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《回想シーン》を、使いこなせ!


3558文字・30min

下記の記事を参考にしました。


《回想シーン》の意味を明確にすること。


《回想シーン》とは『メインの現在』の動機づけだ。

⑴小説(物語)に対する《回想シーン》全体の意味を明確にする。

《回想シーン》が物語に与える影響

⑵《回想シーン》に入ることの意味。《回想シーン》のつなぎ方。

《回想シーン》のつなぎ方
読んでいて、最もつらい《回想シーン》はその小説の時間軸に一切関わってこない。




◉登場人物にとって、《回想シーン》の中で重要な判断がある。
橘田隆行(無名のユーチューバー)はクマに襲われて負傷した男(キム)をテントに連れて帰って、緊急手術をする。
《回想シーン》

  1. 橘田隆行は医者だ(人命救助は医師の使命)

  2. 現役だった頃の医療現場(忙しい)

  3. 医者を辞めた理由(内部不正)

  4. 家族との不仲(日常・妻と娘)

◉それが《回想シーン》から出て、メインの時間軸で明確に利用される。
「メインの時間軸で判断した重要なこと」は「過去の経験に基づくもの」だ。
➡︎「橘田隆行が男(キム)を助けた理由」は「元医者だった」からだ。

例)
ピンチの状況でも人を傷つけられない主人公。
回想➡︎『なぜ、主人公は人を傷つけられなくなったのか? 』
主人公は回想から出た、その後の展開
➡︎主人公は人を傷つけられなくなった(変化・成長)。
その結果、主人公は戦いを起こさない選択になった。
「現実の世界」でも、「過去のシーン(回想)」を利用してあげる。

例)
兵士は武器を持っている暴漢に手を出せない。
回想➡︎『なぜ、武器を使えないのか? 』
回想×壊れている=現在の状況
回想➡︎上司からの指令(命令)

これらには色々な価値がある。
たとえば、明らかに常人では判断し得ないこと(一番のタブーは殺人なんかですね)を《回想シーン》の信頼性によって共感させてしまう。
これは《回想シーン》の(マジック)があってこその展開だ。

◉普通の判断(万引きや窃盗を事前に発見する)があっても《回想シーン》
⑴自分は先日被害にあった。
⑵私はスリ(同業者)だ。
⑶私は警察官だ。
⑷私は万引き犯人を知っている(過去に目撃した)
⑸私は別のスーパーの万引きGメンだ。
⑹私はアメリカのCIA職員だ。
⑺私は日本の公安職員だ。
その《回想シーン》の存在によって物語により説得力を持たせることができる。


◉似たようなシチュエーションを過去に経験していて、それをメインの時間軸で思いだす。
◉《回想シーン》はうまく利用すると《よりシリアスなシチュエーションで効果を発揮する》。


★《回想シーン》に入ることの意味。回想シーン》のつなぎ方。

さあ、小説全体における《回想シーン》の場所は決まった。

次に考えることは『《回想シーン》の入り』だ。
うまくないと「なんだよぉ、ここで回想かよ…… 」と読者に思わせてしまう。

《回想シーン》が退屈に感じられる原因
⑴《回想シーン》が長い。
⑵《回想シーン》の挿入場所の失敗。

解決策は、以下の2点。

①《回想シーン》でしか説明できないアクションを直前で開いている。
➡︎直前のアクションの《きっかけ・原因》=《回想シーン》

②登場人物が回想に入りたくなるタイミングで《回想シーン》を差しこむ。

回想シーンを小説全体の中で必要なシーンにするためには『そこで何かがあった』ということを暗示(ほとんどしっかりと明示)しなければならない。

小説の登場人物は『ほぼ必ず何らかの個性』をもっている
個性

  1. 義務感(生まれ、課長補佐、職位)

  2. 使命感(兵士など、職務、職業)

  3. 優しすぎる(性格、)

  4. 嘘がつけない(もしも系)

  5. 女性(性)

  6. ホモセクシュアル(性マイノリティー)

  7. 目が見えない(先天的・後天的)。

  8. 緘黙症(緊張すると喋れない)

  9. 吃音症(きんちょうすると吃ってしまう)

それらに関連するものだと回想シーンは作りやすくなる。
★なぜ《このタイミングで回想に入らなければいけないのか?》を考える。

◉登場人物が回想に入るタイミングを探してプロットを作ると文芸賞レースでは減点される可能性が少ない。
たとえば、先に、メインの時間軸で『過去の決断』に関連するシーン(人命救助など)を用意して登場人物にそれを思い出させる《医者だった》というのが代表的な手法だ。
『回想に入る理由・原因』と『回想をどこに挿入させるべきか』を網羅する。
《回想シーン》で読者のテンションが下がるのを潰していく。


小説に回想シーンが入ることは良くないことなのか?


《回想シーン》は戦略的に書かないと『メインの時間軸』から外れてしまう。
読者の期待値を下げてしまい逆効果だ。危険性をはらむ。
しかし、回想シーンが入ることはそもそも良くないのか?
メインの時間軸だけで構成されるストーリーのほうが優秀なのか?

