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ほかほかの焼きとうもろこしが、美味しかったね、という記憶

昨夜は早く寝すぎたせいか、3時くらいに目が覚めて、スマホをいじってみたりしながらまた寝て、をくりかえして、10時前には目が覚めた。

たくさん寝たからか、少し心がすっきりとしていたような気がして、何か新しいことをはじめてみようかな、と色々と検索したりしていた。

お金がかからない新しい趣味でも、探そうかなぁと。色々とみていると体を動かしたいな、と思った。確実に運動不足だし。

気になるものをいくつか見た。少し心がワクワクとした。

それから、学びたいと前に思っていた分野へも、今日は問い合わせて相談する日程を決めることができた。

今日はこんな絵を描いた。

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わくわくしたからか、黄色やオレンジが見え「希望」のような色合いになったが、血しぶきのようにもみえるし、まだまだ心が癒えていないのかな、と思った。

描かなきゃわからない。わからないからとりあえず描く。これを繰り返すしか、今は出来ないのかもしれない。

今日は週に1回のWebの仕事があったのでそれを終わらせたら、いつものスパ施設にいって、温泉につかり、スーパーに寄ってから帰宅した。

スパ施設の近くのスーパーは、私とあの人が一緒に暮らしていた時に最寄りだったからいつも歩いて買いにいっていた場所だ。

嫌でも思い出してしまうから、あまり考えないようにしていたけれど、好きな食べ物とか、これは嫌いだから使えない、これ、好きそうだな、一緒に食べてみようって言おうかな、とかいつも考えながらスーパーをぐるぐるしていた記憶が蘇る。

今日は売り場にとうもろこしがあった。とうもろこしなんて、夜の世界の人が食べる?なんて普通は想像つかないけれど、私たちの家ではいろんな食材を使ってご飯を食べていたから、「あ。とうもろこしだ、好きそうだから茹でであげよ」と、迷わず買った覚えがある。

フライパンにお湯を入れてゆでていたら、「美味しそう、まだ」って何度も覗きにくる姿が可愛かった。

私ができたよ、ってほかほかのとうもろこしを渡してあげると嬉しそうにしながら、「おれ、醬油を塗ってトースターで焼いてみる」って、焼いてた。

こんがり焼けた焼きとうもろこしが出来上がってくると、部屋がまるでお祭りの屋台みたいな匂いでいっぱいになって、いい匂いで。

「ほんとの屋台のとうもろこしだ!!」と私は目をキラキラさせた。

得意げに笑う彼は、食べる?と言い、私のとふたつぶん、用意してくれていた。

美味しいねってふたりでそれを食べた。ほどなくそれぞれ好きなことをしはじめ、会話は時々ぽつりぽつり。無言も多かったけど、心地よかった。そんな毎日だったけれど、不思議と家では夜の世界の話はほとんどしたことがなかった。

こんな平和な世界にそんなウソにまみれた世界の話を持ち込みたくなかったんだろう、私だってそうだ。あの空間だけが私が「私」でいられて、彼も「彼」でいられて、私たちは互いに夜の世界で異性に差し出しているような「性の対象」じゃなかった。

夜の世界の二人が暮らす同棲はプラトニックだった。普通なら想像できるようなセックスや金、酒、なんかで埋もれているわけでは決してなくて、笑顔と、まろやかな空気と、美味しいご飯と一緒に笑いあうゆったりとした時間しかなかった。


とうもろこしをスーパーで見ただけなのに、こんなにも記憶が蘇ってしまった。私はまだまだ未練があるのだろうか。自分でもわからない。

スーパーの帰り道に、曇った夜空を仰ぎながら今の自分の現状を思い起こしてみた。私が今ここにいくまでのいきさつを、数年前までさかのぼって。

そうしたら本当に大変なことばかりあって、うまくいかないことばかりあって、したくないことをして、失いたくないものを失うしか選択できない理不尽なことがあって、そんなことがたくさんで、私は冷や汗をかいてしまった。

本当に今私は、恋だなんだと言っている人間ではないのだ。

だけど、その大変な中を推し進めるようにすくいだしてくれたのが彼の存在だった。

あの人が半ば無理やり私を連れ出し、そして色んな偶然が重ならなければ、二人でとうもろこしを焼いて美味しいねって笑ってた日々はなかった。

地獄みたいな連続の数年間だ。その中で唯一の光だった。

唯一、怯えなくてもいい場所だった。彼も心に寂しさを抱えていた。だから安らげる居場所を、二人で作り上げた。

あの人とどうなりたい?と言われるとわからない。私はもうこんなことをこのnoteに何度も何度も書いている。きっと読んでいる人だって「また言ってるよ」くらいにしか思わないだろう。

そう、いつだってずっと消化しきれない気持ちや出来事、問題が山積みなんだ、私には。

新しい恋なんて、探す余裕も、好かれる自分である自信も、ない。

きっと死んだ方が楽なんだろう。死を選ぶのはそう難しくないだろう。

午前中あんなにも、ワクワクとした気持ちがあったのにまた夜の闇に飲み込まれて、私はいつもこんな風に「死」への憧れと戦わなければいけない時間が訪れてしまう。

私は本当はこんな暗い日記を書きたいわけじゃない。書きたいわけじゃないのに、いつの間にかこうなってしまう。

私は人を、幸せにできる、楽しませる文章を書くことはもうできないのだろうか。こうやって苦しみを言葉に紡いでいって、暗闇に飲み込まれて行って、薬を飲んで無理やり眠る。そんな毎日しか過ごせないのか。

そんなもの、そんな私、本当にこの世界に必要なものなのだろうか。

もうこれ以上、本当にこれ以上私は、

生きることがくるしい。


山口葵

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