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フォークの顔芸ヤッベェな!!!!〜銀河英雄伝説 Die Neue These (17)感想

 ギャグマンガ日和みたいな顔してたぞ!!!!!
 一時停止ボタンを押し、「ソードマスターヤマト!クーデター編!!!」とアテレコしたのは内緒だ(`・∀・´)

 いままで、帝国の麗しき変態であるフレーゲル男爵が、雨の中で金髪の小僧連呼をはじめ様々に強烈な変態ぶりを見せてくれていたが、フレーゲル男爵ばかりに押されていては同盟のメンツが立たない。今回、同盟のデンジャラス准将であるフォーク予備役准将がフレーゲル男爵にお株を取られた分巻き返しを図りにきt

 さすがその道にかけては天才的才能を持つフォーク。顔芸一個で大幅に同盟に加点がはいった。やっぱり帝国貴族なんぞには負けてられないという意地を感じる。

フレーゲル男爵に負けてたまるかああああ!!! って感じのフォーク准将

ウェークアップ!ハイネセン

 フォークが顔芸しながら軍のトップ・クブルスリーを暗殺未遂したため、「人格的な評価に乏しい」ドーソンが統合作戦本部長代理の任に着く。
 ビュコック提督は後悔していた。というのも提督自身は宇宙艦隊司令長官であったため、本部長代理を兼任することを避けていたからだ。たぶんビュコック提督という人はほいほい重職を兼任しないあたり、民主主義の鉄則というものを非常に叩き込まれている人なんだと思う。
 でもそんな人をしてドーソンが本部長代理に着くくらいなら俺が兼任したほうがマシ、というくらいなのだからドーソンの人格の悪さに想いを馳せてしまう。冷蔵庫にある名前の書いてあったプリンを食っちまうクチなんだろうな

人格的な評価に乏しいドーソン大将

 展開が深刻になりつつある局面で、テレビ番組「ウェークアップ!ハイネセン」に出ていたジェシカさんの美しい言葉が響く。

平和を願うジェシカさん。軍上層部のヤンさんと幸せになれる日は……(T ^ T)

「少年たちを犠牲にし、戦争を継続する。そんな社会が、正常であると言えるのでしょうか?」

 少年兵が爆発事故に巻き込まれたことについてコメントしていたのだが、少年兵が国家に公式的に認定されているという事実にふるえちまったよぉぉぉ!!!

 ジェシカさんの指摘は、もし軍学校の生徒に関するものであればビュコック提督の部下の「言いたいことを言ってますね」という怒りはもっともなんだけど、軍の整備工場で働いていた10代の少年兵に対する指摘だから、部下さんはとても人道的にズレた思想を持っている気がする。
 軍学校の生徒はまだ厳密には軍人ではなく、大人になってから軍人になる。けれど彼ら少年兵は軍人として正規の教育を受けているかはわからない。ひょっとしたら「虐待」に近い状態で働かされていた可能性もある。古今東西、少年兵というのはそういうことが起こりやすい。
 そして、そのひっかかりが、まさかあんな伏線になっているとは思わなかった。

右側の部下。まさかこの「言いたいことを言ってますねぇ」が単なるぼやきではなかったとは。

 さて、ヤンさんのウィークポイントにして、唯一手元に置いていない存在、それがジェシカさんだといえる。そしてそのジェシカさんが軍人にここまで嫌われているとなると、生きてヤンさんに会うことはできない……? 
 ヤンさんは同じ惑星で同じ空気を吸っているのにジェシカに会うことはできない。軍部のNo.3と反戦を標榜する政治家が、個人的に会うことなどできはしない。
 使い古された表現だけど、ロミオとジュリエットみたいに見えたし、今まで見たどのロミジュリモノよりも複雑で深刻なので心が苦しかった。ヤンさんはジェシカとそうなるのは良心だけではなく立場の重みが許さないだろう。ジェシカのほうも、きっとヤンさんへの感情を昇華して反戦を高らかに謳っているからなおのこと、ヤンさんに会えたとしても彼にその戦争への姿勢を糾弾せざるを得ないだろう。次会えたときは、ヤンさんがジェシカを処刑しなければならなくなっていた、……なんて事態はいやだなあ。

