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食卓の向こう側・第2部「命」つなぐために(12)次世代 30年前の予言覆すには

ここ最近、色々なところで目にしていたのが有吉佐和子さんの「複合汚染」食の安全について先駆的に問いかけた著書、今年は彼女の生誕90年でもある。

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公明新聞「北斗七星」でも取り上げられた。

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今日紹介する記事には47年前の彼女の予言が書かれている。見事に的中していて言葉を失う。


食卓の向こう側・第2部「命」つなぐために(12)次世代 30年前の予言覆すには

「私が一つだけ本に書けなかったことがある。それは三十年後、子供が生まれなくなるだろうということです」

一九七四年から新聞連載され、農薬や工場廃液、有毒ガスなどさまざまな化学物質が複合的に働き、人体に悪影響を与える環境問題作「複合汚染」。

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七五年、熊本市を訪れた著者の有吉佐和子(故人)は、竹熊宜孝(69)=公立菊池養生園診療所名誉園長に言及した。

それから二十九年。当時、二人前後だった出生率は1.31人(二〇〇二年)に低下。7組に1組の夫婦が不妊症と言われ、子宮内膜症や精巣がんなど、生殖器系の病気が急増している。

もちろん少子化は体の問題だけでは語れない。だが、有吉の予言と今を重ねると「産まないのではなく、産めないのではないか」と思えてくる。

原因のひとつと考えられているのが、ダイオキシン類、PCBなどの内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)。ごく少量で体内のホルモンの働きをかき乱すのが特徴だ。

「最も影響を受けやすいのは、私たちではなく、次の世代」。九州大学医学部助教授の長山淳哉(56)は言う。

精子と卵子の出会いによって誕生した胚(はい)は、胎児期から乳児期にかけ、猛烈な勢いで細胞分裂を繰り返す。もしこの”化学物質”が細胞になんらかの影響を与えると、その後のヒトの設計図は大きく狂う。

「遺伝子レベルで悪影響が表れる奇形には、形態奇形と機能奇形がある。環境ホルモンによる機能奇形は、精子減少、子宮内膜症、性同一性障害、免役異常、知能低下など、外見には表れないものが考えられ、子どもに急増している自閉症や注意欠陥多動性障害とも関係があるかもしれない」

かつて母親の胎盤は、有害物質を通さない絶対的なものとされてきた。だが、魚を通して母体有機水銀は、その関門を突破、胎児を侵した。胎児性水俣病。立証までに、実に十五年の歳月がかかった。

「環境ホルモンがどう作用するのか、まだ分からない事が多い。ただ医学が証明したときは、もう手遅れだ」。長山は警告する。

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南極のペンギンからもダイオキシン類が検出される時代。もはや、地球上に”聖域”はない。

どうするか。長山は2つの方策を提案する。

一つは「出す」ことを考えた食事。ダイオキシン類は葉緑素や食物繊維と結びやすく、それを利用すれば大河に排出される。

汚染度食物連鎖の下位レベルのものほどよい。「穀物と野菜中心の日本型食生活が適している」という。

もう一つは、ダイオキシン類発生の要因となるゴミ問題への対応。(1)ゴミをなるべく出さない(2)中古品を再利用する(3)リサイクルする、を徹底し、ゴミを減らす行動と、それを促す社会システムを作り上げること。


佐賀県唐津市の農民作家、山下惣一(67)は「食、農、環境は三位一体で考えるもの」と言う。予言を覆す第一歩を、日々の暮らしから始められないか。

研究進まぬ複合汚染

人間が作り、実用化されている化学物質は薬10万種あるといわれる。環境省は、内分泌かく乱作用が疑われる、ダイオキシン類や塩化ビフェニール類(PCB)など65種類をリストアップ。しかし、これらが複合した場合の体への作用についての研究はほとんど進んでいないという。


転載終わり


彼女が本に書けなかった三十年後(2004年)には子供が生まれなくなるだろうという予言は当たり、世の中には自然妊娠ができない人や不妊治療する人も増えた。私も結局、子宝には恵まれなかった。

1975年に単行本化された「複合汚染」とともによく聞く著書「沈黙の春」は私が生まれる前の1962年の出版。

上記のブログに本の詳細は書かれているが、興味深かったのは下記のくだり…。

日本では一昔前、「なぜ有機農業を始めたのですか?」と聞けば「『複合汚染』を読んだのがきっかけ」という農家が何人もいました。

「沈黙の春」は、発表後大センセーションを巻き起こし、自然保護思想にも大きな影響を与え、8年後、「アースデイ」という運動が始まるきっかけの一つにもなりました。

昨日クラブハウスの部屋でも、自然農法をやってた岡田茂吉さんが逮捕されたのがちょうど『複合汚染』の本が出た頃だったと言ってた。

なるほど、そういうことか、点と点がつながっていく。


最近環境ホルモンの影響で体調が悪い人も増えてきた。

ペットボトル、ラップでチン、便利さを追い求め、プラスチックが溢れる世の中、「プラスチックフリー」という言葉もよく聞くようになった。

自然素材を使うことの重要性を改めて感じる。





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