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マサダ・ギター・バトルでのチャンピオンは?

Bill Frisell~Tim Sparks~Marc Ribot"Masada Guitars"( John Zorn's Masada songbook project.2003)

Marc Ribot – guitar
Bill Frisell – guitar
Tim Sparks – guitar
"Abidan" – 3:31 (Frisell)
"Kodashim" – 3:37 (Sparks)
"Kedem" – 3:29 (Ribot)
"Bikkurim" – 3:00 (Frisell)
"Ravayah" – 4:01 (Sparks)
"Hadasha" – 2:45 (Ribot)
"Katzatz" – 3:37 (Frisell)
"Kanah" – 3:27 (Sparks)
"Hodaah" – 3:24 (Ribot)
"Kisofim" – 4:53 (Frisell)
"Sippur" – 2:48 (Sparks)
"Sansanah" – 5:54 (Ribot)
"Galgalim" – 1:45 (Ribot)
"Elilah" – 3:05 (Frisell)
"Kedushah" – 4:32 (Sparks)
"Shevet" – 3:11 (Ribot)
"Kochot" – 3:56 (Frisell)
"Tzalim" – 2:21 (Ribot)
"Kivah" – 2:33 (Ribot)
"Avelut" – 4:05 (Frisell)
"Moshav" – 3:54 (Ribot)


昨日に続きギター・アルバムです。ジョン・ゾーンのマサダ・プロジェクトはいろいろあってよくわからないのですが、この企画は三人のギター・オーソリティーにジョン・ゾーンのマサダの曲を演奏してもらうという、三者三様のソロ・ギターが楽しめる企画になっているわけです。

まず最初に登場するのが、ビル・フリゼール。アメリカの押しも押されぬギターリストですけど、彼の特徴はエフェクターを使ってギターの音を自在に変化させて浮遊感ある遊び心ある音を紡ぎ出しているところでしょうか。バースター・キートンの無声映画に彼がギターで音付けしたアルバムがあります。キートンのアクションをギターで表現するという試みですね。ただこのアルバムではエレキギターではなく、アコースティックなので彼の特徴ある演奏ではないです。その分彼の本質としてのギター・テクニックが聴けるのです。

テクニック的に凄さを感じてしまうのは、この三人の中では一番名前が知られていないティム・スパークスじゃないでしょうか。彼のギター・テクニックはフィンガー・ピッキングのアメリカのチャンピオンであり、「くるみ割り人形」をギターで演奏したり、You Tubeにも教則ビデオが何本もある人です。クレズマーミュージックも演奏しているので、そのあたりでジョン・ゾーンと繋がりがあるのかもしれないです。このアルバムではもっとも印象的に衝撃を与えています。

マーク・リボーはジョン・ゾーンのエレトリック・マサダでも起用されているバリバリのギターリストで知名度も高いですね。ただこのアルバムは、ビル・フリゼールのところで書いたようにアコースティックに徹しています。その部分で彼のノリノリの狂気のギターは影を潜め、テクニック的な音作りを楽しむ感じになっています。ビル・フリゼールとマーク・リボーにはちょっと本来の彼らの姿を消してしまったところがあるかもしれません。一番はジョン・ゾーンのマサダの曲にあるわけですから、その部分で貢献はしているのですが。


(ジャズ再入門vol.57)

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