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なぜこの人を知らなかったのか!「データ視覚化の人類史」でみつけた凄い人

アポロのコンサルティング・ユニットでコンサルタントをしている、柿崎です。 私が所属している、コンサルティング・ユニットでは、コンサルタントとしての知見や教養、感性を磨くことを目的として、週に1回「コンサルユニット研修」を開催しています。

この研修では、プロジェクト事例紹介、メンバーの経歴紹介、分析手法のレクチャー、プレゼン資料の作成方法など、さまざまな活動を行っているのですが、持ち回りで「おすすめの本」を紹介するという活動もしています。

特に本のジャンルは問わないルールとなっており、難しいビジネス本や自己啓発系、話題の書籍はもちろんのこと、最近では本を飛び越えて、感性が高まるお笑い系YouTubeや歴史上の偉人を扱うポッドキャストの紹介もありました。(いつも和気あいあいと感想の共有やディスカッションをしています!)

そこで今回は、私が「おすすめ本」として紹介した、マイケル・フレンドリー、ハワード・ウェイナー/著 「データ視覚化の人類史」で紹介されている人物について書きたいと思います。

突然ですが、棒グラフ、折れ線、円グラフを発明した人は誰かご存じですか?実は、いずれもウィリアム・プレイフェアという英国人が1786年~1801年に発明しています。
「近代データグラフィックスの父」プレイフェアがどんな人だったかというと、牧師の息子として生まれ、著名な建築家と数学者の兄がいます。父親を早くに亡くして、17歳頃には蒸気機関を発明したジェームズ・ワットの製図工兼助手として働いています。
そこで何故か彼は経済データをグラフとチャートで表現することに関心を持ちます。ワットにも見せますが、「グラフは正確さに欠ける」と評価してもらえませんでした。 「プレイフェアの洗練されたグラフのイノベーションは、しばしば無視されるか、ときには評判を傷つけられた」ようで、当時はあまり評価されなかったようです。

その後、ワットの会社を辞めて、銀細工職人、商人、政治経済学者、諜報員等さまざまな職を転々として、晩年は借金と闘いながら他界しました。
では、プレイフェアは突出した天才だったのでしょうか。本には次のように書かれています。

―――「なぜプレイフェアなのか?」「なぜあの時代だったのか?」という疑問が自然に浮かび上がる。 (中略) すなわち、「人なのか、それとも時代なのか?」これらの発展は当時、必然的なものだったのか。もしプレイフェアが思いついていなかったら、他の人が考えついていただろうか。それとも、時代のはるか先を行くプレイフェアだけの特別なビジョンであり、才能だったのか。確かにそれを知ることは不可能だが、答えはほぼ確実に、この人物と、この時代と、その他のものが融合した結果なのだろう。(中略)自然科学と経済学のデータフィールドはすでにできており、肥沃になっていた。それらは今すぐにでも市場に参入する準備が整っていた。

Michael Friendly, Howard Wainer (2021). A History of Data Visualization and Graphic Communication, Harvard University Press.(マイケル・フレンドリー, ハワード・ウェイナー, 飯嶋貴子(訳)(2021). データ視覚化の人類史――グラフの発明から時間と空間の可視化まで, 青土社)

プレイフェアには卓越した才能がありましたが、グラフの元になるデータが整いはじめた時期だったことも背景にあったということですね。
200年以上前の話ですが、データやデータ分析のしくみが、これまでと違うレベルで整いはじめている現在と重ね合わせてしまいました。

天才の発明であっても、現在から過去を振り返れば「棒グラフなら、ワンチャン、自分も発明できたかもしれない」と思いませんか。
案外、データを活用したビジネスのブレイクスルーの種は誰にでも手が届くところにあるのかも知れませんね。


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