見出し画像

【記事発信の効果とは?】応募数6倍を実現したベンチャー人事とガチ回答

エントリー数を10倍にしたい!
そして内定承諾率100%の激アツエンゲージメントを実現した〜い!

こんにちは! 採用広報お姉さんのアオパンです。
私は会社説明資料の作成・記事執筆・写真撮影などを通じて、複数社で情報発信のお手伝いをしています。

以前登壇したHR/PRイベントでは、多くの質問や感想をいただきました。
予想以上の反響にちょっと驚いたりしましたが、それはきっと「採用広報」に悩んでいる企業さんが多いからなのだと思います。

一生懸命スカウトを送っても返信は少なく、有力候補は他社に決めてしまう。
もっと会社の魅力を発信した方がいいんだろうなとは思ってるけど、効果が不明瞭だからどんどん後回しになる……。

「本当はもっとやりたいのに、なかなか注力できない」
そんな悩める企業さんからよく聞かれる質問をもとに、記事コンテンツについてしっかり言語化しておきたい!

ということで!
今回は私の師匠であり、3社で人事責任者を歴任する「プロ人事のまんぶさん」との対談形式でお送りします。

<語り合う人>

まんぶ(徳永 学)

キャリアトラック株式会社 代表。ドクターメイト株式会社 CHRO。
経営者とプロ人事の二刀流で、仲間集め・組織づくり・キャリア支援に挑む。
バスケ観戦が大好きな2児の父。

アオパン(青柳 ゆみか)

取材して撮影して執筆する、情報発信系フリーランス。
社員インタビュー記事を中心に、3年で150本の採用広報コンテンツを書いた人。
料理下手との噂があるが、まだ本気出してないだけ。

Q1:記事を書いたら、すぐに応募が増えますか?

アオパン:
そんなわけでまんぶさん、よろしくお願いします!
ふたりでコンテンツストック型の採用広報をしてきて、3年くらいになりますね。

まんぶ:
もう3年か、早いですね〜。

僕が人事にキャリアチェンジしてからは7年ほど経ちますが、始めたばかりの頃と比べると直近1〜2年くらいで会社の魅力発信に力を入れることが当たり前になってきた感じがします。
この機会に改めて言語化しましょう!

アオパン:
ありがとうございます!

今日は採用広報の中でも「記事を使った情報発信」に的を絞ってお話ししていければと思います。
最初は、採用広報支援に入る際によく聞かれる質問から。

「採用広報活動として記事を執筆すると、2,3ヶ月後にはどのくらい応募が増えますか」というものなんですが、実を言うとなんとも回答しづらくて。

まんぶ:
人事担当としては費用対効果を考えたいところだと思うので、そういう質問は出るでしょうね。でも残念ながら、記事を書いても短期的な応募増には直結しないと思います。正直、2,3ヶ月後に大きな変化を感じることはできないかと。

短期的な成果を求めるのであれば、エージェントさんに相談したり、自社でスカウトしたり、求人公開する媒体を増やしたりするプッシュ策に注力をした方が効果的かな。

アオパン:
やっぱりそうですよね。記事を書くのって時間かかるわりに、成果が現れにくいですから。
「コンテンツ書く時間あるなら、スカウトした方がいいんじゃ?」と感じる方、多そう。

まんぶ:
わかる。でもそれは、あくまで「短期的な成果だけを見たら」かな。

スカウトって採用を急ぐほぼすべての会社が送っているし、エージェントさんもたくさん送っているじゃないですか。
その中で、目立ったり惹き込んだりするための工夫がどれくらいできているかって考えると結局、違いを伝えるためのコンテンツが必要になるんですよね。

もう少しストレートな表現にすると「スカウト送るだけじゃ振り向いてもらえない時代」だから、コンテンツを用意するのが当たり前だと思ってます。
その上で、全力でスカウト送らないといけないですね。

アオパン:
応募者を増やすためには「スカウトも」しないといけないけど、候補者に認識・識別されるためには魅力を伝えるコンテンツが必要、ということですね。

Q2:いつごろ、どんな効果が出ますか?

アオパン:
「記事を書いてもすぐに応募が来るわけではない」という話になりましたが、「じゃあ長期的には、いつ、どういう効果が出るの?」というのが次の質問です。

まんぶ:
長期的をどこに置くかでだいぶ変わりますが(笑)。
1〜2年くらいの期間で考えたら、確実に人は集まります。

2年後に応募数を10倍に伸ばすのも夢じゃないです。まさに今、ドクターメイトがそういう状態です。しかも、めちゃくちゃコスパがいい!

