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クリスマス前の季節だから11月なのか

『NOVEMBER/ノベンバー』(2017年/ポーランド、オランダ、エストニア/白黒/ビスタ/1h55)監督・脚本:ライナル・サルネット 出演:レア・レスト、ヨルゲン・リーク、イエッテ・ローナ・エルマニス、アルヴォ・ククマギ

死者の日を迎えるエストニアの寒村 異教の魔術飛び交う、恋物語
死者が甦る11月1日の万聖節。農家の娘リーナのもとにも、死んだ母親が帰ってくる。彼女は若い村人のハンスに恋しているが、彼はドイツ人の領主の娘に夢中だ。ハンスは思いをかなえようと十字路で悪魔と契約する。驚きに満ちた耽美的ダーク・ファンタジー。

部屋で観ていた『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』終わってこの映画が近くの映画館でやっていたので急いで観に行った。真逆の映画だったが、興味深い内容。まず「死者の日」が舞台であること。先日観た『ボーダレス アイランド』も死者を迎え入れる旧盆だったが、そんな風習のあるエストニアの寒村。もろ舞台は氷の女王が登場しそうなキリスト教以前の世界とキリスト教の世界の対比が描かれていた。

オープニングが使い捨てられた道具が魔術によってロボットのように牛を襲うシーンがとんでも映画だった。そこだけでもこの映画の異様さが伺える。それとモノクロ映像はアート系映画のようで斬新なのだ。世界観も呪いとか幽霊とかそんな世界。

それなのにストーリーがラブストーリーになるのだ。ただロマンチックとは程遠い感じなのは、田舎娘の三角関係だからだろうか?呪いで相手の女を殺すとかそんな内容。ただドロドロな呪術とかあるが娘はピュアな感じなのだ。純真さが怖いというような。

青年はキリスト教の貴族娘に恋するのだがその娘が白痴だった。叶わない恋なのだが、だから青年は詩人となり悪魔に魂を売ってしまう。その青年に恋する村娘という構図の三角関係。成就しないラブストーリー。そこにキリスト教以前のディオニソス的な異教の残る寒村の習俗を描いたダーク・ファンタジーで、最近この手のダーク・ファンタジーがけっこう多いような気がする。その中でもカルト的な映画だろう。

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