この点、ある程度の筆者(この記事の元ネタを書いた筆者さん)の主観が混じっているが、彼が疑問を解決していく。

結論
➡︎《回想シーン》はたとえば『小説内で視点移動がある小説』と同じように、一定数の読者が嫌っている構成なのだ。だが回想そのものは悪い訳ではない。意見は読者によって分かれるのだ。読者によっては『回想シーンは読みづらい』『視点移動することは悪いこと』といったように固定概念化(読書の価値を固定)されてしまっているからだ。


★回想シーンでしかできないことがある。

たとえば《登場人物の幼少期》などはメインの時間軸でやろうと思うとあまりにも時間が途中で飛んでしまい最初からは語れない。

◉回想シーンでやるのがベストなもの
キャラの生まれ、トラウマ(心の傷)、性癖、後ろのシーンへの接着剤、

などを、無理にメインの時間軸でやろうとしてしまうと、シーンの数が増えすぎてしまう。メインプロットが間延びして(退屈になって)しまう。


◉《回想シーン》は《ひとつに簡潔に固める》べし
◉《回想シーン》で筆者を出さない。なにかを語らない。語ろうとしない。
【小説の基本原則】メインの時間軸から余計なシーンはすべて削ぎ落とす。

《過去パート》=《回想シーン》に《重要なシーン》を盛りこんでおくことは小説内でのガソリンのような役割があり、メインの時間軸で起こっている出来事を加速させる。ひとつだけ謎(マクガフィン)が残ったままでそれがなかなか解決しないとき、読者は謎をどうしても意識する。
小説内の小さな謎(マクガフィン)が《回想シーン》によって解決されたときに《サブプロット》と『メインプロット』が繋がって、読者の興味はクライマックスに向かって加速していく。

サブプロットの謎(マクガフィン)が一番最初に《回想シーン》によって解決されてしまうと、引っ張りようがない。
以上は「三人称小説」「群像劇」「総合小説」の場合が多い。しかし、メインの時間軸(あるいは一人称)のみで展開される小説の場合は基本的にこういった作戦が取れない。トリッキーな戦略を取るしかなくなってしまう。
主人公が過去に遡るとかは「それ自体が設定・小説世界」で、これはこれで面白いとは思うのですが…

《回想シーン》は『登場人物の判断に興味を持たせる』『つぎのアクションの動機づけ』に効果的なのだ。

《回想シーン》で『すごく悲しい過去』に焦点を当てるか『すごく悲しい過去があった上での登場人物の判断』に焦点を当てるかでは大きな違いがある。

回想シーンの質に直結してくる。
『過去があった上でいまの判断につながる』でなければ《回想シーン》の意味はない。


➡︎「いまのアクション」への「動機」=《回想》だ。


たとえば《いま当たり前のように接しているふたりのキャラの出会いの場面》を書こうと思うのならば『メインの時間軸』では《その出会いの回想シーン》が必要な局面に達していなければ書く意味がありません。

例)『三章・小学生の同級生が喧嘩をして仲が悪くなる』
問題を解決するための《回想シーン・学校のテスト編》

  1. 鉛筆(お互いが好きなメーカー)

  2. 答案用紙(カンニング大作戦!)

  3. 時刻がずれた腕時計(片方が教えた時間を間違える)

  4. 消しゴム(互いに好きな女の子の欠けた消しゴム)

  5. 辞書(ケータイアプリ)

  6. 缶ジュース(好きなオレンジジュース)

  7. ヤクルト(互いが大好き)

  8. 最新のゲーム(Switchやゲームセンターなどのソフト)

  9. 学校帰りのコロッケ、縁日のわたあめ、りんご飴など。

などを使うこと。作者としてはキャラに愛着があるので出したい所だが、読者にも愛着を持ってもらいたければ、愛着を持たれるだけの工夫が必要だ。




敵(読者)を知れ!


★読者は小説を最初から最後まで順番に読まない。
◉読者はすべての本を読了するのか?
◉そもそも買ったまま書棚で埃をかぶっていないのか? 笑

『エンタメの読者』とは、ほとんど下記だ。

  1. 詰まらぬシーン(悲しい、冗長、下手な風景描写など)

  2. 退屈なシーン(長台詞、長い心情シーン、心の告白、筆者の意見など)

  3. 個人的に苦手なシーン(エロ、グロ、血、殺人など)

  4. トイレに行きたい、猫の餌、など。

  5. 列車を下車した。ピンポンが鳴った、母に呼ばれたなど。

  6. コインランドリーが終わった。授業が始まる。

  7. 美容院の待合が終わった。

  8. ラーメン屋の小上がりに居たらラーメンが来た。など。

  9. 電話が鳴った。ケータイが震えた。など。

などのそれぞれの理由で、平気で飛ばし読みをする生き物なのだ。

★もちろんそればかりではない。
でも、事実、エンタメ作家は読者の人生の貴重な時間を買ってもらっている。

◉読者の人生の時間に変わって自分のエンターテイメント作品を買ってもらっている。
◉エンタメ作家ならば読者のための小説を自覚することが第一だ。


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