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わたしの好きな先生

映画「僕たちの哲学教室」を観た。
紛争の記憶が消えない北アイルランドの街で、教育に哲学対話を取り入れた小学校とその校長先生のドキュメンタリーで、ていねいに作られた本当に良い作品だった。

校長先生は、一見ものすごい悪役ビジュアルで、冷酷な軍曹役か何かにしか見えなくて、校長室に隣接したトレーニングルームでムキムキの腕で重量上げとかをしているシーンがさらにその印象を強めていた。
が、実際は毎朝校舎の入り口に立って、登校する生徒一人一人を見て声をかけるような優しく熱心な教育者だ。

敵と味方を分け、暴力で解決するような態度が男子のあいだで蔓延している街。
壁が落書きだらけの古い住宅地に絶望と無力感がただよい、十代の自殺率が突出して高い街。
そんな街で育つ子供たちが、過去に巻き込まれないように。自分で考え自分のちからで歩くことができるように。校長先生を初めとした先生たちは一人一人を気にかけ、自分の感情に向き合い対話することを促す。

「全ての意見に価値がある」
哲学クラスの前に、校長先生は言う。

自分の意見に価値がある。
子供の頃にそう思えた経験は必ず、その後の人生を左右すると思う。
私にも、そんな先生との出会いがあった。

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すべて未発表、noteのみのエッセイです。

シェアハウスでゆるく共同生活をしながら、人生のあれこれについて小声でお話しするようなマガジンです。 個人的なこと、「これはシェアしたほうが…

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