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「8分間読書法」をやってみよう!

みなさん、こんにちは。淡路島在住のファシリテーター・青木マーキーです。先週末は、僕が住んでいる淡路島の図書館で読書会のファシリテーションのお仕事でした。ふだん、家族会議から国際会議まで色々な分野のミーティング・ファシリテーションが専門ですが、実は読書会のファシリテーション依頼を頂くことも、時々あります。
今回は、ふだん僕が読書会のときに活用している8分間読書法について、紹介したいと思います。多くの読書会は「この本を事前に読んだ上で、感想を話しましょう」みたいなスタイルを取りますが、8分間読書法は「その場で読んで、おしゃべりする」というタイプの手法です。

やり方は簡単

基本的な手順は、極めてシンプル。

その1,8分間 読む
その2,8分間 しゃべる

以上で終了です。最短16分で終わります。これが第1ラウンド。うん、これなら職場のお昼休憩にでもできますね。もう少し時間がとれるときは、第2ラウンド、第3ラウンドと、ラウンド数を増やして、同じ手順をもう数回やると、さらに深まります。ユニットが小さいので時間調整しやすいファシリテーション手法です。

ただ8分読んで、それから8分しゃべるだけのシンプルな読書会の方法です

今回は朝10時から12時までの2時間の読書会イベントだったので、3ラウンドまわせました。当日の様子の写真などを交えて、もう少し詳しく手順を見てみましょう。

よびかけが大事

まぁ、これはどんな会議でも読書会でも同様なのですが、やはり広報文というか呼びかけ文がとても大事ですね。
今回はファシリテーター仲間のよーたろーがこんな感じでチラシをつくってくれました。文中にあるように「今読みかけの本や、最近読んで面白かった本、お気に入りの本などがあれば、1−2冊お持ち下さい」というご案内をしています。まぁ、開催場所が図書館なので、手ぶらで来ても、てきとーに本を借りられるのですが。
今回は「さまざまな本の世界を楽しむ読書会」という主旨なので、自分が好きな本を持ち寄って、本好き同士でお互いの世界を紹介しあう仕立てにしました。
8分間読書法は、こうやって色んな種類の本を混ぜながら読み合うこともできますが、課題図書を1冊決めて、それを全員で読み合う場合にも使えます。その場合は持ち物に「××という本を必ず持ってきてね」と案内すればOK。

小学生以上と書いたら本当に小学生も来てくれてうれしかった

読書会へようこそ!


そして、参加者が部屋についたら、やっぱりウエルカムを伝えたいですね。書籍を置くテーブルをかわいく整えたり、お茶コーナーをつくったりと。今回はうちのカミさんがコーヒーコーナーをこしらえてくれました。本とコーヒーは定番。こういうのがあると、断然場が和みますね。

右側の赤くかこったところがお茶コーナー。あったかいコーヒーでほっとひと息

まずは、自分が持ってきた本を見せながら、ちょっとした自己紹介タイムからスタートです。「えっと、私がもってきたのは<身体は考える>という古武術の先生が書いた本です」とか「いまさっき図書館のリサイクルコーナーでもらってきた競馬の本です(笑)」とか、わいわい自己紹介が始まります。

お気に入りの本を語るとき、その人らしさが伝わってくる

8分読む

ぐるっと皆が自分のオススメ本の紹介がおわったら、いよいよ8分間読書法に入ります。
「では、今回はさまざまな本の世界を楽しむ読書会ということで、今、それぞれから紹介いただいた本をちょっとお借りして8分間読ませてもらいましょう。たったの8分なので、全部は読めません。お好きなページを読んでもらってOKです。はじめに、、から順当に読んでもいいし、いきなり奥付やおわりにを読んでもいいし、ぱらぱらめくって気になったページを読んでもOK。まずは、8分間、本を手にとって読んでみましょう。8分後に、おしゃべりタイムを8分とります。今、読んだかぎりでは、こんな感じのことが書いてあったとか、私にはちょっと難しい本だけどこんなキーワードが出てる本だった、など、自由におしゃべりして下さいね。では、読む時間を私が8分計ります」といって、ストップウオッチを見せて8分間の読む時間をスタートです。

たかが8分、されど8分。その本の入り口に立つことができる時間。

8分しゃべる

さっきまでワイワイと自己紹介が続いていた空間に静けさが訪れる。そう、皆がそれぞれの本の世界に入り込む時間だ。8分というは、絶妙な時間で、ちょこっとだけその本の世界に入り込むことができる時間。ピ、ピ、ピ、ピーンとタイマーの音がなる。
「はい、ありがとうございました。これで8分ですね。まだまだ読み始めたところかとは思いますが、本の少しだけ、その本の世界を味わえたのではないでしょうか? 8分間読書法では、これから8分間おしゃべりする時間をとります。今読んだ範囲で、こんなことが書いてあったとか、第一印象としてはこんな本だと感じたとか、おしゃべりしてみましょう。ではせっかくなので、近くに座った方2−3名で話してみましょうか。はじめましての人がいたらご挨拶して、今読んだ範囲では、、とお話ししてみてください」と進めると、それぞれが本を手に話はじめます。

