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読書感想文まとめ

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読書感想文として書いた記事をまとめたもの。
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記事一覧

読書感想文 #14:サイコメトラーEIJI「サイレントストーカー」

本稿ではCASE 3「サイレントストーカー」を扱う。 サイコメトラーEIJIでは「CASE.」でナンバリングされる事件回と「BREAK.」でナンバリングされる日常回があり、CASE 3「サイレントストーカー」ではBREAK 2で出てきたタカシという少年が引き続き登場、タカシの姉が所属するアイドルグループ周辺で起こる事件が描かれる。 サイレントストーカータカシの姉の清水晶子をはじめ、岡村いずみ、山村朝美、赤樹リエの4人で構成されたアイドルグループ「スクエア・ドール」がストー

読書感想文 #13:サイコメトラーEIJI「時計仕掛けのリンゴ」

本稿ではCASE 2「時計じかけのリンゴ」を扱う。 また、犯人についても前回以上にネタバレしていくのでご留意いただきたい。 電子書籍で読んでいるが、当時の紙媒体のみで読まれることを想定した作りからなのか、文字が小さく読みにくいコマが散見される。 これは不満とかじゃなく業務連絡みたいなものだと思ってほしい。 中央あたりのコマのセリフなんかは画面いっぱいにズームしてちょうどくらいだ。 あと私の眼精疲労がやばいせいもある。 通勤することがなくなって室内のものばかりに焦点を合わ

読書感想文 #12:サイコメトラーEIJI「殺人鬼メビウス」/安童夕馬、朝基まさし

先般「GTOの感想文書きたいかもぉ〜」みたいな独白を兼ねて昔のマガジンについて記事を書いたが、その後結局「サイコメトラーEIJI」を読み始めた。 信じられないくらい懐かしい。 小学生の頃以来である。 再読するにあたり感想文も書こうと思ったが、単行本にして25巻分を1本にするようなサマり力はないので事件ごとに1本書くことにした。 本稿ではCASE 1「殺人鬼メビウス」を扱う。 好みとの合致度:70%  - 絵柄:4/5  - ストーリー:3/5  - キャラ:4/5  

読書感想文 #11:監督不行届/安野モヨコ

好みとの合致度:75%  - 絵柄:3/5  - ストーリー:3/5  - ノリ:4/5  - 関係性:5/5 漫画として世に出されているから感想を述べるが、それにしてもよく知りもしないよそのご夫婦についてコメントするというのは不思議な気分である。 相性のよさ以前より、周囲の庵野監督作品好きの人々から「庵野監督と結婚したのが安野モヨコさんで本当によかった」といった評をよく聞いていたのだが、本書を読んで合点がいった。 安野モヨコ先生、庵野秀明監督、ご両人の人柄は存じ上げな

読書感想文 #10:(昔の)週刊少年マガジン/講談社

読書感想文の題材にBL漫画ばかりを選んできたのは巻数が少なくて書きやすいからなのに、何を血迷ったか全25巻あるGTOの読書感想文を書きはじめようとしている。 世界一好きな男の窪塚洋介が珍しくバラエティ番組に出てると思ったらGTOのドラマがリバイバルするらしく、これをきっかけに急にGTO熱が復活したせいだ。 一気には書けないから……数巻分ずつかな……書いてみないと分かんないけど。 その前に「マガジン」自体をちょっと振り返りたい気持ちになったので、本稿を書くことにした。

読書感想文 #9:神様なんか信じない僕らのエデン/一ノ瀬ゆま

好みとの合致度:80%  - 絵柄:4/5  - ストーリー:5/5  - キャラ:4/5  - ノリ:3/5 本稿では「神様なんか信じない僕らのエデン 上・下」および2巻末の作家さんのコメントについて言及し、2巻以降の本編は別で扱う。 予備知識:オメガバースとは 新しい視点からのオメガバース本作を初めて読んだ時、読みながらなんて素晴らしい作品なんだと感動していた。 感動したポイントは オメガバース設定の使い方が新しく必然性があること アルファ側の戸惑いや葛藤が描

読書感想文 #8:滅法矢鱈と弱気にキス/腰乃

好みとの合致度:60%  - 絵柄:2/5  - ストーリー:4/5  - キャラ:3/5  - ノリ:3/5 2024年1月時点で2巻まで発売されており、本稿ではその範囲に言及する。 上部に公式のあらすじを引用しているが、内容が不正確であまり参考にならない。ワードを拾っているだけで筋が掴めていないので、書いた人はちゃんと作品を読んでいないと思う。 予備知識:オメガバースとは 設定が細かく練られた割とリアルな内容なのに、ドナルド・ダックのアニメ並みに生物のしくみや物理

