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Pentax SPFの分解

ペンタックスSPFのメンテナンス方法です。
ほとんどペンタックスSPと同じですが、露出計の動作や巻き戻しクランク部分がSPとは異なります。
参照: Pentax SPF, KMの代替プリズム


露出計の確認

露出計を動かすには、まず電池を入れてください。
底板の電池蓋を外して、LR625を入れます。

ペンタックスSPFは、Super-Multi-Coated TakumarおよびSMC Takumar(ひっくるめてSMCタクマーと呼びます)の場合は、レンズを付ければ露出計が作動します。

Super Takumarの場合は、装着しただけでは露出計は動きません。
マウント脇のスイッチを上に上げる必要があります。
また、レンズがない時もスイッチを上げれば露出計は作動します。

トップカバーの分解

この機種に限った話ではありせんが、分解中は裏蓋を開けたまま作業します。
スクリーン清掃後に再度チリが入らないように、分解前にあらかじめモルトは除去しておいて下さい。
巻き上げレバー→巻き戻しクランク→シャッターダイヤルの順で外していきます。

カバーのイモネジを3本緩めます。

イモネジを緩めたらカバーを上に抜きます。

フィルムカウンター盤の上のマイナスネジは逆ネジです。
右に回していけば、最初カウンター盤だけ回りますが、そのまま続けるとカウンターは止まってネジが回ります。
いつもの癖で、左回しにすると簡単に折れます。
また、組み上げで戻すとき強く締めすぎると折れます。
これだけ書いても、だいたいみなさん一回は折ります。

カウンター盤の隙間にマイナスドライバーを差し込んで外します。

このリングも逆ネジです。結構硬いのでペンチ必須です。

リングを外した後、下の金具を上に抜きます。

金属板のリングを止めているネジ3本を抜きます。

金属板の突起が、本体側と組み合っているので、ネジを抜いただけでは外せません。

ペンチを外したネジの穴2つに刺して、上側の金属部だけを30°位回してください。
*押しまわしているわけではありません、金属部分だけスライドさせてます。

この状態にしたら、レバーと一緒に上に引き抜きます。

レバー下のプラスチックを外します。
このパーツは、組み戻す際に裏表が逆になるとシャッターレバーの戻りが悪くなります。

巻き戻しクランクを外します。
フィルム室内の二股を固定しつつクランクを回してください。

内側のリングをペンチ回します。

カニ目を緩めたら竹串などで回します。
いつまでもペンチを使っていると傷つくリスクが増えますし、遅いです。

いろいろパーツが組み合わさっていますがまとめて上に抜きます。

玉が乗ってます。
なくさないうちに回収してく下さい。

シャッターダイヤルを外します。
中央のカバーを先の丸いペンチで外して下さい。

中にバネが入っているので吹き飛ばさないように注意して下さい。

カバーが取れたら、バネ→ダイヤルと上に抜いていきます。

トップカバーを止めている3本のネジを外します。

分解に必要なパーツはすべて外したので、トップカバーを上に引き抜きます。

レリーズボタンの下の金具が分離するタイプもあります。
その場合は、知らぬまに落とさないように注意して下さい。

赤丸で囲ったパーツは、乗っているだけです。
これも無くさぬ前に回収します。
また、組み上げの際に忘れずに戻し下さい。

補足:*上記のパーツがトップカバーに張り付いているタイプもあります。

プリズムの取り外し

プリズムを外していきます。
プリズムの頭を押さえている金具→横のイモネジの順で外します。
左右についたスプリングは、そこそこ固いのでピンセットではなくペンチで掴んで外すほうが楽です。

スプリングの入っていた位置を覚えておいてください。

プリズムを左右から押えているイモネジを片方緩めます。

プリズムを上に引き抜いてください。

ボロボロのモルトは除去と後処理が必要です。

マイナスドライバーなどを使い劣化したモルトははぎ取って下さい。

スクリーンの清掃が終わったら、トップカバーをシャッターを切れるよう仮組みします。
カメラを、横や逆さでシャッターを切ったり、底板を叩いたりして、隠れ潜んだカスをスクリーンに出し切るようにします。

再度の清掃後、プリズムを戻します。

組み戻し

スプリングの戻し位置

スプリングの下先は、画像の矢印先にある丸い穴に入れます。
見えずらいですが、目視で確認できるはずです。

巻き上げレバー

巻き上げレバーのプラパーツは、はめる位置と表裏があるので意識して戻して下さい。

中央のリングは結構斜めに入ってしまいがちなパーツです。

道具などを使うのではなく、真上から親指で回してやると真っすぐ入れ易いです。逆ネジなことお忘れなく。

カウンターは、シャッター2回切り、0と▼を合わせてイモネジを締めます。
▼そばのイモネジから始めると、締めてる最中にカバーの位置がずれなくて良いです。

巻き戻しクランク

まず玉をもどしましょう。
上のカバーは2つ開いた穴の部分が玉の上に載るように戻します。
多少ずれても調整可能です。

シャッターダイヤル

ダイヤルの穴が本体側の突起に入るように戻します。
また同じ穴に、ASA感度の盤についた突起を入れるようにして戻します。

上からシャッターの速度盤をかぶせながら、中央のネジを回していきます。

ASA感度盤がうまくはまらないことが多いです。
少し浮かしつつ、突起部分を微調整して組み合わせてください。

最終的に、リングを持ち上てダイヤルを回した時にASA感度の目盛りが変化していればOKです。
うまくはまっていないときは、目盛りが動きません。

各不具合の対応

不具合に関してはほぼSPと共通します。
低速シャッターの改善以外は同じ処置で回復します。
*SPの各不具合の対応と重複する内容があります。

ミラーアップの改善

シャッターを切ったときに、ミラーが上がったままになることをミラーアップといいます。
もともとそういう機能があるカメラもありますが、ペンタックスSPやSPFは不良でその症状が発生することが多くあります。

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