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これが、俺の「本能寺」【読後感想】✗北野武『首』

11月23日公開。北野武監督作品、映画『首』の原作本。原作本があることは知らなかった。そう言えば、北野武の小説って、5年くらい前の文藝に掲載されていた『足立区島根町』を読んだのが初めてで、それだけだった。その作品の記憶(まったく覚えていない)も、コメントの記録もなかった。ただ、読んだことだけは記録されていた(簡単なコメントを残すようになったのはここ3年くらいの話なんだ)。

彼の映画は好きだよ。けっこう観ている方だと思う。『アウトレイジ』ね! 大好き。北野映画って、どの映画もバイオレンスシーンがあるイメージで、苦手意識持っている方もいるかもしれない。
でもね、これは観て!『キッズ・リターン』
有名すぎるかもしれないけど、あのラストのセリフは最高だった。大好きな映画だ。
しかし、それにしても多才だねえ。
それとね、
彼が小説を書くことは知っていたが、あんまり話題にならないよね。直近ではニノが主演する『アナログ』だって、原作は彼ですよ。この小説のことを知っていたって人は、かなり少ないんじゃないかな?
ちなみに、恋愛小説らしいですよ!
ちょっと気になるやんww


違和感はありましたか?
途中から北野武のことを「彼」で書いた。書くのは簡単なんだけど、僕にはものすごい違和感があった。読んでいて感じませんか?
それなら訂正すればいいのだろうけど、ひとつの発見・気づきとして残しておくことにした。

前振りが長くなった。『首』の話をしよう。映画は大々的に広告打っているね。あれは、観たい。というわけで、いい子ちゃんの僕は予習でもしておこうと読んだ(ほんとうは、たまたま見つけただけなんだけどね)わけ。

信長を殺れ!
天下を奪え!
読んだことのない「本能寺の変」がここに!
これが、「俺」の本能寺。

羽柴秀吉と千利休に雇われ、謀反人と逃げ延びた敵を探す旅をしていた曾呂利新左衛門は、信長に反旗を翻し逃走する荒木村重を偶然捕らえた。この首の価値はいかに。
曽呂利は、荒木村重の身柄を千利休に引き渡すが――。

信長、秀吉、光秀、家康を巻き込み、首を巡る戦国の饗宴が、今始まる。

北野武『首』帯より

2019年
 シビレル本
 歴史
 80点
 5.0h

はじめに、僕は歴史に弱い。それは日本史に限らず世界史でも同様だ。だから、歴史小説はちょっと敬遠しがちだ。背景もよく知らないで読むと、少し損したような気がするからだ。だからじゃないが、同じような言葉でも、時代小説ならそんなことはない。楽しく読める。でもね、どこか食わず嫌いなことも勿体ないので、歴史小説だからって、苦手意識を持たずに読んでみることにした。

と、昨年、はじめて大河ドラマを観たこともあってか、案外いけんじゃないとか思ったんだ。大河、楽しかったんだ!
なんだ、歴史って、けっこうおもろいかも(三谷作品だってこともあるだろうけどね汗)。みたいに最近になって思うようになったわけ。

時は元禄4年。場所は贅を極めた聚楽第。金箔瓦が陽を浴びて輝いていた。
すっかり老いた秀吉。この物語の主人公。
曽呂利は抱えの芸人。曽呂利は秀吉にある噺をしたんだ。『首』って話。

歴史の、ある昔話だ。

生きるためにずいぶん酷いこともした。
茂助ってのがいい味出しているんだが、なかなかエグイ。戦国時代ってのは、すぐ殺す。

ずいぶん命が軽いし、人権なんてあったもんじゃねえ。すぐ腹切りだ。

何を隠そう、秀吉は叩き上げだ。元は百姓だ。なんなら天下とっても、中身は百姓ってくらいなんよ。
で、そんな秀吉さんも過去はこんなだ。こんなことを言っている。もちろん時代もあるだろうし、そうでもしなければ生きていけなかったのだろう。が、かなりヤバイ。

下っ端の頃は楽しかったぞ。出城や敵が落ち延びた場所を追いかけては女を抱いて、敵味方構わず殺してな、無我夢中だ。
――敵味方? 味方もですか。
味方を殺してな、顔を潰してしまえば敵の侍だろ? どいつもこいつも侍大将くらいにならんと同じようなもんだ。なんでも殺せばいい。来る日も来る日も殺して。犯して、騙して後はひたすら寝る。どうだ、そういう暮らしは? 仲間もいっぱい死んだが、俺は生き抜いた。そうすると組頭にも認められて、中間、小者に取り立てられた。出世して思ったのはつまらんということさ。
雑兵の時は自由だった。位が上がった途端に忠義やら何やらに縛られる。気ままに生きるには下っ端か一番上かだ。

本書一部抜粋

いきなりだけど、
『君たちはどう生きるか』ではないが、こんな時代に生まれたらどうする?

老若男女幼子も関係ない、いきなりやってきた野武士どもが、試し斬りや言うて首を刎ねる。身分、これだけが全て。あまりに理不尽。簡単すぎる死。

僕は小説の物語よりも、なんだかこの時代背景に惹かれてしまった。惹かれる、というのは違うか笑
見過ごせない、気になっちゃう。そんなところに感情移入した。物語の登場人物は魅力的に書かれていても、一番関心を惹いたのは、時代という背景なんだ。これは、戦争関連の作品でもそうなんだと思う。

ごめん。独り言が過ぎた。脱線だ。
話を戻す。

で、信長と光秀。
戦国時代の覇者、信長のことがよく書かれている。どうしようもないガキで、とんでもない暴君ぶりがよく分かる。それに衆道。

また始まった信長さまの遊びが……
光秀は怯える。
たまたま俺の番じゃなかった。怖い、怖い。信長に仕えるとは、いつ殺されてもおかしくない。下手すりゃ戦場で死ぬ確率より高いぞ汗

さて、いったい誰が信長の跡目だ。こんな暴君の下に仕えているのは、我慢なんだよ。次は俺の番だ。天下……そう思っている。

が、信長の文を読んだ。そこには、、


さして、なのかもしれないが、ちょっと気になる文体と、ワードがちらほらあったかな。もちろん、それは個性とか良さなのかもしれないが、僕は少し気になっちゃう。ちょっとした感想。

面白かったよ。それはたしか。でも、キャラ迷子になったし、いまいち筋は分かっていない。でも、作家の色が見えた。面白おかしく書いているんだ。なんていうか、史実を盛大なコントにして、タケシ節で書いている。ちょっとシリアスなところや、胸糞悪いところもあるが、でも総じて娯楽なんだ。そういう小説だった。

とにかく映画よ、楽しみだな!
これで〆る。

最後まで 読んでくれてありがとうございます。
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なお嬉しいです。よろしくお願いします♪♪
また次の記事も読んでくれたら嬉しい(過去記事も)。それではまた明日!


きっとバレているだろうから話す。この記事は、失敗作だ。このことも、ひとつの発見・気づきだった。やはり苦手なジャンルなのかもしれない。けっして『首』が悪いわけではない。でも、自分でも分かるくらいに、とにかく書けなかった。この小説の良さをうまく言語化できなかった(そんなこと言うんならいつも出来ているんかって、そんな意地悪なことは言わないで汗)。とにかくできなかった、できなかった。この史実も、ちゃんと残して記録しておく。難しいもんだね!

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