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派遣王女☆ウルスラ / 第15話(4,278文字)

■第15話■


■亡国の機械帝国編①■


扉絵


1・2頁 降り立った風景


緑色の惑星ペリドット
空は若草色だ。海はオレンジ色だ
この星の太陽は笑顔で読者にピースをしている
「この星の太陽でおま」
海面は多い、小島は無数に浮かぶ
翼のついたカエルの親子が鳥のように宙をパタパタと飛ぶ
小島はそれぞれの距離は近いが独立した生態系の木々や動物が生きる
キノコの森でできた小島、頂上に竹が繁茂する小島、島の土台から針葉樹が海底につきささる岩石島、球根の島、平たい岩が積み重ってダブルチーズバーガーのように見える島、岩が駒の形にくりぬかれ張りだした部分が石窟の街になっている岩島、古代宮殿や未来のビル群を一緒くたに載せた足の長い老いた巨象が海をあるく、無数のプロペラで空に浮かぶ島、海水が吸いこまれるうず潮の中心に浮かぶ島、中央にある祭殿の強力な磁力で形づくられ浮かぶ小島、宇宙まで伸びる塔(超高層階)の機械都市が聳える小島、艀(はしけ)だけの海上巨大波止場島、ナダル帝国付属海軍ペリドット星第二支部島、そこだけクレヨンで描かれた海面にラクガキ調の顔を浮かびあがらせる滝壺の獣は横泳ぎで登場する。滝壺の獣は読者に看板を掲げてに見せる《北海道、札幌市、高橋健吾くんの4歳の作品》、森のなかに巨大な本が建てられ動く扉絵のなかから賑わう声や花火や祭りの音が聞こえる島、小島を海底からかぶりつく食島島、ない島、宝石でできた島、ゆっくりと呼吸をつづける島、物質が宙に浮いたままの島、イースター島やロードス島や伊豆大島などが浮かんでいる

シュッシュッシュッシュッシュッシュッ…

脱出ポッドは逆噴射をしながら降りてくる



3頁 偵察してみよう


タンッ

カフカは
「ゲップッ…失礼…」
双眼鏡をだしてのぞく
「それにしてもなんだ…この星は…」
カフカは目を細めて
(双眼鏡を島から島へとずらす)
かなり遠くでは、ある島では怪獣が岩男と決闘をし、求愛行動する島、テレビゲームをする島、コロシアム島、それを覗きこむ島、ピースをする島、脱衣中の島などが見える

ウルスラはカフカのもつ双眼鏡をひっくり返す
「ぎゃ〜ッ!!」
ボッチは流し目で
「向きが逆でしたね」
ぎゃっはっは!!
ウルスラとルーシーは笑う
アリスは
「それにしても海ばっかりだわ」
ウルスラとルーシーは両脇をパタパタさせ
「わくわくッ、するね!!」
カフカは双眼鏡を見直して
「島はみんな小さいのばっかりだ」
「大きな陸地はなさそうだな」


4頁 はい注目 Take1



カテリーナはみんなに
「はいみなさん!!注目!!」
ボッチは
「どうかなさいましたか」
カテリーナはドワーノフの肩をたたき
「私のパパグレナダ前国王が作ったアンドロイド・ドワーノフよ!!」
「長いことお休みだったので、すっかり、忘れてた」
「さすが、読者に優しい!!」
「よ、グレナダ一!!」
「ガシャンッ!! キュウィーン!!」
ドワーノフの部位は分解され、そのあらゆる箇所から計機、測定器が飛びで、空気圧、水質、赤外線、放射線や紫外線濃度、生命反応などの測定が始まる……中央のリールがくるくるまわって…………7…7…7!!」
「ギュウーギュウーギュウージャジャン!!」
「ピロリロピロリロピロリロ!!」

っておいッ!! カジノのスロットマシンかッ!!

