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オーキフェノーキー

1本の映画を観ていたら、いつの間にか、
「湿地帯」を彷徨っているのに気づいた。
そこで私は、ウォルター・ブレナンに助けられ、
「俺がいなけりゃ、ここからは出られない、
この湿地はお前を捕まえている、
お前を捉えて離さないよ」と彼に脅かされた。

しばらく湿地帯に留まることにした私は、
Mr.ブレナンと彼の出演映画の話題になり、
「今の時代にあなたの話をする奴が
他にいないってことが、僕を満足させ、
また後ろめたくもさせるんだ」と告白した。
もっと深くへ、
オーキフェノーキー。

事実、映画を観るには時間が掛かりすぎる。
そのうえ、「終わり」がない。
が、私は詩を聴くように映画を観る。
役者は親友かのように出来事を喋り出す、
いとも面白おかしくーー
納屋で踊るアン・バクスター、
ボーリング場で踊るクリスティナ・リッチ、
煙草を巻くジョン・トラボルタ、
時空を超えるマイケル・J・フォックス、
牛を売るベン・ジョンソン、
川釣りをするワード・ボンド、
戦争から帰ったダナ・アンドリュース
ーーああ、テレサ・ライト、
君を大量生産したいよ。
もっと深くへ、
オーキフェノーキー。

さて私が湿地帯を去るときが来て、
Mr.ブレナンにお別れを告げると、彼は、
「息子よ、次に湿地帯を訪れるときは、
日本の映画の話をしろよ」と送り出してくれた。
「あるといいけど」と私は思った、
葬式みたいな映画ばかりだから。
もっと深くへ、
オーキフェノーキー。

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