見出し画像

安田顕の調理説明にひとつひとつ疑問に思うシナモンは優れた思考の持ち主ではないか、という話

TBSは今年大転換を迎えている気がする。
VAVANTの大規模ロケと豪華演者陣の他に、一昨日TBS JOB FES2023(25卒向けの企業説明会)・オールスター感謝祭&後夜祭・TBS COLKLECTION2023秋(ドラマ制作発表のこと。おそらく初の地上波放送!)の3大イベントをこなすなどテレビ全体を盛り上げようと必死に努力している空気を感じた。もちろん大いに派手にやってほしいことは確かだが、その分裏方さんたちの苦労は計り知れない。VIVANTの砂漠シーンでは砂を汚さないようにリハは少なくし、砂嵐のシーンはスタッフが人力で風を起こすなどの努力があった。オールスター感謝祭には美術・技術さんなど合わせて200名ほどが参加しているらしい(JOB FESでの情報より)。しかも司会はラヴィットでおなじみ田村真子アナ。平日朝生放送やるだけでも激務なのに、土曜に説明会も担当とは驚く(この間はVIVANTの特番にもいたし)。さらにTBS COLLECTIONで秋ドラマの豪華演者陣が10名近く登壇しているので、あの日はさぞ身体と頭をフルパワーで働かせたことだろう。彼らの努力の対価に見合うリラックスを上層部がきっちり提供すべきだ。よくやっているよテレビ関係者は。

本題に戻ろう。そのムーブメントのひとつに、最近変な番組が放送開始された。それがあのゆるドキ☆クッキング(以降、クッキング)だ。
前提として、設定の状況説明がほぼ全くと言っていいほど固まってない。

「空の上からやってきたシナモン、色々あったなか彼が辿り着いたのは安田顕のクッキングスタジオだった」

冒頭のナレーションで誰が納得するのだろう(笑)偶然のなかでもどんな確率をもって、サンリオのシナモンが人間界のクッキング番組に参加することになるのか。それに料理のイメージが湧かない安田顕さんの起用も謎が多い。令和の時代なら成立するみたいだ(?)

加えて、実際の調理に与えられている時間がどう考えても短い。そのわずかな時間で料理完成できるなら、男女関係なく人は皆料理を日々するはず。いったい何をしたいのか、、、

けれど考察してみれば、意外にも深いメッセージが隠れているのではと推測している。第2回放送のシナモンは安田顕の説明に対し「てきぱき?」「たっぷりってどのくらい?」「ひとつまみ?」と純粋な顔で容赦なく質問してくる。安田顕さんはこれらに「てきぱきっていうのは、無駄なく頑張るってこと」「このキャベツが大きく入るぐらいのお鍋に…」「親指と人差し指と中指でつまむってことだね」と返す。しかしシナモンは分からない言葉や概念が多いそうで、「僕のお風呂くらいってこと?」「誰の指?」と聞く。それでも安田さんは丁寧に優しく返答する。

このやり取りに実はかなり大切な教訓が隠されていると思う。まず、分からなければ聞く姿勢である。次に、『たっぷり』などの抽象的な表現を具体化させる説明の配慮、最後に常に優しく対応である。これらの要素を人は意外と忘れがちだ。
つい自分の当たり前や普通、共通認識を簡単に言ってしまう。そう言えば、楽だからだ。普通はこの場合こういう程度だと決まっている、よって説明はこれ以上いらない…その思考が人に固定観念を植え付ける要因になるわけだ。対応のほうも、何も知らない相手に「なんでわかんねぇんだよ」というスタンスでいるのもおかしい話である。それも自分は過去に多少なりとも苦労したはずが、その記憶を忘れて相手に突っかかるのは奇妙な光景だと思わないだろうか。

私にとっては、そういった考え方、聞くこと、教え方の根本姿勢を教えてくれる番組だと推測している。無邪気に問うシナモンの姿勢を、私も見習いたい。

20年以上積み上げてきたユーモアと視点を皆様に提供するべく、活動しております。皆様のご協力でもっともっと精進致しますので、是非支援の方もよろしくお願いいたします!