見出し画像

#6 イギリス大学院の授業で、日本語を使った時の話

書くたびに久しぶりのイギリス留学時代の話。

イギリス大学院の開発学部には日本人学生が結構いる。私の同期には20人くらいいた。それだけいると、授業もかぶればワークグループもかぶる。

Health and Development、そのまま健康と開発という授業を履修していた時のこと。急な教室変更があった影響だったのかもしれないけれど、グループワークなのに4人のうち2人が来なくて、私と日本人の友人だけが出席したワークショップがあった。事前課題で出されていたリーディング(短い論文記事4本くらい)の内容をまとめて発表するって言われてた日だったんだけど、成績には入らないから来なかったのかなあの2人。

2時間程度で、パワーポイントの資料を作成してその後のプレゼンの準備をしないといけない。来なかった2人は日本語を話さないので普段グループの会話は英語だったけど、私は友人にもちかけた。
ー相談は日本語でやろう。今の目標はプレゼン資料の完成と発表の成功であって、英語の上達じゃないから。日本語で成果物の精度の方を上げたい。
で、ガンガン日本語で話した。

作業中に回ってきた先生は私たちに聞いた。
「日本語で相談してるの?英語じゃなくて?」と。
ー日本語でやります!その方が効率いいので!
と私は言ったが、友人は元々日本語でやるのに抵抗があったようで、その後は英語で話した。それも私は日本語で返したが。


作業の最中はまぁええやんくらいにしか思っていなかったのだけど、あとからこの状況すごく興味深いな、と思った。もしかして先生がああ言ったのって、先生がネイティブじゃないからではないか、と。

先生はアジアのご出身。まだ若く見えたけどドクターを持っていて、なぜか日本語とイタリア語もちょっと喋れて、英語で学部と大学院の授業をするくらいだから凄い人であるのはとてもよく分かる。都度その場の共通語を勉強されてきたんだろう。その分、あの場の共通語である英語を使わない私に疑問を持たれたんじゃないか。

私は私で、大学院は語学学校じゃないし学問的に質の高いものを出すほうが優先やろ、と信じてた。あの時一番困ったのは友人に違いない。

あまりに気になったので、自分の専攻である教育の担当教授と面談してた時に「どう思います?」と聞いてみた。教育の先生、ということもあるのかもしれないけれど、2人聞いて2人とも「え?いいじゃん日本語で。なんか問題あるの?」という反応だった。このお2人は、ブリティッシュネイティブだった。


もちろん皆が皆そうではない。でも、英語学習者のほうが他の英語学習者に厳しいこともあるのかも、と気づいた出来事だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?