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さいのう

夢は眠るときにみるものだから夢なんてもたなくていいし、自分の才能だってわからなくていいよ。雑踏の中で君だけが立ち止まっていたとしても、それは大したことじゃない。

通りすがり、お互いにお前は何者だと囁きあっては答えられずに逃げていくこの世界で、人々は皆立ち止まった瞬間に飲み込まれてしまうと信じて 今日もせわしなく歩いたり、走ったりしている。
おととい、あの人がいなくなったらしい。理由は立ち止まってしまったからです。
どこからともなく漂ってきた噂は風にのって今日も君の周りを取り囲んでいくけれど、君の未来はそこにはないし、もっと昔、立ち止まった人たちが残したものが君を守ってくれるだろう。

立ち止まれることこそがきみの才能だ。

でもそれを君は知らなくていい。いつか君がいなくなったこの世界で誰かが君の夢をみるその日まで。

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