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明るいリサイクルコンドーム計画

私は、多感な少年期を田舎で送った。
父親の仕事の都合で、信号が一つしかない山奥の田舎に引っ越しのだ。

今思えば本当に何もない田舎だったが、少年にとっては毎日カブトムシや魚を捕まえに山や川に走り回っているだけで楽しかったし、ずっと夏休みだって思っていた。

小学生から中学生になり興味の中心が変わってくると、周りのみんなは山や川で遊ぶ事は無くなった。

私は落ちこぼれだったり、いじめられっ子だったり、自分にコンプレックスがある者たちが自然と集まった7人の落ちこぼれといつも遊んでいた。
(この7人の落ちこぼれの話は印象深い話がいっぱいあるのでその話はまたの機会に)
7人の落ちこぼれは、いつも遊ぶことに全力で楽しかったし、山にも川にもいっぱい遊びに行った。

今思うと周り同級生が異性を気にしてヘヤーワックスを付け出したり、女の子と一緒に下校するのを見て、私たちは、『どうせ俺たちはモテないし』と卑屈になって見て見ないフリをしていたと思う。

しかしながら7人の落ちこぼれも異性を気にするしエッチな事にも興味がある。とりわけエッチ2トップが私とT君だった。

私のスタイルはクラスのヤリチン男子に彼女との猥談を聞き出し、7人の落ちこぼれが好きそうなシュチュエーションにふくらし粉を入れ甘みを加え焼き上げ、月に一度、盛りに盛った猥談を発表すると言うエロ番記者ばんきしゃ的な動き。

それとは一線を画しT君は完全現場至上主義かんぜんげんばしゅじょうしゅぎで妄想や考察こうさつなど許さず、橋の下にエロ本を探しにいく一択で、日々収集したエロ本を、月一回T君の部屋で開放してくれる、紳士の読書会を開いてくれた。(T君は実際に読書家の秀才で学校では通っている)

そんなある夏の放課後である、私が部活の支度をしている時、T君が周りを見渡しながら僕の耳元で『いいブツが入った、わかるな。。』と言いながら肩を叩いた。

キタ!読書会!?(先週開催されたばっかりなのに今週もですか!先生〜)

私は早速部活を放棄し、7人の落ちこぼれたちとT君の家に向かう事にした。一足先に帰ったT君を追いかけ家に向かう道中から考察が始まる、これこそ僕らの青春。

『先週も読書会したのに今週もって早くない〜』
『いやこの短期間でなかなかいい仕事してますよ』
『連投する事により質を落とされると、れそれはそれで問題ですよ』
『いやこの前のSMは正直しんどいですぅ〜』
『あ〜子供ですねぇ〜あの縄で縛られた裸体の良さがわかりませんかぁ』
(童貞が集まってSMだぁ、タイムマシンがあったら戻って殴りたい)

『何冊あるんやろね?』
『7冊あったら嬉しいなぁ〜』
『いや〜ど〜やろ〜』

ここでお察しだと思うが、落ちこぼれ7人に1冊づつエロ本が渡ることは少ない。
となると誰がかダブルス読書する事になる、ダブルス読書には大きな欠点がある。エロ本をめくる刹那(タイミング)を合わす技術を伴う。
こうなるとエロ本への集中力を大いに損なう。
エロ本は問答無用貸し出し不可!どれだけ被写体を脳裏に焼き付け家に持ち帰るかが最大のポイントとなる。
そうなると集中力を欠くダブルスは致命的なのである。

しかし例外もある、これは天然記念物ほどの上物が上がった時に起る。
1冊を7人で見るのである、正にエロ本バトルロイヤルである。
T君がページを捲るたびに、
『おおおお〜〜』
『おおおおおおおお〜〜〜〜』
『それはあかんよ〜〜〜〜〜〜』
終盤には7人スタンディングオベーション、
得もいえぬライヴ感があるのである。
(これは体験した者しか分からない極致)

『いや〜楽しみやなぁ』
『そ〜やなぁ〜〜〜〜』
自然とみんな走っていた、お前本気で走ったらそんな感じなのねっ(すんごい独特のスタイル出てますね、まるでカルメンダンサーの様、なんか手の振り方が独特)と思いながらも出遅れてはならぬと本気で走った。

落ちこぼれながらも野球部万年補欠だった私は一番にT君の家に到着した。

T君が玄関で仁王立ちして待っている。
『遅くなってごめん!』
『今日は中止や』
『え!』

他の皆んなも遅れてやってきた。

『今日は中止や』
『え!』『え!』『え!』『え!』『え!』『え!』
『なんでなん?』
『おかん家におる』
『いやそら居てるやろ、部屋で見たらええやん』
『おかんが今日はあかん言うてる』
『えええ〜〜〜ちょっとぉ〜〜』
私たちが玄関で押し問答していると、玄関の窓が開いた。

ガラガラガラァァアアアアアアア!
T君のお母さん登場だ。
『今日はあかんよ〜!』
『この子勉強せなあかんからあぁ〜〜』
仁王立ちしたお母さんは、まるで子熊を守る母熊の様に、牙剥き出しで我々に殺気を放っていた。

『あ、失礼しました、すぐに帰ります』

頭を下げながら玄関の奥に目をやると洗濯のもが干してあった、小さな洗濯バサミがついてる物干しに、びっしり靴下が干してあった。

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ん?めっちゃ 靴下いっぱい干してるやん?

ん?えらい靴下小さいなぁ? 

しかも全部ピンクの靴下やし?

え?え?

え?え?え?いやコンドームちゃう?


T家ではコンドームを洗って、干して、もう一度再利用しているようだった。

もちろん童貞の私はコンドームの存在は勉強済だが、実物を見るのは初めてだったし、使い捨てだと言うことも後に知り、もう一度びっくりす事となる。

私はT君のお母さんの目を見て全てを悟った。
我がコンドームが乾かぬうちはテコでもココは通すわけにはいかぬわぁ〜!
世紀末覇者の形相である。


見てはいけないものを見たことを落ちこぼれ7人にも言わず私の心に鍵をかけた。

その日は皆んなででトボトボ帰った。
青春とは敗北がつきものだ。
『あかんかったらさぁ〜』
『貸してくれてもええやんなぁ〜』
『ほんまやでぇ〜』
『絶対かしてくれへんやんT君』
『てか今からエロ本探しに行く!』
『行こ!!!!!!!!!!!!!』

そんな青春だった。




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