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#13.地方紙×ウェブ編集×WSD


(1)普段おこなっている活動は?

地方紙で9年間記者として勤務し、2023年春からはウェブ編集を中心とするデジタル業務を担当しています。

(2)WSD受講のきっかけは?

受講を決めた当時は、新聞というメディアと距離ができつつある若者にフォーカスを当てた取材に取り組んでいました。様々な若い世代と会って話を聞いてきましたが、その本音になかなか近づけない気持ちがしてもやもやとすることもありました。一方、地方紙の記者をしていると取材先の学校にキャリア教育の授業などの講師として呼ばれることもあります。その時に少しでも生徒さんたちが参加意識をもてるようにと自分なりにワークショップ的な活動を企画していました。すると私が想像していた以上に互いに言葉を交わしてワークに集中してくれている姿を目の当たりにしました。

それ以降、私が話を聞くだけでなく、場をつくって話してもらうことで浮かび上がる当事者の気持ちや考えがあるのではないかと考えるようになりました。コミュニケーションが活発で参加者にとっても意味のある場をつくれるようになりたいと考えていた時、SNSでWSDの受講生募集の投稿を見つけ、完全オンラインで参加が可能なことを知りました。実はその前からWSDの存在は知っていましたが、通学の問題からリアル参加は到底難しいと諦めていたため、「もう受けるしかない!」と飛びつくような気持ちで申し込みました。当時の所属も時間に比較的余裕がある部署であったため、何とか走り切れるだろうと勢いで決めました。給付金が受けられる講座であったことも大きな後押しになりました。 

(3)オレンジコースとブルーコース、選んだのはどっち?

現在住んでいる地域からは飛行機を使わなければ首都圏に行けないため、通学が必要なオレンジコースは難しい状況でした。オンラインツールが普及し、居住地に関係なく様々な体験ができる世の中ではありますが、それでも自分が学びたいことを学べる環境がなく諦めることもあります。そんな中で完全オンラインのブルーコースの存在は本当にありがたく感じました。

ブルーコースの良さはやはり、どこにいても学ぶことができるということです。同期には全国様々な場所で多様な活動をしている人が集まり、普段の生活では得られない出会いがたくさんありました。また、オンラインなのでその日の都合に合わせて授業を受ける場所も選べます。仕事や家庭でイレギュラーなことがあった時も受講を続けることができました。一方、WSDでは受講生同士でコミュニケーションをとる時間がかなり多くなります。オンラインだからこそ直接のやりとり以上に集中し、相手の思いを察したり細かな対応が必要になるため、授業や打ち合わせが終わった後にはへとへとになることもありました。

(4)WSD受講で最も印象に残っていることは?

チームでワークショップを企画、実施する実習が一番心に残っています。実習のための打ち合わせは授業中にも時間を設けてもらえますが、良い企画にしようとすればするほど時間が足りず、授業日以外にもオンラインで話し合いを続けました。WSDではただワークを組み合わせてワークショップをつくり上げるのではなく、参加者にその場で何を学んでもらいたいのか、いかにコミュニケーションを引き出すかをとことん追求していきます。そのため実習の企画段階では、課題の捉え方からファシリテーターの使う言葉一つまで本当に細かく検討を重ねました。時には遅くまで話し合っても何も決まらない日が続き、「私は何のために学びに来ているのだろう」とパソコンの前から立ち上がれないこともありました。

ですがある日、それまでの膠着状態が嘘のように、チームのメンバーのアイデアが化学反応のようにつながって企画の形ができ、本番では参加者の素敵なアイデアや表情に触れることができました。その時心から湧いてきた「頑張ってよかった」と思う気持ちとそれをチームで分かち合った経験は今でも忘れられません。

誰かとひとつのものをつくること、それも全くバックグラウンドが違う多様な人と一緒に動いていくことははっきりといって苦労が多いです。それでもひとりでは到底考えつかないことを実現できる、大きな可能性に満ちた営みだと知りました。多様性は面倒だけど、素晴らしいー。そんな人生の大きな気づきを得られたと今では思います。

(5)現在の活動に活かしているWSDでの学びは?

記者職からデジタル担当の部署に異動したことをきっかけに、社内で学びや意見交換の場を開く機会が増えました。WSDで学んだことの中で今も特に意識するのは「はしごかけ」やコンセプトの大切さといったプログラムデザインの考え方です。記者時代に学校などでワークショップを企画していた時はワークの面白さを重視してプログラムを構成していました。ですが今は、自分が開く場に来てくれた人にどんな学びや体験をしてほしいかという目標をじっくりと考えることから始めています。その上で、その目標に近づきながらも参加者同士が無理なく、自然にコミュニケーションがとれる、細かな工夫をするようになりました。まだまだ経験が足りず、今はひとりで企画をしているため完成度は決して高くはありません。ですが、「話を聞くだけでは浮かび上がらない気持ちや考え方を引き出したい」という私がWSDを受講するきっかけになった思いを叶えられる日を目指して、今後も研鑽を積みたいと思います。

(6)WSD受講を迷っている人へのメッセージを!

仕事や日々の生活で忙しい中、学び直しにチャレンジをすることはとても勇気がいることだと思います。また、ワークショップに興味があっても、今の日常に直結していない方はことさら受講を迷うのではないかと思います。私も日頃から頻繁にワークショップに関わる機会があったわけではありませんでした。ですが、WSDではワークショップに関する学び以上に多くの得るものがありました。自分の思ってもいなかった強みや改善点に気づいたり、誰かと協働することの意味に気づいたり、人として成長していくためのヒントをたくさん見つけることができました。ワークショップやコミュニケーションについて少しでも興味があれば、一歩踏み出してみることをお勧めします。必ず自分の世界や視野を広げられるはずです。

(7)これからの展望は?

WSDの受講時は新聞記者でしたが、今は社内のデジタル施策を中心的に担う部署にいます。どんなに時代が変わっても「伝える仕事」を続けていくために、社員同士で新しい知識を学んだり、これまでになかった課題を一緒に解決したりしていく必要性が高まっていると痛感しています。縦割りの働き方が根強い業界ではありますが、まずはどんなに小さくてもいいので、社内で学び、話す場を積極的に企画していきたいと考えています。プログラムデザインやファシリテーションのスキルもまだまだ未熟なので併せて学習を続けていきたいです。

多様性は面倒だけど素晴らしいという、そんな人生の気づきをWSDで得てくださっていたとは! 修了後に部署が変わられたそうですが、どんな部署においても(仕事以外の場でも)、WSDの学びを活かして活躍されていくのだろうなと思います。これからもぜひ共に学んでいきましょう。ありがとうございました!