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燃える納屋赤く染まらず黒水仙

『黒水仙』 (2001/韓国)監督: ペ・チャンホ 出演:イ・ジョンジェ/アン・ソンギ/イ・ミヨン/チョン・ジュノ/イ・ギヨン/イ・デヨン

解説/あらすじ
50年間独房に収監されていた男ファン・ソクが釈放された。時を置かずして漢江に一人の水死体が上がる。被害者の名前はヤン・ダルス。捜査を始めた殺人課のオ刑事は、ダルスが朝鮮戦争中、脱走捕虜を捕らえる任務についていたことを知る。その後、ダルスと同じ任務についていた元警察署長も死体で発見された。一方、捜査の過程でソン・ジヘという女性の古い日記が見つかる。そこにはジヘが“黒水仙”という暗号名で捕虜の脱走を手助けしていたこと、その作戦が露見しダルスに狙われた彼女を、ソクが救い出していたことが綴られていた…。

1947年に制作されたイギリス映画と関係があるのか、向こうの黒水仙は香水の名前のようだが、この韓国映画は北朝鮮捕虜の暗号名。2001年だとそれほど新しさはないかも。けっこう内容も暗い話で、エンタメ映画としてはマイナス。

一つ興味を持ったのが巨済島が済州島をモデルにしているのではないか?この時代だとまだ公にできない事件を語っているような、そんな内容だった。韓国警察と北の共匪とその人質になった恋人が辿る運命劇。北朝鮮の捕虜が人質を取って立て籠もるのだが警察はお構いなしに屋敷に火を放つのだ。そこで出てきた者を射殺する。その暗部の歴史がある。

そして警官殺しの犯人を追う刑事が、その事件にたどり着く。その時に警察に捕まった人質の女性が恋人を救う為に金を払い身体を捧げる。その仕打ちに自殺未遂をして目が見えなくなってしまう。恋人は釈放されるはずが、独房にいれられたままだった。北朝鮮の男は女性を連れて脱出したのだが、その後に日本の宮崎で事業を成功させて金持ちになっていた。そこに刑事が訪ねて.........。けっこう話は複雑だった。

警察の暗部とそれを知った刑事と復讐を果たそうとするヒロインという、そんな関係の映画。済州島四・三事件を暗示サせているような映画だ。特に建物に火を放ち出てくる捕虜を射殺するシーンは、知る人は思い出さずにいられない。それを知らないとちょっとわかりにくい映画だ。ただ北朝鮮との民族紛争があるのだろうと思うが、徹底的なレッドバージが行われていたという背景を知る必要がある。

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