鶴見俊輔と戦後の『昭和史発掘』対談
『昭和史発掘特別篇 』松本清張(文春学藝ライブラリー)
昭和史発掘の掲載されなかった二つは文春砲というような政治スキャンダル。一つは日本のラスプーチンと言われた宗教家飯野吉三郎の暗躍。もう一人は芸者からお筆先の占い師の女性で彼女も桂太郎首相の愛人になり助言していたとか。この国の暗部は宗教絡みが多いようだ。
最初の頃(2.26事件中心になっていく前)の『昭和史発掘』は松本清張ジャーナルという週刊誌的なネタが多かったのだが、その頃のものだったのかも。政治スキャンダルなんだが、今は芸能ネタばかりの週刊誌になってしまった。以前はこういう首相の裏ネタとか多かったような気がする。あるのはあるんだけど騒がれないだけか?芸能ネタの方が拡散しやすいのか?
対談は城山三郎は恐慌が軍国主義に繋がったこと、五川味純は満州進出の重要性で『昭和史発掘』の解説的な対談。復習という感じなのだが、鶴見俊輔との対談は戦後の振り返りで戦後の別の『昭和史発掘』で面白かった。
GHQが日本の軍備を解体したのは、その頃の将校たちがニューディール政策(資本主義の中に社会主義を持ち込む思想)の新しい思想の持ち主だったという。それ以前は日本についてまったく研究されていなかったという(国会図書館にも日本の資料がなかった)。
戦争になってから急遽研究者を育て、その彼らが日本の占領政策を担っていくのだった。それでマッカーサー元帥の方針は軍隊解体と天皇制存続をという方向に向かっていくのだった。アメリカはソ連の進出を恐れていたので原爆と天皇制存続で戦争を終結した。それ以前に日本は軍事力も壊滅状態だったのだ、アメリカ兵の犠牲者が増えるということで世界を納得させたのだという(まあ、原爆を使うことでソ連への意思表示でもあったのだ)。
ただ日本の官僚温存の場である帝国大学を解体出来なかったので東大官僚がその後の政治を支配していく。そうした官僚とGHQの将校たちは相性が良かった。朝鮮戦争が始まると日本の軍備再編成と基地化。この安保条約が後の日本の姿を決定づける。欧米中心の外交政策。天皇は欧米には視察に行けるがアジアには行けないという言葉が重い。
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