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17食目 辛味のタネ

近年の物価高には困ったものだ。さらにここ最近の円安で輸入品が高くなっている。
家の建て替えを検討している私にとって物価高騰は深刻な悩みだ。木材についても輸入品が多く、国産の木材は高いらしい。
立派な家を建てるために少しでも食費を削って節約したいところだが、食欲には勝てない。私はそれなりにガタイが良く背丈もある割に体力はないし、力仕事で全然役に立たない見せかけの体格だが、食欲は見た目通りなのだ。
ついつい担々麺の美味そうな看板につられて入店してしまった。しかもアジフライ定食にして。
担々麺といえば中華料理の王道な気がするが、中国の担々麺は基本汁なしで、汁ありは日本で生まれたものらしい。つまりこの見た目で国産の料理といえる。だが、中華料理屋は値段の割に量が多く助かる。
店員さんが目の前に出した瞬間から豆板醤と山椒の香りが食欲をそそり、飲めば出汁に山車を使っているのかと思うくらい華やかな味だ。
ご飯にもよく合う。担々麺はもはやおかずと言っても良い。

しかし調子よくすすっていると、辛味の塊を喉に直撃させてむせ返ってしまった。
ゴホゴホッとその塊だけティッシュに取り出してみると、出てきたものは山椒等ではなく、ひまわりの種のような何かだった。
その何かをティッシュに戻し、持って帰ることにした。そして家に帰って早速植えてみた。
何が生えてくるかは知らないが、果物なんかだと儲けもんだ。何年か後には食事の足しになるかもしれない。
翌日。
家の庭に天まで届こうかという大木が立っていた。太さは直径2メートルほどでやたら細長い。
「材木が手に入った。」
そう思い、すぐに工務店に連絡して来てもらった。
「うちでは扱えないですね、こんな背の高い木切り倒すの危ないんで。」
デカいだけで役に立たない大木を抱えてしまった。

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