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にばんせんじ

既成の言葉しかないからわたしの表現はいつだって二番煎じで、目新しいものなんて一つもないよ。あの子の言葉はいつだって新しい、同じ世界にいるのに見えてる世界は違うんだから嫌になっちゃうな。同じように見えてたらあの人が死ぬこともなく、みんな笑っていたかもしれない。かもしれないかもしれない、if の世界が大好きだ。絶対なんてひとつもないけど事実は幾つでもあるね。
わたしを見て欲しい。わたしのことなんて知らなくていいからわたしを見て、わたしから吐き出されるものたちを褒めてほしい。明日には今日と違うことを言っているだろうけど。

言葉以外の表現方法が欲しかった。絵でも音楽でもなんでもいい。直接的すぎてわたしの全部が現れてしまうような、言葉を捨てて、もっとぼんやりとしたものの中でわたしが欲しかった。絵や音楽に失礼だね、彼らだって全身全霊だ。
今が全部なわけじゃないよ、でも普段は見せないわたしを普段と同じように言葉で見せてしまったら、いったい何が変わるというのだろう。

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