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食べることは、生きること。

食べたものが身体を作る。だから食べることは、生きること。
これはよく言われることだけど、真理だと思っている。
ただ、もうちょっと欲張るなら、こう言っておきたい気持ちもある。

食べることは、身体も、思い出も作る。
だから食べることは、生きること。
細かすぎるこだわりだけど、毎日のどんな食卓、食事にだって、必ずそれぞれのシチュエーションがあって、同じ食事は二つとないはず。
だからこそ食べることそのものが思い出になり、人生が積み重なる。
すなわち、食べることは、生きること。

個人的な「食」へのこだわりが強すぎるが故の、超わがまま理論だとは自覚しているのだけれど。
食事は作業だと思いたくない、その一心。
人生で口にできる食事の回数は限られていて、その最大回数を持っているのは今。
だったら、食べるもの、食べる相手、食べるシチュエーションは妥協したくない。
なんて毎食思いながら食べている面倒な人間が私です。

文章を書くときもそのこだわりは捨てられず、食事や食べ物の描写に力が入りがち。
だって食事シーンこそ、臨場感がなくちゃ。
生きることそのものの描写だから。

一時期、Facebookに食べたものレポートをひたすらアップしていた頃があり。
記事を作りながら思い出に浸り、味の追体験を楽しんでいた。
今はもう更新しなくなってしまったものの、その名残で食べ物の写真だけは撮り続けている。
(Instagramに載せるわけでもない、ただの地味な食事記録の数々を)
もう一回、食事レポ復活してみようかなぁ。

ちなみに私が今も忘れられないのは、NY・LVから帰国した足で行った、下北沢のお寿司屋さんで飲んだ生海苔の味噌汁。
サンドイッチやドーナツばかりにさらされた口内に広がる、味噌と出汁と海苔の香り、甘さ、温かさ。
今でも思い出すと泣けるし、それだけでご飯2膳はいけちゃいそう。
故郷の味を感じている自分と、感じるに至った背景と。
このどちらも人生の一部分。

そしてごはん系エッセイも大好きなのだけど、
西加奈子さん『ごはんぐるり』は全人類の必読書にしたいくらい。

休日の午後、まどろみながら読むのがおすすめ。
その日の晩ご飯のメニューやお店を考えながらわくわくすること必至。

今は家族も増え、自分だけの好みでは決められない献立も、
思い出が増えていると考えれば楽しく決められる、はず。
これからも食欲に貪欲に。


写真は、小笠原諸島父島のカフェにて。
南国のフルーツ茂る庭を眺めながらのコーヒーとスイーツ、最高でした。
小笠原の、湿度の高い空気にまとわりつく、緑茂る色と香り。
そこで口に含むコーヒーの苦味と、シフォンケーキのふわふわに、ぽってり生クリーム。
匂いも味も、それにまつわる感情すらも思い出せるから、食べることは生きること、なんだと思ってる。

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