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戦場だったあの頃


先日、何年かぶりに、娘が小学生の頃から通っていた進学塾の前を通り、夜に煌々と光る教室の窓灯りに、懐かしさと、あの胸がギュッウとなる感覚が甦りました。


忘れられないエピソードがあります。

小6の頃、夜塾に迎えに行くと、

『今日、夜食を買いにコンビニに行った帰り、こっそり皆んなで、公園の遊具で遊んだ!めちゃくちゃ楽しかった!』

と、車に乗るや否や、楽しそうに話す娘。

なんたる事かと!

このご時世、すぐ目の前とは言え、小学生が、夜にコンビニに買い物に行くだけでも、感心しないのに、
人気のない夜の公園に、小学生の女子が、ましてや、こっそり行くとは💢

思いもよらない告白に、言葉を失いました。

塾友さん達は皆、住むエリアも学校も違う、うちの娘とは真逆の、しっかり者で、聡明なお子さん達です。
公園の遊具で遊ぶなど、言い出す筈がない。
うちの娘が唆したに違いない!
そう思いましたが、話しを聞くと、どうやら、そうでもないようで。

誰かの発案に、全員の総意で、
娘から見ても、むしろ皆、意外な程はしゃいでいたと。

恐らく10分か15分程度だったのだと思いますが、
解放感と、夜の公園という非日常と、先生の目を盗んで…というスリルが相まって、初めて味わう楽しさだったのではないかと思います。

咎めることが、できませんでした。

『まあ、すぐ隣に交番があるから…』

と、自分自身にも、言いきかせるように、交番の存在を強調する事くらいしかできませんでした。

聡明で、大人に見えても、やはり小学生。
いじらしい…


娘が、中学で、壊れかけた時も…
塾の室長先生と、彼女たちに救われました。

籍だけ残してもらっていたものの、1年近く行っていない娘を、室長先生がずっと気にかけて、連絡をくれ、戻るきっかけを度々図ってくれていました。
脱落者に用は無い筈の、進学塾で。

中3の、9月も終わり頃、
『この日が最後のチャンスです!』
『この日を逃すと、いろいろ難しくなります…』
『連れて来てさえもらえれば、あとは僕たちに任せてください!』
と連絡をもらっていました。

彼女たちと、綿密に作戦を立て、迎い入れてくれたようで、それから何事も無かったように、また塾に戻り、無事に受験する事ができました。

今思うと、彼女たちも、いっぱいいっぱいだったと思います。
他人の事など、構う余裕など無く、

"戦う気があるなら、また一緒に戦おう"と。

"ただし、私たちに着いて来られるなら"と。

そんな気持ちだったのではないか…
と思います。

特に理由を訊く事もなく、気をつかう事もなく、今まで通り普通に接してくれたのだと思います。

皆、自分の事で精一杯だったのでしょう。


今の娘に、あの頃の事が、どんな影響を及ぼしているかは、知るところではありませんが、恐らく…

その後、それぞれ違う学校へ行き、接点の無くなった彼女たちと、今会っても、隔たりなく、近況や当時の思い出話に、華が咲くのではないかと思うのです。
あの頃、一緒に戦った者同士!

頑張れ!受験生‼️

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