ガシャンッ!!
ドワーノフは止まって
「整いました」
「水もすべて、私たちには害はありません」
コップをもつウルスラは口からミニトカゲを滝のように吐く
「ゲロリロゲロゲロゲロ〜ッ△」
ズコーッ!!
ドワーノフは腹から端末をだす
カフカはスイッチをいれ立体ホログラムをうつしだす
「まずは偵察だ」


5頁 ジャンケン


みんなポッドの前で輪になってジャンケンをする
アリスはガッツポーズをして飛びあがる
「わーい勝った!!やったわ!!またカフカ様とご一緒だわ」
「よせやいアリスってば……だからもうカフカでいいんだぜ」
アリスの瞳の中に四つの星が煌めき手を組むと食人種の花…ユグドラシル…蛇の尾が生えたシダ植物…葉っぱが九つに曲がりくねる扶桑…死者の血を大量に吸って妖怪と化した大樹…禁断の果実…不和のリンゴ…銀のリンゴ…人面樹…知恵の木…シダの花…不死の草…スパゲッティの木々などが禍々しく咲き乱れる

カテリーナは
「ジャ、ジャンケンに勝っただけで……」

アリスはカフカを見つめ
「カフカッ!!」
カフカはアリスを抱いて
「ようやくいったね!!アリスッ!!」

ズッドーン!!

禍々しい森から凄まじい勢いで天までジャックと豆の木が伸びる

ズコーッ!!

ぎゅっと抱きあうカフカとアリス以外のメンバーは天空を見つめ

「こ、これが愛の力だ………」


6・7頁 新チーム結成


(右の頁)
探索チームは、ウェスタンハットをかぶったカフカは拳銃を腰にさしてアリスをお姫様抱っこ、ウルスラは石川五右衛門の格好をしてドワーノフの肩に乗って頭に片足をかけて、見栄をはる

(左の頁)
基地チームはカテリーナ割烹着に襷をかけ、ボッチは大将の装いで腰巻きを身につけ、ルーシーは寿司屋のカウンターで抹茶ソフトをほお張る


8頁 はい注目 Take2


カテリーナはみんなに
「はいはいはい、みなさん!!ちゅうも〜く!!」
ボッチは
「どうかなさいましたか」
カテリーナはドワーノの肩をバンバンとたたき
「こ、これが私のパパグレナダ前国王が作った…」
「アンドロイド・ドワーノフよ!!」
カテリーナはエプロン姿におたまを片手にもちポーズを決める
ボッチはハッと気がつき
「…アリス嬢のジャンケンのくだりで」
「コマが飛んでしまっていた」

 カフカは言い直すように
「ささすが、読者に優しいな、みんなそうだよな!!」
「よ、グレナダ一!!」



9頁 いってらっしゃい



ウィ〜〜〜〜〜〜〜〜ンッ!!

ドワーノフはペガサスに似せた小型飛空挺に変身する

カフカ、アリス、ウルスラ、ルーシー、ボッチは

すご〜いッ!!

ウルスラとルーシーは目を輝かせる

ボッチは

「ですが、どう見ても一人乗りなのですが……」


カテリーナはウィンクをして、ウエスタンの格好のカフカの縄でウルスラを縛る
カフカはアリスとニケツをしてペガサスに乗る
縛られたウルスラはウェイクボードをもつ
「これで大丈夫よ」
ボッチはうなずき
「なるほど」
ペガサスは前脚をふる
基地チームは
「いってらっしゃ〜い」

「カテリーナさま!! これを!!」
ペガサスはさけんで鶴の折り紙をカテリーナに投げる

カテリーナは鶴の折り紙を受け取って笑う
「折り紙ハウスね!!」
ペガサスは
「2DDKしかありませんでした」
カテリーナは
「十分だわよ」


10頁 ハイツ・カテリーナ



ボッチは訊く
「なんでしょうか?」
カテリーナは自慢げに
「私も父の血を受け継いでいるのかもね」
「これは私の発明品で、折り紙ハウスよ」

カテリーナは脱出ポッドから離れたところに

折り紙を置いて、導火線を引きながら離れ、火をつける

ジジジジジジジジ……

ボワンッ!!

バリッバリバリバリバリ…と立体的な建物が膨れあがる。最後は鶴の折り紙のお腹に空気が入るようにミニアパートができた

ひと月3万5000グレナダでいかが?
ズコーッ!!


