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エコノミストの相場見通しは当たらなくていい

「エコノミストの相場見通しって全然当たらないよね!
個人投資家の中には、勝ち誇ったかのようにこんな発言をする方がいます。
確かにエコノミストやストラテジストと呼ばれる人の予測は当たりません。でも、それでいいんです。
エコノミストの仕事は相場の予想屋ではないし、今までの見通しが当たったか外れたかで評価が変わるわけでもありません。

為替相場は銀行や証券会社のエコノミストでさえ正しく見通すことができません


それなのに、なぜそんな難しい場所で簡単に利益を上げられると思うのか? その思考回路は考えてみたら不思議です。
もしかしたら「努力している人に楽をして勝ちたい」と願うのは、人間の欲望の一つなのでしょうか?
相場は「人間の欲望」が作り出すものです。「プロでも勝てない」ことが、個人投資家の欲望を刺激するのでしょうか?

銀行のエコノミストの為替レポートの読者は、顧客である事業会社や機関投資家です。
顧客にとって必要な情報は、現状何が起きているのか、今後為替相場に影響を与える要因は何か、つまり現状分析とリスク分析の2つです。
この2つを提供するために、エコノミストはマクロの経済指標や顧客の行動を分析し、顧客と会話をすることで市場参加者のセンチメントを把握します。
この作業を一生懸命やれば、いやでも自分の相場観が醸成されます。
自分の頭の中にあるものはアウトプットしないと気持ち悪いし、先には進めません。そこで自分の相場感をアウトプットします。
それなのに、どれだけ頭脳を駆使しても為替相場は予想もしない動きをする、それが現実です。

外資系銀行の為替セールスをしていた頃は、海外にいるエコノミストが東京に来るたびに、大手の運用会社、保険会社、財務省、日銀などに同行しました。
彼らは先方の担当者に対してプレゼンをします。
でも、このプレゼンは普通にビジネスで行うプレゼンとは違います。ビジネスのプレゼンであれば「結論を先に言え」が基本で、お客様を説得することが目的です。
でもエコノミストのプレゼンは、「現状がこうで、こういうリスクがあるから、為替ではこういうポジションを取ってください」などと説得をする気はありません。相手の担当者も「ではご提案通りドル円をロングにさせていただきます」などと説得されるつもりもなければ、「いまドル円をロングにしたらいいかショートにしたらいいかわからないから教えてください」などとソリューションを求めもしません。

エコノミストは、資料を作り世界中を飛びまわっています。同じ話を繰り返しているだけでは飽きてしまいます。
プレゼンが終わった後に「たいへん参考になるお話でした、ありがとうございました」などと言われるともうガッカリです。
反対に「マクロ分析は自社でもやっている、プレゼンなんかいらないからおまえがどう思っているのか話してくれ」と煽られたり、「おまえのビューは、ウチのビューとは全然違う、この材料に関してはどう考えてるんだ?」などと議論を吹っ掛けられると、もう目がギラギラと輝き、終わった後は「とても楽しかった」と充実感でいっぱいです。

プロの投資家はみなさん自分の意見を持っています


だからこそ、エコノミストの話を聞きながら、両方の意見を俯瞰して、抽象化することで、自分の考えをアップデートします。
こうして意見を交換することで、目で見ることのできない「市場参加者のセンチメント」を感じることもできます。

「あのエコノミストの言うことは当たらない」などと鬼の首を獲ったかのように嬉しそうに言う個人投資家は少なくありません。
でも、いつも外してくれるエコノミストがいたら、最高なんですよね。
その人のいうことの反対をやれば絶対に儲かりますから。(こういう人をリバース・インディケーターと呼びます)
現実にそんな都合のいい人はいないですね。
常に当てるのが難しいなら、常に外すのも同じくらい難しいのです。
それなのに、なぜFXの個人投資家はみんな負けるのでしょうか?
ぜひ、こちらを!

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