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佐藤泰志の映画は函館じゃないと駄目だ

『夜、鳥たちが啼く』(2022年/日本)監督:城定秀夫 原作:佐藤泰志 出演:山田裕貴、松本まりか、中村ゆりか、カトウシンスケ、宇野祥平、藤田朋子

解説/あらすじ
若くして小説家デビューするも、その後は鳴かず飛ばず、同棲中だった恋人にも去られ、鬱屈とした日々を送る慎一。そんな彼のもとに、友人の元妻、裕子が、幼い息子アキラを連れて引っ越してくる。慎一が恋人と暮らしていた一軒家を、離婚して行き場を失った2人に提供し、自身は離れのプレハブで寝起きするという奇妙な共同生活。自分自身への苛立ちから身勝手に他者を傷つけてきた慎一は、そんな自らの無様な姿を、夜ごと終わりのない物語へと綴ってゆく。書いては止まり、原稿を破り捨て、また書き始める。それはまるで自傷行為のようでもあった。一方の裕子は、アキラが眠りにつくと一人町へと繰り出し、行きずりの男たちと逢瀬を重ねる。親として人として強くあらねばと言う思いと、埋めがたい孤独との間でバランスを保とうと彼女もまた苦しんでいた。そして、父親に去られ深く傷ついたアキラは唯一母親以外の身近な存在となった慎一を慕い始める。慎一と裕子はお互い深入りしないよう距離を保ちながら、3人で過ごす表面的には穏やかな日々を重ねてゆく。だが2人とも、未だ前に進む一歩を踏み出せずにいた。そして、ある夜…。/作家・佐藤泰志が函館ではなく関東近郊を舞台に描いた短編小説「夜、鳥たちが啼く」(所収「⼤きなハードルと⼩さなハードル」河出⽂庫刊)が映画化。

coco映画レビュアー

佐藤泰志の小説は何度も映画化されているが、そろそろネタ切れかな。『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』が傑作だっただけに、それ以降はこれらの傑作を超えていないような気がする。
そこそこにいいとは思うのだが、なんだろう何かが足りない。やっぱ北海道(函館)という寒さかな。それにこの作品は苦難はあるがそれまでの佐藤泰志の映画に比べてハッピーエンディングなのだ。それも一時的な明るさだと思うが、そこが中途半端感がある。そんな束の間の幸福でいいのか?みたいな。
贅沢なんだと思う。佐藤泰志の小説は悲劇的なストーリーを期待してしまうところがあるから。

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