11頁 波乗りウルスラ




ブォーーーン!!

海上を疾走するペガサスの後ろでウルスラはウェイクサーフィンをする

「ひゃあっほぅ〜ッ!!」

ウルスラはペガサスの後ろでスラロームをして、引き波の上でボードを垂直にしスライドさせる。縄を右手、左手と持ちかえて背をみせくるっと回転、体を逸らして胸をはってジャンプ、スラロームからこんどは上体を曲げたままくるっとバク宙を決め、引き波の上でクルクルと高速スピンを決める

「まだ出発しとらんかったんかいッ!!」
「はよ行かんかいッ!!」
後ろ姿のボッチとカテリーナはツッコむ


12頁 なんだあれ?


「なんだあれは!?」

ペガサスは近づいて海の上で止まる

巨大船がひっくり返って海に沈んでいる。足がだけが海上に突きでている

カフカは
「たっ、たまげたな」
アリスは
「宇宙船かなにかの残骸のようですわ」
カフカは
「……ん、これは……」

「よーい、できたよー」
水着姿のウルスラはウェイクボードの上で準備体操をしている

ズコーッ!!

「さ、さすが準備が早いな……」
アリスは
「じゃウルスラ、よろしく……」
ドワーノフはさけぶ
「私を、甘く見てもらっては困りますぞ!!」
葉っぱを頭に乗せたペガサスは

ボンッ!!

くるっとアンコウ型の潜水艦に変身する

「た、タヌキアンドロイドかッ!!」



13頁 ディスカバリー13号



というわけで水中である

カフカは
「着陸に失敗したというよりも…」
「なにかに撃破された感じですわね」

割れた窓ガラスの奥の影に巨大ウツボの目が光る。巨大ダコの足が見え隠れする。ウルスラは海賊の船長の骸骨と社交ダンスをする

カフカは巨大船の全景を見ておどろく
「こ、これはディスカバリー13号じゃないかッ!!」



14頁 偵察に迫る影


カフカはさけぶ
「やっぱりそうだ!!」
アリスは
「どういうこと?」
カフカは
「探査船ディスカバリー13号は十年前まえに星を出航したんだ…」
「たしか…13号の乗組員は……」
「アンドロイドもふくめ…」
「ぼくらとおなじ7名くらいだったはず」
アリスは
「まだどこかで生きているのかしら?」

ウルスラは潜水艇の背後を指さす
カフカは
「え? なんだ……ウルスラ…」
アリスは
「私たちの後ろになにかいるの?」

潜水艇の後ろに影が現れる



15頁 基地に迫る影



時おなじく、ハイツ・カテリーナ

焚き火を起こし、周りに魚の塩焼きの串を立てる三人

カテリーナはボッチの脇を肘でつき
「で、マーリンさんとはその後、どうなったの?」

(ボッチのミニラブの回想シーン)

給仕時代のボッチは上司であるマーリンの代わりにナダル国王に叱られ、それを皮切りに夜の密会、ボートデート、映画館デートをかさね…抱きしめ合うシルエット…喧嘩するふたりの影…トレンチコートを着て去るボッチの影…泣き崩れるマーリンの影…

薪はパチパチと爆ぜる
カテリーナはボッチの頭を勢いよくたたく
「……やるじゃないの!!
「このぉ〜!!隅におけないわね!!」
ドカッバキッボコッ!!
「い痛いです、カテリーナ嬢……」

ぎゅ〜〜〜〜〜〜ッ!!
ルーシーのお腹がなる

カテリーナはルーシーに
「ほら、この魚は焼きあがってるわよ」
ルーシーは焼き魚を食べ始める
「しかし、です…」
ボッチは耳打ちする
「おげッ!! さ三ヶ月来ないって、それって…」
「だからしかし、なんです」
「しかしもカカシもないわよッ!!」
「あんた男なら責任もちなさ……」
ルーシーはあんぐりと口を開けたまま上を見あげる
それにつられカテリーナもボッチも上を見あげる
大きな影が三人に覆い被ろうとしている



第16話へつづく


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