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101回目のプロポーズに圧倒される

個人的に思うTVerの素晴らしいところは、昔のドラマを一定期間配信してくれることだ。私はいわゆるZ世代でありながらも、三度の飯より私が産まれる前のテレビ好きな、世にも珍しい男である。それも平成レトロとかシティポップのブーム以前に昔の日本の音楽(実は洋楽もいける)やテレビに興味関心を持っていた筋金入りの趣味。なぜ興味があるかは今回割愛させていただく。

101回目~の何が面白いか。真っ先に言いたいのは、1話から古賀シュウとミラクルひかるの顔芸…おっと失礼、武田鉄矢と浅野温子の目まぐるしく変わる表情のバリエーションだ。かなりコミカルタッチなので、途中までよく作られたコントかと思った。(ちなみに先程、古賀シュウ&ミラクルひかると形容したのは、過去テレ東で放送していた「モノマネ芸人○○人が選んだ今本当に凄いものまねランキング」の番組で、101回目~のパロディを1度やっていたため。しかも割と忠実らしい。早く例のシーンの出る6話を観たいものだ)
一旦顔芸のくだりは忘れてもらって、それ以外の点で面白い点を挙げるなら、中身はいわばラブコメであるものの、セリフが全体的にやや洗練されている。そういえば脚本家はあの野島伸司氏だ。現在私はHuluで、「同情するならカネをくれー!」でお馴染みの『家なき子』を視聴していて、それの場合大人の醜悪さなどを生々しく描いた話だが、この作品も野島伸司氏の作品である。確かに101回目~にもどこか社会問題を突いた野島イズムを感じさせる(親との電話でお見合い結婚の話を聞かされるなど)。
また演者や演出も素晴らしい。武田鉄矢の生真面目過ぎておかしい性格も抜群にフィットしている上に、チェリスト役の浅野温子さんのお見合いでの愛想笑いとその裏の感情の使い分けが絶妙である。長髪だった頃の江口洋介さんの威勢のいい弟役も合っている。加えて、主題歌はCHAGE and ASKAのSay Yes。メロディーは既に何度も好きで聴いていたので、流れると歌いたくなる。ついでに、『家なき子』の中島みゆきの"空と君とのあいだには"も良かった。いやそれ以外の普通の音楽も両作品も良かったと思う。当時の制作陣はセンスが磨かれているなぁ。視聴率20%を越すのも容易に想像できる。
101回目~に戻るが、過去の回想シーンはフィルムカメラのような映像で映し出されている。細かい話にはなるが、それは左右だけでなく、上からのカメラワークもあった。それも昨今のドラマ視聴の感覚なら、少し意外なタイミングで。当時の撮影技術は凄い…。むしろ昨今の作品のバリエーションがなさすぎるのか?

とりとめのない書き方になってしまったが、若い人たちに是非オススメしたい作品である。今でいう韓ドラの要素が野島伸司作品に結構詰まってると思う。私は以前、野島伸司氏の作品で『高嶺の花』を観たことがある。民放キー局の視聴率競争の観点で言えば、後半戦で下降気味になり、一方同時期に放送されていた『義母と娘のブルース』に追い抜かれ、世間的には印象の薄い作品になったかもしれない。けれど当時の僕はぎぼむすを観ずにあの作品を観続けていた。毎週ドロドロしていて胸糞悪い思いをしていたが、何か強く惹き付けられる魅力がある。それは主人公のピュアさ、哲学的なメッセージ……。これと言う表現が思い浮かばず、拙い表現で終わってしまう自分の力量のなさを今痛感した。余裕があれば是非それも観て欲しい。

野島伸司作品はとても奥深い。

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