アオパン:
毎月のように社内ギネスを更新するくらい爆伸びしてますよねぇ、応募!
今のところ、1年前と比べるとエントリー数は4〜6倍くらいですか。最終面接の内定率も9割超えになりました。

まんぶ:
ですね。どのくらいの時間と労力を割いてやり切ろうとするかとか、メンバーの協力をどのくらい得られるかにもよりますが……。
僕とアオパンが出会った前職コドモンでも、似たような速度でエントリー数が増加していきました。地道にコツコツ取り組めばこのくらいの再現性があることは肌で感じています。

スカウトだって、情報提供をしっかりしていない状態だったら返信率は上がってこないと思うんです。情報が溢れているこの時代において、調べても情報が出てこないなんて、もはや怖いじゃないですか。

アオパン:
それはめっちゃ思います。食べログに存在していないお店に入る感覚や、amazonのレビューがついていない商品を購入する感覚、あたりに近いというか(笑)。

まんぶ:
だから、ホームページを綺麗にして、求人・エントランスブック・ピッチ資料を整理・用意するのが、まず最低限ザルの目を塞いだ状態で。

そこからさらに、中にいるメンバーの目指す未来や会社のカルチャーを記事にして共有することで、安心感やファンづくりに繋がっていくと思うんです。人は感情の生き物だから、ストーリーで共感・感動してもらうのが大事なんですよね。

そうすると「レンチン」が実現する。

アオパン:
ん? レンチンってなんですか?

まんぶ:
僕ら経営層って最終面接に出ることが多いんですけど、その時点で候補者の意向が上がりきっていると「あったまってるね」って意味で「レンチン(レンジでチンした)状態」って僕は言ってて(笑)。

クロージングなんか要らないんです。一生懸命誘わなくても「入りたいです!」って言ってもらえる。なんだかんだこれが、記事発信を重視する一番の理由ですね。

アオパン:
たしかに「意向上げの工数が激減する」とよく言われます!
そのぶん雑談をする余裕ができて、カルチャーマッチの確認もしやすくなったとか。

あとは面談・面接時に質問があれば「ここに詳しく書いてあります」と情報提供できるので説明が楽だし、伺った興味・関心を元に「よかったら、この記事読んでみてください」とURLを送るだけで企業研究してもらえる、と。

まんぶ:
本当にそう!
そのステップで「ここに情報がまとまってるんだな」と候補者もわかってくれるので、あとは自由に記事を回遊してもらって。
最終面接の時には「全部読んだので、もう御社のこと大体知ってます。ファンです!」って状態になってるわけですよ。

ニヤリ😎

Q3:何本くらい記事を書けば成果が出ますか?

アオパン:
「レンチン」されていればクロージング要らず、とのことですが、続いてはレンチン実現までの必要工数的なお話です。
相手の関心に合わせて記事をレコメンドしたり、回遊する中で心が震える記事を見つけてもらう、ということを考えると、記事の本数はそこそこ必要ですよね。

広く浅くではなく、狭く深く適切な用意するという意味で、株式会社Haul COOのワタナベシンペイさんが「採用狭報」って言葉を使ってらっしゃるくらいなんですけれども。

まんぶ:
全ての人が共感する記事なんて無いですからね。記事を読んで、誰か1人でも心が震えて行動してくれたら大成功だし、ターゲットの分だけ用意しておくのが大事だと思います。

経営陣やサービスの紹介に加えて、募集する各ポジションのメンバーインタビューと、部署ごとの座談会が用意できたら、仲間集めの土台ができたなという感じがしますね。

アオパン:
そうやって数が担保できると、会社の雰囲気が目に見えるようになってきますね。
私はよく採用広報を「本棚づくり」に喩えるんです。並んでいる本のレパートリーで、人柄や方向性が見えてくる感じに似ているなと思って。

ファンづくりって意味だと、Youtuberとかイメージしてもらうと分かりやすいかも。動画1本でチャンネル登録することってあんまりないと思うんですが、複数の動画を色々観て回るうちに「これからも追いかけたいな」って感情になっていくというか。

まんぶ:
ですね! 自主回遊を生むためにも、やっぱり最低限10〜20コンテンツくらいは必要かな。隔週で記事を出すとしたら、約1年で土台ができるイメージです。

ただ、これも注意が必要で、その後ずっと出さないと「動きのない会社」に見えてしまうので、月に1本くらいは続けた方がいいと思ってます。
トヨタみたいな誰でも知っている会社でも、アナウンサーを引き抜いてまで自社メディアを作って情報発信を続けていますから!

Q4:クオリティはどこまで意識すればいいですか?

アオパン:
本数を書くことや、継続して発信することを意識した上で、今度気になってくるのは「クオリティ」かと思います。まんぶさんはどうお考えですか?

