La pause pipi -side Ben

「アイツのことどうしたいんですか」
「あいつ? アレクサンドルのことかな」
「他に誰が」
「彼が望まない限りどうもしない」
「名前もたまにしか呼んでもらえないって嘆いてる」
「それはいいことを聞いた。かわいいね」
「本心?」
「他になにが」
「ふざけているならあいつの代わりに怒ってもいい」
「怒られたくはないな」
「俺はあいつに幸せになってほしいんでね」
「私だってそうだよ」
「……それの半分くらい、あなたも幸せになればいいのにと思ってる。でも二人の思う幸せがずれたところにあるなら、俺はあいつの味方になる」
「ありがとう。心強いよ」
「だからこんなこと聞いてるんですよ」
「優しいな、君は」
「……好きなんすか」
「どうだろうね」
「ふざけないで」
「ふざけていないよ。この感情を人はそう呼ぶのかもしれない」
「……」
「君は殊勝な人のようだ」
「なにが?」
「同性同士なんて、否定する人間のほうが多いだろう」
「ああ。まあ、そうかも」
「彼は良い友人を持ったようだ。なによりだよ」
(俺は異性も同性もなく、あんたなら大丈夫って思ってるだけだよ)

タイトル日本語訳:おしっこ休憩 -ベンサイド

2023.12.10 初稿
2024.02.08 加筆修正