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詩人や批評家としてアラン・ポー

『アッシャー家の崩壊/黄金虫』(小川高義 訳)

陰鬱な屋敷に旧友を訪ねた私。神経を病んで衰弱した友と過ごすうち、恐るべき事件は起こる…。ゴシックホラーの名作「アッシャー家の崩壊」、名探偵デュパンの類稀な洞察力が発揮される「盗まれた手紙」、暗号解読と宝探しが痛快な「黄金虫」など、ポーの代表的短篇7篇と詩2篇を収録。

新訳だからと言って読みやすいわけではなかった。ポーの短編は分析的描写が繊細すぎるのでイメージするのがけっこう大変なのだ。ただこの選集には詩も掲載されているのがポイント。

「大鴉」と「アナベル・リー」はポーの短編小説を理解するにも重要な作品だと思う。初恋の相手の死とアル中(麻薬)がポーの精神を蝕ばんでいく。

『アッシャー家の崩壊』よりも『ライジーア』の重要性を翻訳者は指摘する。どちらも詩の引用があり、ポーを語る上で詩は避けられないという。ポーの批評も載せたかったという訳者のあとがきは興味深い(ホーソンの批評について載っている。)。この本ではゴシック作家のポーだけではなく、批評家や詩人としてのポーの姿を伝えている。

『アッシャー家の崩壊』から『アナベル・リー』『ライージア』『大鴉』の繋がりにポーの精神世界を伝えているように思える。

「アナベル・リー」はジョーン・バエズの歌があることを知ったのだが、こっちの方が良かった。たぶんケルト的な感じかな?



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