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24卒就活振り返り

就職活動。
それは、大学生が最も傷つく時期じゃないかと思う。
答えがない割に、でも何となく皆の中で正解とされるものは決まってて。
企業から否定され続けるのに、自分と向き合い続けなきゃいけない。そんな感じ。

例に漏れず私はめそめそと泣きながら眠れない夜を過ごしていたのだが、そもそも就活は自分の人生における一つの道探しにすぎないし、学生がどうこう出来ることはすごく限られているのだということを当時の私に伝えたい。

大三春 就活開始。

私は意外と就職活動に対して意欲的で、というか自信がなかったので、大三の春からキャリアセンターがやっていた内定者に話を聞く会みたいなものに参加したり、意識高い系の就活サービスに入ったりし始めていた。

就活サービスとは無料のエージェントのようなもので、就活を終えた一個上の先輩がメンターとなって、面談をしたり、面接やグルディス練習をする。

私が就活における初めてのメンタルブレイクを起こしたのがこの時期。
なんといってもグルディスが苦手で、発言が全く出来なかった。
FBで私だけ発言の内容でなく、積極性が足りないと厳しく一言だけの指摘だったのが本当に辛かった。
メンターからラインで点数が返ってくるのだが、なんと10点だった!
それも丁寧に「10点です!/100点」
と書かれていたことを忘れられない。

就活におけるGDは、大量の就活生を捌くためのもの。だから社員がいる時に発言をしないと評価がされない。それで私に厳しくしてくれていたのだ。

でも、私にはGDで社員やメンターにあからさまに媚びを売っているようなギラギラ感がどうしても苦手で、割り切らなければと思いながらも出来なかった。
私は結局、本選考でGDなしの企業しか受けなかった。逃げたわけだけど、それも一つの戦略だと思う。
私は極端だったにせよ、メンタルが壊れそうなぐらいGDが苦手な人は、自分の向き不向きに合った戦略的な就活をしても良いと思う。

大三夏 インターン。業界を広く見よう。

夏のインターンには計10社ほど参加した。
業界はバラバラで、教育、メーカー、鉄道、海運、介護、公的機関などなど。

早期化が叫ばれ夏インターンから囲い込みが始まるとか、夏に落ちたら本選考も望みが無いとか色々言われてた。
私は恐る恐るウェブテストの無いところや、難しくないとされるところを受けていたけど…
夏インターンはとにかく出して大丈夫!怖がらないで大丈夫!

ウェブテストもESも面接も初めてで本当に恐いけど、大丈夫。何回かやってたらこんなもんか、ってなるから。

それよりも色んな業界を見ていて欲しい。
消費者として生きてきた私には知らない世界が多すぎる。

就活を通して大事なのは、業界で大体が決まるということ。
ビジネスモデルによって、当然どうやって儲けを出しているのかが決まるわけで、
それによって年収も、働き方も、全部決まってくる。
キャリアパスもある程度ここで決まってくる。

だから、夏の段階である程度全ての業界について、どんな仕事をしてるのか、どうやって利益が出されているのかは知ってほしい。
社会人になって、どんな仕事をするにも、消費者としても知識になるから。

あと、この頃の私は初めて沢山の落選メールを受け取ってつらい思いをしていたけど、
本選考よりも秋冬インターンよりも何より倍率が高いのは夏インターンだから、気にしなくて大丈夫。気になるけど、落選できるのは応募した人だけなんだから自分を褒めてあげてほしい。

大三冬 近づく本選考。自分と向き合う時間を大切に。

秋冬は自分が何をしたいのか、ずっと悩んでいた時期だ。
この頃から早い業界では本選考が開始される。
やりたいことが分からなかった私は、選考を受けるのは無料だと言い聞かせて、興味のない業界の本選考も受けていた。

・テレビ局
メディア論の授業中にESを書き上げていたお陰でES通過。
テレビを見ない人間なので、面接前に必死で見た記憶。地方局だったけど、雑談ベースで雰囲気重視だった。いずれも一次落選。
・外資メーカー
穏やかそうな社風のところを選んで受けた。独自のテストが課されることが多くて、ちょっと面白かった。ゲームみたいなのとか心理テストとか…
いずれも面接1回目で落選。

とまあ、すぐ落選してしまったけど、向き不向きを知れたということや、何よりも早い段階で本選考を経験できたことは大きかった。

書類で落ちるよりも、面接で落ちるときの方が自分が否定されたような気がして辛かったけど、
でも、就活を終えた今だから分かる。
面接で落ちるのはあなたの価値がないからじゃない。
本当に、ただただご縁がなかっただけ。
面接官の、私を測るようなあの目は今も思い出すだけで心臓がキュッとなるけど、
絶対に、大丈夫だから。
怖いけど、面接官だってただの人。論理性とか未来志向とか言うけど、そんなの何年人間やってても、誰だって答えは知らない。
ただ、年を重ねて、そう見せるのが上手くなるってだけ。
だから、怖がらずに、私がどう思うのか、それを丁寧に振り返りながら、相手に伝えれば良い。

大四春 いよいよ解禁。最後は熱意。

ついに就職活動の解禁。
ここからが一番つらかった。

・三月はES、ウェブテストの嵐。
日系企業は締め切りが短いこともあって、すごく忙しかった。でも、ESやテストの時点では、選考後のことは考えられていなかったから、割と作業の感覚に近かった気がする。