そうかそうか、グリーンヒル大将はそんなやつなんだな

 話し方が個性的で面白いドーソン大将がヤンさんをこき使ってくる。みんな嫉妬だ嫉みだとヤンさんを慰めてくれるけど、これは普通にアムリッツァの戦いで大幅に将校の数が減ったため、ヤンさんしか使える人材がいないのだろう。それをわかっていての冗談にも聞こえる。
 ともかく同盟の軍事力は完全に瀕死だと伝わってくる。

 ヤンが疑っていた事態が起きてしまった。二百万人もの捕虜から反乱分子を探し出せっていう無理無理ミッションをビュコック提督もヤンさんも果たせなかった。無理無理ミッションだからね。たぶん二人とも本気で探そうとは思ってなくて、一旦クーデターを起こさせてから迅速に叩こうと考えているのかなあ。
 ヤンさんの予測した通り、「救国軍事会議」と名乗るメンバーが首都でクーデターを起こす。

 なんだかこう……ああぁっぁあぁぁっぁあ……っていう主張ばっかりで胸が苦しくなる。
・国益に反する政治活動の禁止
・言論の秩序ある統制
・軍人の司法警察権付与
・必要を超えた弱者救済の禁止
ヤンさんは「ルドルフの主張したことと何も変わらない」と言っている。

 国益に反する政治活動の禁止、言論の秩序ある統制で脳裏によぎったのがジェシカさんのことだ。ジェシカさんは軍部から反感を買っている。だから、少年の犠牲を憂い、戦争を厭う、そんな姿勢さえも「国益に反する」として処断される可能性がある。軍人が主張する「国益」だから、外交的側面や内政的側面、文化、一人一人の国民の心や生活の豊かさなどは無視されて、もっぱら軍事関連での利益ばかりが「国益」に当てはまることになるだろう。
 必要を超えた弱者救済の禁止、つまり障害を抱えた人や貧困層は勝手に死ねということだろう。オーベルシュタインが脳裏によぎる。生まれつき目が見えなかったというだけで、オーベルシュタインは少し時代が違えば生きることを許されなかった。つまり弱者は「処分」されていくようになるだろう。

 あぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああああああぁっぁぁあ……。
 で、これを主張しているのが、グリーンヒル大将だというのがとても……

持ち上げられただけって感じの描写がないあたり、うわー……ってなった。
フレデリカが一番かわいそう。

 グリーンヒル大将は「個人として優れた人物」だった。おそらく妻子を愛して道を外れたこともないし、ずっと「国益に利する」ことをしてきたし、有能だったし、恵まれた環境にいただろう。そういう優秀な人間に限って自分の力と清廉さをうっかり信じちゃってるため、「自分の信じた正義に向かって暴走しやすい」、ということなのだろうか……。
 そういう人物の方が、無能な人物より問題意識を持ちやすいだろうし、ぐうううう……。

 ジェシカさんに散々言ってたビュコック提督の部下が救国軍事会議のメンバーだった。つまり、「現場のこともわからないで外野が騒いで」という被害妄想で動いていて、自分たちの行動がお外からどう見られるかわからない、視野の狭いまま、自分たちに都合のいい正義を振りかざし、「どうせ俺たちの軍人の苦労や事情なんて民間人は知らないだろう」とタカをくくっている人たちの集まり、と考えることができる。

ビュコックさんからするとしんどかったろうなあ。ちゃんと育ててきたはずの部下が……。

 腐敗しないと彼らは言ってたけど、そもそも自分たちと反対意見であるジェシカさんの話一つ真摯に受け止められないで、ビュコック提督みたいに「ああいうのは必要だよね」と「同意はしないがその意見の存在は認める」という態度をとることもなく、ただただ突っぱねようとするあたり、すでに「自分に甘い」という腐敗の種はある。

