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実際に見たヤクザの話 / 20240420sat(400字)


二度ある。
初めは小学五年
ステーキハウス。
家族四人で食事のとき。
どん。
席に、瓶ビールが二本置かれた。白い服を着た男が立つ。
「飲んでくれや。蒼井さん」
「非番だ。家族できてるんだよ」
父はわらう。
「カテエこというなや。仕事じゃねえんだろ」
父はやんわりと断る。
男が戻ったボックス席に桃色と黄色のワンレンボディコンの女が居た。
男は女二人を抱えるように座った。

二度目は地元オートレース場の観覧席で。
二十五歳のうつで療養中。祖父に連れてきてもらった。祖父は元市会議員。
発券終了三分前。
僕はオッズをにらみシートを塗りつぶす。
「ノブちゃーん」
大島を着た老人が近づき、僕と祖父は顔をあげる。
「おお元気かい」
「折り入った相談なんだけどよ」
次のレースのとき。
「さっきの、どの方? 」
「地元の○田一家のオヤブンさんだ」
甥の市営住宅の入居の件だった。

思えば時代を感じる。

短歌:

花韮よ
タイヤで踏んで
悪かった
スコップと手で
ふんわり遷す

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