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読書日記

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記事一覧

吉本「西行論」は親鸞になりえたのか?

『西行論 』吉本隆明(文芸文芸文庫) 1 僧形論 西行の説話集『撰集抄』は今日では贋作とされ…

やどかり
3日前
7

多様性の旧約かと思っていたがそうでもなかった。

『物語としての旧約聖書: 人類史に何をもたらしたのか』月本 昭男 (NHKブックス) 神の似姿に…

やどかり
4日前
9

ダース・ベイダーとしての光源氏の老いの世界は喜劇となっていく

『窯変源氏物語〈7〉胡蝶螢常夏篝火野分行幸藤袴 』橋本治(中公文庫) 玉鬘十帖のうちの7話。…

やどかり
5日前
6

美意識=死生観なのか?

『短歌と日本人〈2〉日本的感性と短歌』佐佐木幸綱(編) 座談会「日本人・こころ・恋歌」……

やどかり
8日前
14

2024年4月の読書

『春と修羅』の読書。西行の求めた世界は桜だけではなく月もあったのだ。そして地獄絵図の世界…

やどかり
9日前
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『白鯨』を読む

『白鯨 上 』ハーマン・メルヴィル(岩波文庫) ペリーの来航より前に書かれたのだった。ペリー…

やどかり
12日前
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行ってみたい地獄巡り

『地獄遊覧 地獄と天国の想像図・地図・宗教画』by エドワード・ブルック=ヒッチング(著),藤井留美(翻訳),ナショナルジオグラフィック(編集) ナショナルジオ・グラフィックの図鑑だから絵が凄い。こんな地獄絵を見せられたら地獄に行ってみたいと思う。日本の地獄絵の方が稚拙な感じだが、その分どろどろしている感じだ。こっちはアートの世界だから、美しいというかそれで面白い。天国図もあるけどやはり地獄図に憧れてしまう。キリスト教世界の地獄図は特にアートとして観賞出来る。ギリシア神話と

『昭和俳句史』俳句のカルチャー化は何をもたらしたのか?

『角川俳句コレクション 昭和俳句句史 前衛俳句~昭和の終焉』川名大 昭和の俳句史を句作から…

やどかり
2週間前
15

宮沢賢治のキリスト教世界の憧れ

『宮沢賢治の真実 : 修羅を生きた詩人』 梯久美子『サガレン』を読んで宮沢賢治に興味を持っ…

やどかり
2週間前
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たまにはネットの接続も切って、考えろということか?

『動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』千葉 雅也【著】 (河出文庫ち 6-…

やどかり
2週間前
19

『源氏物語』の物の怪は「愛の亡霊」なのか?

『源氏物語論』吉本隆明 『源氏物語』の解説本というよりも吉本隆明が『源氏物語』を通して文…

やどかり
2週間前
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吉野は桜ではなく葛の幻影

『吉野葛・蘆刈』谷崎潤一郎 (岩波文庫 ) ある方のレビューを読んで後藤明生『吉野大夫』と書…

やどかり
2か月前
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『源氏物語』の「もののけ」は当然の感情である。

『源氏物語 A・ウェイリー版2』紫式部 ,アーサー・ウェイリー(翻訳),毬矢 まりえ(翻訳),森山恵…

やどかり
3週間前
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外部からの批評に短歌はどう答えたか?

『現代短歌史〈2〉―前衛短歌の時代』篠弘 戦後短歌は外部からの批評に晒され、戦後世代が育っていく。とくに若い世代が学生短歌として活躍してくるのだが、その中に岡井隆や塚本邦雄が登場してくる。さらにいままでの結社ではなく、ジャーナリズムから『短歌研究』の編集者中井英夫が中条ふみ子や寺山修司を発掘する。 「乳房喪失」は短歌研究新人賞の第一回受賞で中条ふみ子の登場でそれまでの女流歌人とは違った女性歌人らが登場してくることになる。中条ふみ子は歌壇に大きな動揺を与えたのは、最初はほと