この日は絵本から小説、難解な専門書まで各種あつまってきての読書会でした

わーっと話が盛り上がったぐらいで、あっという間に8分が過ぎます。「はい、これが8分間読書法です。ちょっとだけその本のつまみ食いをして、その感想をおしゃべりする。やり方はわかりましたね? ではちょっと休憩をはさんで第2ラウンド行きましょう。その本の続きを読んでもいいですし、さっき彼が紹介してくれたその本ちょっと借りてもいい?と、別なつまみ食いをしてもOKですよ」と次の進行を予告します。結局この日は3ラウンドまわって、最後に感想を聞いてお終いとなりました。「今日は●●さんが紹介してくれたこの本に出会えてよかったです」とか「ふだんなら自分が絶対手にしない分野の本と出会えて新鮮だった」とか「図書館でこうやって本を通じてお仲間が増えたのがうれしい」といった感想も聞こえてきました。

という感じですすめるのが8分間読書法です。今回は120分のイベントでしたが、もっと短くもできるし、長く時間をとることもできます。たっぷり時間がある場合は、本を読んで疑問に思ったことや、皆に問いかけてみたい「問い」を出し合って、それをもとに意見交換する方法も面白いです。

なぜ8分?


8分間読書法をやると必ず聞かれるのは「なぜ8分なんですか?」という質問です。実はこれ、ワークショップの源流を探る読書会というのを昔仲間たちとやっていて、そのとき生み出された読書法なのです。当時、教育学者のジョン・デューイの分厚い本を皆で1章ずつ読んできて感想を話し合う、みたいなのをやっていたのですが、皆多忙で「ごめーん、読めてない」という参加者が続出したのでした。そこで、あらかじめ読んでから話すのではなく「その場で読んでみる」というスタイルを編み出したのです。で、なぜ8分なのかというと、たまたまその時いたメンバーが8人だったから(笑)。深い意味はないんですね。でも、実際やってみると8分刻みというのはなかなかいいリズムと感じます。

どんな時に使える?

というわけで、8分間読書法の進め方紹介でした。この読書法は、あらかじめ本を読んでこなくても開催できる手軽な読書会の方法として有効かと思います。
たとえばこんなシーンで活用すると有効です

1:出版記念イベントに
→ある本が出版されたとき、その出版記念イベントとして8分間読書法をやると、出来たてほやほやの本を皆でわいわい読むことができて楽しいです。著者を交えた出版記念パーティなどでやると、読んでみての感想を伝えられたり、本が出来た裏話とかを聞けたり、質疑応答もできて大変もりあがります。僕がかかわっている軽井沢風越学園のこの本が出たときも8分間読書法で、読書会を開催しました。

2:ワークショップの導入に
8分間読書法は短い時間で展開できる読書会の方法なので、授業や研修の場面の冒頭でも活用可能な方法です。例えばある組織の今後10年のビジョンを話し合う会議などで冒頭に「ではみなさん、10年後、社会がどうなっていると思いますか? ここには未来予測や新技術に関する予測本をたくさん置いてます。気になる本を手に取って8分読んでみましょう」みたいにやると「これから未来の話をするんだな」という気持ちが皆のなかに芽生えてきて、よいウォーミングアップになったりもします。

3:難解な本を読みこなすのに
そして、そもそもの使い方ですが、分厚めの難解な本を皆で読みこなすのにも、もちろん使えます。一人だと挫折しがちな本も、皆で読んで、ワイワイ感想を出し合いながらだと、最後まで読みススメられそうです。難しい内容の本も、途中で「あ、Aさんがいってたあのページが出てきた」とかなると、励まされる気持ちになったり、複層的な理解に役立ったりもします。

4:ライブラリの有効活用に
今回は図書館からのご依頼だったので、とくにこれを痛感したのですが、図書館は日本中にあります。また美術館や博物館、女性センターやテーマパークなどにも資料室やライブラリが併設されていることが多くあります。が、あまり活用されてないことも多いですね。そういう場所で8分間読書法をすると、図書館中の本が一気に皆の目や手に触れることになり、かなり面白いことになります。例えば、司馬遼太郎記念館とかマンガミュージアムみたいな場所で8分間読書法をやると、そのテーマに関心のある人が集い、交流し、面白い資料に出会うきっかけにもなったりするでしょう。

やってみよう!


というわけで、短時間で開催できる参加型の読書会の手法である「8分間読書法」のご紹介でした。皆さん、自由にアレンジして本を通じた交流や学習にどうぞお役立てください。メンバーと本があればどこでもできる手法です。オンラインでもやったことありますが、とても面白かったですよ。

https://note.com/aokimarky/n/n88ac055305fc

 
読書会のファシリテーション依頼などありましたら、気軽に声をかけてくださればと思います。

本を通じて豊かな出会いがありますように!


読書会の終了後もワイワイ話がもりあがって、なかなか解散しなかった。あー楽しかった!


後日談

読書会の当日、淡路島で「南あわじ図書館ラバーズ」という有志の団体が立ち上がりました。図書館好きな面々が集まって、本を通じて交流を楽しんだり、図書館を盛り上げる読書会イベントなどが展開されてゆくようです。インスタグラムをフォローして下されば、今後の情報発信もキャッチアップ出来るようです。僕も個人的には図書館ヘビーユーザーなので、また顔出したいな、と思います。皆さんの地域にも、図書館好きさんがつながるイベントあったりしますか? 色々教えてください。


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