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Helluva BossのブリッツとDetroit:Become Humanのレオ

全く関連づけずに観ていた動画同士がふと繋がった気がしたので書き残すことにした。

本稿ではアメリカのインディーズアニメ「Helluva Boss」の主人公である「ブリッツ」とフランスのゲーム会社が制作した「Detroit: Become Human」の登場人物レオの共通点について記述している。


ブリッツの悪癖とレオの寂しさ

「好きになった相手と健全な関係を構築できず逆に酷いことをして遠ざけようとする」

HB1x6の幻覚で明かされたブリッツの悪癖は、DBHの「レオ」の寂しさの表現の仕方、愛情のたしかめ方にも似ているのかもしれないと、ふと思った。

下に貼った動画の11:22あたりからレオの紹介、14:33あたりから解説が始まるが、解説の方はブリッツのことだと思って聞いても結構当てはまる(ように感じる)ポイントが多い。

この動画はDetroit:Become Humanに登場する著名な芸術家カール・マンフレッドとその息子レオ・マンフレッドの親子関係を精神科医の視点から分析するという趣旨である。

分析を担当されている名越康文先生は精神科医という肩書きでありつつ、いわゆる「精神医学」というより主に「体癖」の観点から分析をしているようだ。

どこまで分析しても考察しても正解は作者にしか分からない(あるいは作者にも分からない)ことだから確証はないけれど、モヤモヤしたものが言語化されていく点や、自分では考えつかない可能性を提示してもらえるという点ですごく面白い。

残念ながらDBHではレオの出番は多くはなく、ブリッツのようにコメディチックなシーンも描かれないため「陽の面」でどんな振る舞いをするのかは知るところにない。

もしかしたら動物好きで、部下思いで、コメディリリーフな一面も持っているのかもしれないけれど、ゲーム内で描写されなかったため真相は闇の中だ。

ブリッツとレオはどちらも「父親からの愛情を実感できぬまま成長した」「父親から認めてもらえなかった」というバックグラウンドが共通しているが、レオの母親にはわずかに触れた程度で兄弟姉妹の存在には触れられていない。

ブリッツは母親との仲は良かったように推察できるが、母親に関しては物語上の謎であり、また双子の妹が存在するため父親以外の家族との関わりはレオとは異なる。

現在のブリッツが父親との関係性をどう捉えているのか分からないが、幼少期(2x1)のブリッツを見るに父親からの愛情に対する飢えはあまり感じられず、それよりも母親と妹のことをとても大切に思っているのであろう表現が多い。

しかしレオはずっと父親に対して「かまってちゃん」的な振る舞いで、小さい子がわざと親を困らせて注意を引くようなことばかりしている。

動画内で紹介されているようにレオにとっては家族関係が成熟せぬまま時間だけが過ぎてしまい、そして偉大な成功者の父親と何者でもない放蕩息子という比較に晒されることは当然あっただろう。

ブリッツにとっては父親ではなくバービーやフィズ、ヴェロシカが「かまってほしい」相手であり「コンプレックスを刺激される」相手だが、動画内で語られている「自分が嫌なことを言ってもそれを乗り越えて自分を抱きしめてほしい」というレオの心の動きは、ブリッツのそれと重なる部分があるのではなかろうか。



余談

HBの続編のお知らせのお知らせまでしか届いていないので、最近はHBのリアクション動画を上げているリアクターさんたちのチャンネルを観ている。

普段観ているリアクターは音楽か自国のメジャー作品か日本のアニメのリアクションしかしないため新たにリアクターを探さねばならず今のところ男性リアクターのチャンネルいくつかでしか見ていないが、概ねHHから入ってスピンオフのHBを見つけ、HHとの関連を見つけて喜びつつPILOTの"Sorry, I f**ked your husband."で「えっ」となるのが共通している。

他にも2x1でステラがパーティー中に大声で言いふらしている"Stolas is terrible in bed!!" には全員引いているし、そこから急にストラスの味方をしはじめたりするのはプライドを傷つけられる痛みを共有した男同士の連帯感みたいなものなのだろうか。

ちなみにHHでエンジェル・ダストがポルノ・スターであるところまでは普通に受け止めるがその後エンジェルがネコ側であると判明した時も「えっ」という反応なのが面白い。

ポリコレやLGBT+の本場であっても「えっ」なのはキリスト教の本場でもあるからなのだろうか。

例によって親しい友人とは一切Hellaverseの話題にならないので周囲の日本人の反応は全く分からないが、英語話者のリアクターたちの反応は自分と共通するところも多々ありつつ意外な部分も多い。

私にとっては全く予想外のところで爆笑していたりするし、全く問題のない表現だと思っていたところで「うっわ……マジ……まじかよ……Holy s**t……」となっているので、興味深い反面「私もその楽しみ方してえ〜〜〜😭」と羨ましい気持ちになったりもする。

どれだけ必死に英語を読み取ってもネイティブの感覚や文化的背景がないと理解できない点がたくさんあるという事実は少し寂しく思うが、そこは日本産コンテンツへの理解とトレードオフになりかねないので甘んじて受け入れるか、ネイティブに解説資料を発注するか、自分が英語圏に移住して学んでいくしかない。