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「続」ではない「ジャンゴ」伝説の始まりの映画

『続・荒野の用心棒』(1966/イタリア・スペイン)監督セルジオ・コルブッチ 出身フランコ・ネロロレダナ・ヌシアック /ホセ・ボダロアンヘル・アルバレスエドゥアルド・ファヤルドジーノ・ペルーチ


あらすじ
メキシコとの国境沿いにある寂れた村に、棺桶を引き摺る一人の男がやってきた。謎に満ちた男の名はジャンゴ。亡霊のように沼地を彷徨う男の棺が開くとき、死闘の火蓋が切って落とされる…。

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リマスターだと最後のセリフが違っていた。「地に還れ」と言ったんだけど、前見たときは「地獄に落ちろ」だと思った。最後があっけないんで、こんなもんだったのかと。もうっと凄絶なラストだと思っていたんだが。淀川さんの解説が入らないと駄目だな。

疑問が解決した。最初に観たときは英語版だったのだ。日曜映画劇場の吹替版だが、淀川さんの解説でラストシーンがリピートされ、「Go to Hell」とイメージされて記憶されていた。それがイタリア語版からの翻訳で「地に還れ」になっていたら、なんかしょぼい感じがしたのだ。イタリア語だと聖書の引用から入るから、地と地獄では意味合いが違う。

『続・荒野の用心棒』は知っている人もいるかもしれないが『荒野の用心棒』の続編ではない。当時イタリア映画産業が不況で安く作れるというので西部劇のB級映画として作られた。『荒野の用心棒』なんて黒澤監督の『用心棒』のコピーなのだが、ヒットしてから黒澤監督に挨拶に行ったとか。淀川長治さんの解説が残っていたので、そのへんの事情が良く分かる。

『荒野の用心棒』がヒットしたので、続編ではないのに似ているからと邦題が付けられた。原題は『ジャンゴ』でタランティーノ監督が『続・荒野の用心棒』をオマージュとして作ったのが『ジャンゴ 繋がれざる者』。この映画にもフランコ・ネロが出ているという。

タランティーノが『ジャンゴ』をよく観ていると思ったのは、主人公を黒人奴隷の賞金稼ぎにしている点だ。『続・荒野の用心棒』ではイタリアの移民ぽいアメリカ人なのだが、舞台はメキシコでアメリカ政府とメキシコ革命の争いがあり、その中に入り込んで行く一匹狼のガンマンの話なのだが、ラストの赤い覆面はKKKをイメージさせていた。

白人の有色人種の支配がその背景としてある。それは60年代の反権力のアナーキーさなのだ。後のアメリカ・ニューシネマに影響を与えたと思う。タランティーノ世代には確実に影響を与えていた。

このへんのマカロニ・ウェスタンはヴァイオレンス映画としても血の気が多いのだ(タランティーノが影響を受けたのはこっちか?)。マカロニ・ウェスタンの傑作と言える『ジャンゴ』です(最後は正式タイトルで呼ぼう)。

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