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樹木は怒っている?

『樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声』ペーター・ヴォールレーベン (翻訳)長谷川圭

ドイツで70万部突破&全米ベストセラー!
世界的ベストセラーが待望の邦訳
樹木たちの密やかな生活の「真実」が明かされる

春から初夏には、新緑に心を洗われ、秋には紅葉に目を奪われる。そして色鮮やかな花に癒され、新鮮な空気を与えてもらう。

わたしたちは、樹木とともにあり、さまざまな恩恵を受けている。樹木は身近で尊い友人なのだ。しかし、どれだけ彼らのことを知っているだろうか?

樹木たちは子供を教育し、コミュニケーションを取り合い、ときに助け合う。その一方で熾烈な縄張り争いをも繰り広げる。学習をし、音に反応し、数をかぞえる。動かないように思えるが、長い時間をかけて移動さえする――
ドイツで長年、森林の管理をしてきた著者が、豊かな経験で得た知恵と知識を伝える、樹木への愛に満ちた名著。

森の木がネットワークによって助け合っているという話。人工的に植えられた木よりも病害虫にやられにくく伐採しても他の木から栄養補給を受けて切り株は枯れないという。樹木が会話をしていたり、ゆっくりと環境に合った育ち方をしているとか興味深い話だった。

森の木は成長が遅く大木である親木に成長は妨げられているがしっかりと丈夫な木に育つようになって、親木が倒れると一気に成長していくとか。また大木は虫や動物たちの住処になり、鳥は木の振動を聞きながら外的がやってくるのを察知したり、害虫が弱っている木だと仲間を呼ぶとか、木そのものが害虫をころしてしまうような成分を出すとか驚くことばかり。

街路樹はいろいろ問題があることは、散歩しながら感じていたことではある。川沿いの桜は異様な曲がり方をしていて、川沿いに傾いている。また根本はひび割れ伐採予定とか。公園にあるメタセコイアも樹皮が剥がれているのだ。単独で立っている木は病気や害虫に弱いというのは納得がいく。ある程度緑であればいいという傲慢さに樹木たちは悲鳴を上げている。

また樹木によって人が住みやすくなるというのも納得が行くのだが、防風林の松が一斉に病気になったり、木の気持ちなんて考えてこなかった人間である。都市開発で樹木が邪魔になればどんどん伐採していくし、まあ花粉症ぐらいしか木には抵抗することがないのかもしれない。



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