まんぶ:
うーん。何もしないよりは、何か出しておいた方がいいんじゃないか(=クオリティは低くてもいい)という考えもわからなくはないんですが。

まだ知名度が低くて土台のない会社においては、ちゃんとコーポレート部門が主導して設計した、クオリティの高い記事を出していくべきだと思いますね。

採用広報が強い会社っていうと「全員広報の文化」があるLayerXみたいな組織をイメージするし、そうなろうとして特にルールを定めずにみんなでどんどん書くことを目指す企業もあると思うんです。

でもあれは、網羅的に必要情報をまとめた発信があるのにプラスして、自由な発信もあるから魅力的なんですよね。
全員で情報発信することはもちろんいいことですが、コーポレートとしてはその発信文化が輝くようにちゃんと土台を作り込む意識が必要かと。

アオパン:
経営陣や各部署の紹介が「土台」としてまとまっている上で、現場から見た生の声をnoteで知ることができる構成になってることが重要なんですね。

私が執筆するときも、求人媒体やコーポレートサイト内で候補者が回遊したり、求める情報に辿り着きやすいように設計しています。
座談会記事では登場メンバーの紹介時に個人インタビューのURLを貼るし、過去記事に関連する話題をなるべく取り上げて、導線を置きます。

まんぶ:
まさに。そうやってつながり合っているからどんどん読めますよね。それに、執筆のテイストが揃っていれば、続けて読む際の負荷も小さい。

しっかり心が震えることで、熱量の温度は上がっていきます。
ドクターメイトの「レンチン」は、記事の内容・書き振り・設計・写真などのクオリティを大切にしているから実現していると思います。

とはいえ、ベンチャーで採用広報専任の担当者を雇うのって厳しいんですよね。どうしても片手間になってしまうし、採用広報のノウハウが無い人が「レンチン」を目指すのってかなり時間がかかると思うんです。
クオリティの低いものを出し続けたら、イケてない会社だと思われて逆に冷められちゃう恐れもある。

そういう意味で、10〜15万円/記事くらいで継続的に心が震える記事を書いてもらえるなら、プロに頼んだ方が絶対いいと僕は思いますね。
人材紹介会社を使うと1人の採用に150〜200万円くらい平気でかかることを考えたら、安い投資ですよ。

Q5:結局、記事発信の貢献価値はどこで測れるのでしょうか?

アオパン:
色々聞いてきましたが、まとめに入りましょう。
結局、記事発信の価値とはどこで測れるのか!?
これが私の中でも、最も悩ましい質問だったりします。

まんぶ:
どの記事をどの順番で読んだかなんて追えないですし、ましてやどの段階でどんな気持ちになったかなんてわからないですからね(笑)。

アオパン:
そうなんですよ……。
副次的な効果として、仲間を知って関係性を円滑にするインナーブランディングとか、自身の仕事を振り返ることで意義を見出すエンゲージメントの向上なんてのも意図しているんですが、これもまた心の話だから計測しづらくて。

PV数が増えても、応募に繋がるとは限りません。
仲間集めには多くの人が関わるから、入社決定しても記事のおかげとは言えないし……。もちろん、一部を担っているという自負はあるんですけど。
「記事の質」を定量的に評価するって、難しいんですよね。

まんぶ:
こんなにやっている我々でも、貢献価値の測り方は説明できないっていう(苦笑)
ただ、さっきアオパンが言った通り「副次的な効果」で2度3度おいしいのがコンテンツ。そういう意味でも、貢献価値を明確に計測する必要はないと思ってます。

アオパン:
他社の事例を聞いてみても、「色々やってきたけど今は効果測定をしていない」という回答も多い印象です。数字を追いかけても、本質的な部分とズレてしまうからかもしれません。

とはいえ、何かしらの成果を感じられないと優先度は上げにくいですよね。

まんぶ:
記事執筆の効果で大事なのは「知る機会になった」「読んで好きになった」「入社の意思決定を後押しした」という結果です。
そう考えると、候補者に「応募のキッカケ」や「入社承諾の理由」になったかどうかを聞いてみるのが、狙いに一番近い数値が出てくる調査かな。

でもまぁ、そこまでしなくても面接官から当たり前のように「また会話でコンテンツの話が出ましたよ」と教えてもらえるのが、レンチン感あって僕は好きです(笑)。

結局、多くの人に我々の思いを知ってもらうキッカケを作れていて、そこから仲間になってくれる人が1年に1人でも出てれば十分じゃないですかね。

アオパン:
人の心を動かしてファンを増やす仕事だからこその結論ですね。
今日はありがとうございました!

会社の魅力、人の魅力、文化の魅力。
これからも、自己開示的な情報発信で「レンチン」を実現していきます!
追加のご質問などあれば、お気軽にお声がけください🙌

アオパン

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?