 クーデターが失敗したら絶対ヨブりん♡が軍部の力を削減してくるけど、それを考えると同盟、もう持たないんじゃないかな

謎プラネタリウム

 ヤンさんは今日もラスボス街道を歩んでいる。謹慎処分となったフレデリカの部屋を訪ねてきている。

部下とはいえ女性の部屋に一人であがって穏やかに紅茶をシバいているヤンさん
前回フラグが立ったラインハルトにそのモテ術を教えてあげてほしい。
フレデリカ……上司からのその言葉は泣いちゃうよね
ヤンさんって本当に女性にモテry

 たぶん父親のグリーンヒル大将に内通していないかどうかの確認と、上司としてメンタルケアに訪れたのではないだろうか。ヤンさんはグリーンヒル大将が救国軍事会議の議長だと知った時にすぐフレデリカの反応を確認している。その時の反応から、たぶん白だと思いはしただろう。でも娘として、父親の不審な行動に何か気づかなかったのか、という疑いはあったんではなかろうか。
 また、フレデリカがこの時点で消えていれば、イゼルローン要塞内に彼女の逃走を手引きして父親の元へ送った救国軍事会議のメンバーがいると考えることができる。
 父親に内通しているという物証もなく、そういう不審な行動をせずにずっとすごしてきたらしいフレデリカは、とうとう自分を追い詰めていた。
 ヤンさんは副官である彼女がいないという損失に困って+部下のメンタルが追い詰められているため+フレデリカと一緒にヒューベリオンに乗ればさらに監視しやすくなるため+おそらくはもしものときのグリーンヒル大将への人質として彼女を連れて行くことにしたのだろう。

 言ってんじゃん、私はヤンさんを信用できないんだって……ラインハルトは「あねうえ」「きるひあいす」「ぎんがせいふく」で脳内が出来てるからどれだけ悪辣なこと考えてても人格的に信用できるんだけど、ヤンさんはそもそもこれだけのことをする決定的な動機がこちら側に語られてない(給料欲しさとか今回は言ってる)ので、すごーく思考が底知れない。

 シェーンコップさんの台詞そのままだ。

「私にも実はよくわからんのです。なぜならあなたは矛盾の塊だから」

 シェーンコップさんがヤンさんを謎プラネタリウムに連れてってんだけどなんだこれ……???????? ん????? え????

謎プラネタリウムで謎プレゼンするシェーンコップ

 帝国の暇した軍人がDIYで作ったプラネタリウム付き会議室なんだろうか……普通のプラネタリウムじゃなくてなんかパワポ発表できるやつみたいだし〜
 シェーンコップさんのいう「独裁者ヤン・ウェンリー」は私も2クール5話まで見てきたが散々考えている。
 ヤンさんは心のどこかでそっちの野望をもっているのではないかと。ないしはあまり野望を持っていなくとも、状況によっては独裁者になってしまうだろうという運命を、ヤンさんは受け入れているのではないかと。

 シェーンコップをたしなめたかのように見えるこの台詞。

「自分はそんな奴じゃない」という風にも、「今はその話はお預けな」という風にも見える、
ヤンさんの冷ややかな表情がすごーく私は怖いです。

「私以外の誰かに、君の考えを話したことはあるか?」

 中の人の演技が上手いので、誘惑を拒絶したかのようにも、今は黙っていろというふうにも聞こえる。そしてこの言葉は、「独裁国家」で生まれ育ったシェーンコップさんにとっては、後者に聞こえるだろうなあ……。

 更に言えば、ヤンさんはこのあと自分の「子供」であるユリアンをシェーンコップに預けている。こんなん……こんなん……
 もう「独裁者を目指すから、もしものときのために俺の後継者を育ててくれ」というメッセージにしかシェーンコップには思えないよ!!!

まとめ

・フォークの顔芸
・フォークの顔芸
・フォークの顔芸
・ジェシカさん……
・グリーンヒル大将ってそういうおぞましい思想の持ち主だったんだな
・この謎プラネタリウムは帝国軍人の遺産なんだろうか

主人公がラスボスすぎるし、グリーンヒル大将はアレだし、フォークの顔芸しか癒しがないよ……

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