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#ネタバレ TV「ウーマンドリーム」 マネージャーの孤独の物語でもある

( これは映画「ローマの休日」追記の加筆再掲です。引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

追記Ⅵ ( TVドラマ「ウーマンドリーム」 ) 
2021/12/25 16:49 by さくらんぼ

BS日本映画専門チャンネルで、裕木奈江さんのTVドラマ「ウーマンドリーム」の放送を観ています。母をさがして上京してきた少女が、工事現場で働いているところをスカウトされるお話のようで、1話を観終わるころにはすっかり物語の世界に絡めとられていました。

ちなみに、裕木奈江さんと森七菜さんのお顔が似ているとの声があります。私もそう思った一人ですが、あらためてドラマで裕木さんのお顔を拝見すると、森さんとはやはり別人でした。お二人とも唯一無二の存在だと思いました。

実は、まだ少女も知らない母は人気歌手だったのです。しかも、少女をスカウトしたのは母の関係者とは違う人でした。そして、母は芸能界の辛さを知ってか、娘を芸能界には入れたくないのです。さらに、入れれば母だという事がバレかねませんし。それで陰に回って潰そうとします。

これで思い出すのが、公務員の母娘です。私の知る限り母は娘に公務員になることを薦めません。公務員の辛さを知っているからですね。でも、娘は大学生ぐらいになると、勝手に「私も公務員になろうかな?」と言い出すようです。母はそれに困惑して、「世間で言うほど公務員は楽じゃないよ」と諭します。しかし、子どもの人生、最後は自由にさせます。そして、公務員仲間のお茶会などで、「こまっちゃった…」と愚痴をこぼすのです。何かそんな話を思い出しました。

「アイドルは虚像」だとは昔から言われている話ですが、このドラマにも、やはり実像と虚像との間に悩むヒロインが出て来ました。

それと比較するのは適当ではないかもしれませんが、実像で売って行くのがブロガーかもしれないと、ふと思ったのです。もちろん「不登校のJKが、リア充のふりをしてインスタをUPしている映画」がありましたし、「確固たるイメージ戦略に基づいてブログを運用している方」もいらっしゃるでしょうが。ちなみに私は売れたいとも、利益を出したいとも思っておりませんし、それ以前に才能などありません。ただ、駄文を書くことが日々の楽しみなのです。

今、ネットラジオでジャズのピアノトリオを聴いていますが、このピアノは、いわゆる「言葉を使わないモノローグ」なのでしょうね。

私が一番感情移入できるのは、内藤剛志さんと、中条静夫さんが扮するマネージャーでした。私は芸能界の事は一ミリも存じませんが、芸能界の秩序を重んじる彼等の気持ち、プロ魂は、意外にも違和感なく理解できる気がします。

それに対して、田舎から出てきて、あっという間にスターになった、裕木奈江さん扮する(劇中でも同姓同名)ヒロインや、彼女の無名時代の男友だちの言動には(正直に申せば)イラつきを隠せません。アマチュア時代の気持ちが抜けておらず、プロ意識が希薄なのです。若い頃の私みたいに。

彼女には、舞台の主役のように、一旦仕事を受けた以上「裕木奈江という事業の主役」として、事業を成功させる重責があると思うのです。しかし、マネージャーが何度言っても、幼い彼女にはまだ理解できないようです。もちろん、それが見せ場だという事は承知しています。だから私は作者の掌中にはまっているわけです。

芸名と役名が同じなので、誤解されないように付け加えますが、私が話しているのは役名の登場人物のことです。

王女の物語と言われる映画「ローマの休日」が、もしかしたら、ラストシーンに一人登場している新聞記者の物語かもしれないのと同じように、スター誕生の物語と言われるTVドラマ「ウーマンドリーム」も、もしかしたら、ヒロインも含めたその他大勢と一人対峙している、マネージャー・氷川秋彦(内藤剛志さん)の、孤独の物語でもあるかもしれないと思いました。まだ最後まで観ていませんが。そう言えば「ウーマンドリーム」にも「ローマの休日」的エピソードが挿入されているので、なんらかの関係があるのかもしれませんね。

そして、氷川秋彦という役名からして、作者によって寒々とした気配が込められているような気がします。そんな彼が、「裕木奈江を映画に出したい。そして、彼女の映画を観ているたくさんの観客を、後ろから眺めて、ほくそ笑みたい」と夢見るように語るシーンを観ると、あのような仕事も男のロマンとして素晴らしそうだなと思ってしまいました。

そのエネルギーを源泉としているからでしょうか、彼のタンカのようなセリフ回しは子気味よくて、内藤剛志さんには男でも惚れてしまいそうです。

追記Ⅶ ( TVドラマ「ウーマンドリーム」 ) 
2021/12/28 10:36 by さくらんぼ

TVドラマ「ウーマンドリーム」も後は最終回を残すのみとなりました。贅沢な海外ロケの、映画「ローマの休日」に似たエピソードが前半に挿入されていることも加味して考えると、映画「ローマの休日」へのオマージュであった可能性が高いように思いました。

「ウーマンドリーム」の後半には、ヒロインが「外ではファンに囲まれても、自宅に戻ると一人ぼっち」と訴えるシーンがあります。

王女様でもなく、芸能人でもない私にもその気持ちが分からなくもないのは、社会で働くという事は、皆、少なからず虚像と実像を生きているからでしょう。例外もありましょうが、自分を殺して1枚の歯車にならなければ、会社員や公務員も務まらないのかもしれません。

追記Ⅷ 2022.4.27 ( お借りした画像は )

キーワード「孤独」でご縁がありました。少々大きめの画像でしたので周囲が自動的にカットされましたが、それ以外は無加工です。ありがとうございました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)



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