見出し画像

変わっていく時代の中で

IT技術が進歩し、キャッシュレス化やデジタル化が主流になりつつある現代。

このままIT化が進んだら、こんな言葉も聞かなくなってしまうのかなあ…なんて思うもののひとつが『両想い切符』だ。

私の住む地方は、未だに自動改札がない駅の方が多いので、あんまり実感は湧かないけれど、ICカードが主流の大都市なんかでは、もう既に「死語」みたいになってるのかなあなんて思ったりしている。

地方によって色々あるかもしれないが、私の住む地方では、切符に表示されている4桁の数字の両端が同じ数字だった場合、その数字に挟まれた数字が両想いのパーセンテージだと言われていた。

数字が8558なら55%という具合に。

そして、その両端の数字は相性のパーセンテージ。

上の例だと相性88%で両想いの確率は55%!

(まずまず…!笑)

間に挟まれた数字が00の場合、0%っていう人と、100%っていう人で意見が分かれていた気もする。

こういった、日常をちょっと楽しくしてくれるものに出会うと嬉しくなる。

なんの根拠もないし、なんの信憑性もないと分かっているのに、なぜか突然運試しをされてるみたいで、私はいつもワクワクしてしまうのだ。

だから、電車にほとんど乗らなくなってしまった今でも、切符を買うと習慣のようにその4桁の数字に目がいく。

そして、「初恋」って言葉が似合うような年齢の頃に、両想い切符を手にしただけで友達と大はしゃぎしていた時のことをほんのりと思い出す。

せっかく両想い切符を手にしたのに、それが3113とかって数字で物凄く落ち込んで友達に励ましてもらったな…とか。

思い出すだけで、こそばゆい。

もしかしたら、こんな事を楽しんでいたのは同世代の中でも、田舎育ちの私たちだけだったりするのかもしれないけれど、「両想い切符」って言葉も、手にした時のワクワク感も、これから先の時代に産まれてくる人たちは、もしかしたら経験する事がないのかもしれないなって思うと、なんだかもったいなく感じて、無性に寂しくなってしまう。

もっとも、今後は恋愛をする相手すらAIが分析して選んでくれる時代になるのだというから、こんな風に、根拠も信憑性もないおまじないを信じる必要などなくなるのだろうけれど。

デジタル化は私たちの暮らしを豊かにし、便利な社会を作ってくれる。だからこそ、ICカードでは味わうことのできないこんな経験が、貴重なものとして心に残っていくのではないだろうか。


皆さんからの応援は、本の購入や企画の運営に充てさせてもらっています。いつも応援ありがとうございます!オススメの1冊があれば、ぜひ教えてください。