不思議に思った私は一度プリンセスに乾かさなくてもいいのか質問した事がある。


「濡れるけど弾いてすぐに乾いてしまうの」


ガラスの様に銀色に光る髪に相応しく、弾いてすぐに乾かないことがないみたい。プリンセス自身にも分からない不思議な髪質。

そんな不思議なプリンセスの銀色に輝く髪にとても憧れていた。



そして現世でプリンセスとして覚醒してから1週間、ずっと引きこもっていたプリンセスを心配して見に来てみれば、髪の毛が随分と伸びていた。

記憶を急激に取り戻した事による変化とプリンセスであった頃に髪が長かった事による影響だろう事は明らかだった。

記憶だけじゃなく、身体ごとプリンセスになろうとしているみたい。とても懐かしかった。


前世のあの頃のように現世で初めてお団子を結って、髪の毛も切ってあげる。とても感慨深くて込み上げるものがあった。

髪の毛の色はかつての銀色ではなくなってしまっているけれどーー。

髪質もあの頃とは違うけれど、それでもとても魅力的で美しい金髪。


だけど彼女はそんな身体の変化に戸惑っていて感情が追いつかないみたいだった。

その上、前世からの恋人であるタキシード仮面は敵に囚われてしまっている。

銀水晶の使い方も分からない。


そんなプリンセスの、うさぎちゃんの力になる為に前世と同じようにずっと傍で支えてあげたい。

そして今度こそ前世では掴めなかった幸せをこの世界で掴んで欲しい。




おわり



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