・四月はそれらに加えて面接、企業研究。(友達の内定報告もこの辺りから)
初めて最終面接に進んだのもこの頃だった。
最終面接で落選だったから、本当に焦っていた。毎晩泣いて、寝付けなくなって、受験期以来の帯状疱疹が出るようになって、だんだんおかしくなっていた。母に電話をして話を聞いてもらうのが生きがいだった。

・五月は周りがどんどん内定を貰って、就活を終わりにしていて、それがつらかった。毎日何に焦っているのかも分からないくらい焦っていた。
体調の不調も加速して、生理が一カ月間も止まらなくて、就活のことを考えると動悸がするようになった。
就活、という言葉を聞くのが怖かったし、大好きなつばきファクトリーの就活センセーションも聞けなくなった。

どれだけ頑張っても、面接で上手く話せたと思っても、送られてくるのは落選メールだけだった。

そして、本命企業の選考開始。

でも、転機は五月末に急に訪れた。第一志望だった企業から、突然面談の連絡が入った。人事担当者との一対一の面談。
チャンスを掴むんだと意気込んで面接対策を入念にしていったけど、最初から最後まで雑談だった。
また落とされるんだなと直感して泣きながら電車に乗ったけど、諦めきれなくて、人事の方に感謝と熱意を伝えるメールを送った。

そのメールがどう評価されたかは分からないけれど、3日後に電話が来て、一次面接スキップの旨と二次面接の日程が伝えられた。
面接はなんと2日後だったから、いくつか選考を辞退して対策に集中した。二次面接が一番の鬼門だと言われていて、端的に答えることが求められると聞いていたけれど、
自分の思いを伝えきれないまま落選したら一生の悔いが残ると思って、
端的という言葉は意識せずに、思いの丈を自分の言葉で伝えた。
その言葉はきっと冗長で、聞くに堪えないものだったと思う。
でも、自分でも驚くことに、私は二次選考を通過した。
(きっと退室前に役員に必死で頭を下げたお情けだ。)
最終面接は、会社のトップとの面接だった。
人によって何を聞かれるかは本当にバラバラだと聞いていたから、
志望動機や学生時代のことに加えて、国際情勢やら業界の未来やら、
社長の著書やらを必死で研究して対策した。
ここまで来たら執念だと思った。
震えながらノックをして、面接室に入った。
礼をして顔を上げると、社長は驚くほど穏やかな目をしていた。
開口一番で自己紹介と志望動機を2分で求められ、話し終わると、
社長は私が対策してきたような質問とは全く異なることを聞いてきた。
それはとても哲学的で、難しい質問だった。
言葉に詰まりながら答えると、社長は静かにうなずき、大変よく分かりました。ありがとうございました。と言った。
すると隣にいた役員も私に向かってありがとうございました、と言った。
まさかと思ったが、これで面接が終了だった。

別室で人事の方から内々定通知書を貰った時、初めて耳にしたその響きに、ああこれが内定というものか、と思った。
事実を理解できなくて、ただただこれで解放される、とだけ思った。
ぼんやりした私に、人事の方は内々定の事務説明をして、これからどうぞよろしくお願いします、と言った。私は平静を装って精進いたしますとかよろしくお願いいたしますとか言っていたけど、どうやってエレベーターを出たのか、電車に乗ったのかよく覚えていない。

家に帰って家族に連絡を入れて、就活を終えた友達に報告すると、皆がおめでとうと喜んでくれた。それでも夢の中にいる気がして、信じられなかった。
だけど、夜、寝る前にふと机の上にある内々定通知書を見た時、
そこに印字された私の名前と、
 この度は選考に応募くださりありがとうございました、に続く
 貴殿を採用することを内定しましたので、通知いたします。
の文章に涙があふれて止まらなかった。

ありがとうございました、に続くのはいつだって誠に残念ながら…の文字列だった。
お祈りの文字以外が続くことなんてあるんだ、と本気で思った。
選考に応募した時からこれまでのことを思い出して、無謀だと思ったけどあの時選考に応募して本当に良かったと思った。
夜中に一人で声を押し殺して、震えながら泣いた。
就活をしていて初めて涙が温かいと感じた。

ここからが始まり

内定を貰って、ようやく私はそこで働く権利を得た。
だけど、それだけにすぎない。
ただ、スーツを着ることに慣れた程度の学生だ。
経験も能力も、何もない。

大事なのは、内定を貰ってその先、社会人としてどう社会に貢献できるのか、ということだ。
内定を貰ったから人より優れているというわけでは全くない。

企業が一人の学生に内定を出す時、およそ二億の予算が動く。
だから基本的に企業側がすべての采配をもって就職活動は進んでいく。
簡単に辞められないよう、慎重に、企業は学生と対話を進める。
それが就職活動。
企業側の視点から考えれば、これがどれだけ「ご縁」によるものか分かるはず。

それでようやくこの人とならと思った時に、企業は内定を出す。
一学生の私はそれだけの覚悟を持って、行動しなければならない。

私にはなにが出来るだろうか。
ここからが本当の本番だ。


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