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研究者だってアイドルができる。そして逆もまた然り。

「人の人生を笑うな」
今回のミスiDのキャッチコピーの一つであるが
笑わないためには多くを知らないといけないし、無知であることの自覚も必要だ。研究なんておわりのない世界だし、掘れば掘るほどきっと病んでいく。
ただ、知を探求するという行為の美しさというものはあるし、
それを少しでも発信できたら私は今回ミスiD2020に大学院1年の夏休みを捧げて本当によかったと思う。

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私は今大学院に属しているのだが、しばし将来は研究者になるの?と聞かれる。答えはならないである。

ただ、研究者であることを諦めずに社会に出て行く予定ではある。
つまり、研究という営みを社会に出ても続ける気持ちは強く、そういったように社会には研究活動には全く関係のない、民間の企業に勤めながらも研究活動を行なっている人だっている。

そのような大学に属さない民間の研究者は「在外研究者」と定義されており
近年ちょっとしたブームを巻き起こした 荒木優太著「在外研究ビギナーズ 勝手にはじめる研究生活」でも在外研究者について取り上げている。

要は研究を趣味行為として行い、研究活動をより広義に捉えた言葉である。
ただやはり、研究者という肩書きを名乗る以上特定の眼差しを向けられてしまう。研究=大学機関という結びつきがまだまだ強い日本において、どこにも属さずに研究を行うという行為そのものが不自然に感じられがちなのであろう。

それに加え、とくに文系の研究者なんて一体全体なにをしている人なんだ?と思うだろう。つまり大学院生を含め、研究者の生態というものはまだまだ広まっていないし広めようとしている人も少ない。研究者として学術機関という隔離された空間に自らを縛り付けている人が多い。

だからこそ研究ってめちゃくちゃ楽しいってことを伝えたい。
自分で立てた問いにたいして、究極的に突き詰めて考える。もちろん辛いし孤独だし、投げ出したくなることもあるけど、世界にちらばっている様々な思考一つにまとめてモデル化し一般化したうえで世界に届けられる。

自分の好きなことを根拠をもって堂々と発信ができるのだ。
そんな素敵なことができるのが研究者なのである。

私自身は高校時代から”kawaii culture”つまり日本から対外に発信されるkawaii文化に興味もち、様々な活動してきたのだが、自分の興味を一つの形にまとめるために研究に落とし込むに至った。そして今大学院にいる。

ただ、kawaiiの研究なんて社会に対してなんも役に立たないじゃないかと思う人ももちろんいるとおもう。とりわけ人文学者を含め、文系の学者というのはそのように捕らえられがちなふしはある。

しかしそれは、研究という行為の過程を見ていないから言えることであると思っていて、それをきちんと伝えられたら、そのまなざしを変えられるように思う。

研究者は、一つの成果物に至るまで、自ら「問い」を立て、それを1〜3年間研究し続ける忍耐力と覚悟、日本語のみならず多言語の文献論文などを読み込む高レベルなリサーチ、調査力が必要だ。それに加え複数の統計データを重ねながら、裏どりをしたうえで改めて自分の文章として再構築していく。ほかにも文化人類学であればフィールドワークを有することを多く、例えばアマゾンの奥地の集落で1年間一緒に過ごしながら研究する人もいる。
今回はほんの一部の研究者の事例を紹介したまでであるが、それらの経験を通じて得た知見やノウハウは「研究者」の一言でまとまるようなものではないと思う。

だからこそ、私は自分が好きな「研究」という行為を行う「研究者」という肩書きそのものについてもっと知ってもらえるような活動をしたいと思い、ミスiDの応募に至った。

ミス iD2020 セミファイナリストの1人として、アイドルとして、私が活動したこと、例えば日々のツイートであったり、セミファイナルの部屋で3部限定論文を配ったりと、研究者として異なるフィールドで戦ってはみた。その結果、社会からの研究者に対するまなざしを変えられたかわからない。

しかし少なくとも、研究者に対する門戸をこじ開けるくらいはできたのではないだろうか。研究という営みに対して何らかの新しい価値観を植え付けられたのならば、私はミッションを着実に果たせている。

もうすぐミスiD2020のセミファイナル期間は終わってしまう。
そしてこの舞台が私の伝えたい世界を伝えるのに適していた場であるかどうか正直なところわからない。ただ、そんなのやってみないとわからないし、研究者としての私に少しでも世界に発信をするチャンスをくれた運営の方々には感謝の雨だし、
なによりかわいいを哲学しようとしているアイドルが他にもいるということを知れたことだけでも私の世界は大きくひろがった。アイドルが研究者をしていたのだ。そんなこんなであと数日のSF期間を悔いのないように過ごしたい。

研究者だってアイドルができる。そしてその逆も然りなのである。

タカダレナ

Photo credits to
@joe_infinity (Twitter)



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