読書感想文 #7:夜はともだち/井戸ぎほう

好みとの合致度:85%  - 絵柄:4/5  - ストーリー:3/5  - キャラ:5/5  - ノリ:5/5 SとかMとか恋愛や性生活に関して私は本当にノーマルで、同性を恋愛的に好きになったことはないし、相手を痛めつけて興奮するとか、痛めつけられるのがたまらないとか、そういうことにもやっぱり共感できない。 殺したいくらい憎い相手がいたとして、その人を痛めつけたら気分がいいみたいなことがあるのかもしれない。でもそれは復讐の快感だからSMとは違うんだろうし。 深く共感はで

読書感想文 #6:ワラビー☆ワナビー/瀬戸うみこ

好みとの合致度:60%  - 絵柄:2/5  - ストーリー:3/5  - キャラ:3/5  - ノリ:4/5 ずっとふざけてる大体にしてタイトルが「ワラビー☆ワナビー」な時点で悪い意味でふざけているとしか思えない。 どうせイロモノ漫画でしょ、テンションだけのつまんないギャグばっかで全然笑えないパターンの。そう思った。 でも……なんでワラビーなんだろう? まんまと釣られて試し読みすることにした。 買うことはないだろうけど、とタカを括って。 ゲームのテストプレイをして

読書感想文 #5:別れてやらない!/さん太ろ

好みとの合致度:80%  - 絵柄:3/5  - ストーリー:4/5  - キャラ:4/5  - ノリ:5/5 BL漫画というより日常ギャグ漫画+BLみたいな感じか。 私はこの作家さんのギャグセンが好きなんだと思う。めちゃくちゃ楽しめた。 ずっと誤解してる隠れる気のない覗き見ギャラリーの面前でイケメンモテ男の文屋から告白された秋良はドッキリと思い込んで華麗にOKし、その後も勝手に深読みして「友達として一肌脱いでる」つもりでずるずる恋人ごっこを続けるも……みたいな話。 だ

読書感想文 #4:シュガードラッグ2/頼長

好みとの合致度:85%  - 絵柄:3/5  - ストーリー:5/5  - キャラ:4/5  - ノリ:5/5 頭の中であれこれ考える系漫画、大変好物である。 心理戦・頭脳戦が描写される分かりやすい例としてDEATH NOTEを挙げるが、あちらが「新世界の神になる」ため「正義」のためのチェスゲームになっている一方、こちらでは「保身」のための攻防が描かれる。 正義とかそういうデカいことはどうでもよくて、「ここは治外法権で常識も通用しない。しくじったら普通に殺される。なんと

読書感想文 #3:牧田くんの恋路をジャマすると死ぬ/生芥

好みとの合致度:80%  - 絵柄:4/5  - ストーリー:4/5  - キャラ:4/5  - ノリ:4/5 完全ノーマークだったこの作家さん、かなり好きかもしれない。 導入は不良ものっぽいのだが、いわゆる不良描写はほぼない。 常盤は強いやつを見るとオラわくわくすっぞ!状態になる悟空みたいなやつで、牧田は不良というより身体能力の高いサイコパスである。 私はBLや少女漫画の(女性作家が描く)不良ものや極道ものがあんまり好きではないのだが、本作では個人的に苦手とする要素が

読書感想文 #2:雨月堂アンティーク/露久ふみ

好みとの合致度:55%  - 絵柄:3/5  - ストーリー:2/5  - キャラ:3/5  - ノリ:3/5 雨の日だけ現れる骨董屋、というなんとも雰囲気のある舞台設定。 暗く湿った外、木造りの館、小窓のステンドグラス、蝋燭の明かり。 「暗く湿った外」以外は私の想像でしかないが、そういう何か始まる予感しかしない雰囲気にとてもわくわくする。 雨宿りついでに立ち寄った颯が店内で祖父との思い出の懐中時計を見つけるシーンがあり、求める者の前に求めるモノが現れるみたいな感じがx

読書感想文 #1:MADK/硯 遼

好みとの合致度:85%  - 絵柄:4/5  - ストーリー:5/5  - キャラ:4/5  - ノリ:4/5 本稿では1巻の感想を主に記述し、2巻3巻について別途記事を作ることもないが、3巻までのネタバレが随所にあり、末尾にて最終話を含む作品全体についても言及する。 不要な場合は手前まででとめていただきたい。 1巻の表紙に心を奪われ完全なるジャケ買いをした作品であり、今となっては私の本棚(紙)に2作あるBL作品のうちの1作だ。 どうか表紙の美しさを細部まで堪能してほし