ひらいて

大人になってあの頃は、なんて絶対に話したくなかったし、この苦しみを忘れてやるものか、私だって、つまらないけど頑張って生きてるんだ。
だから愛が嫉妬してしまうくらいの憧れで、嫌い。
こんな子がいたら全部もってかれる、私の苦しみすらどうでもいいなんて言われてしまう。
美雪の、「東京で自分のできる仕事をする」というのが、私には辛かった。高校生なんて、将来に夢をみていいのに、自分の体がそれを許さない苦しみを、私は知っている。
愛も美雪もどっちも私だと思った。だから西村たとえがたまらなく好きだし、本当は愛と美雪はお互い似てるんだと思う。
教室の片隅で息をしている、その他生徒に混じっている彼を、私も見ていたかった。たとえが好きな子が美雪というのが、まったく勝ち目がなくて、視界にも入れてくれないんだろうな。


見たのも読んだのもしばらく前ですが、すらすらと書けてしまったので。

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