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一眼レフの検品方法(ペンタックス SP)

ペンタックスSPの動作確認をします。
確認項目は以下の通りです。
①シャッター(高速 低速 バルブ)
②タイマー
③フィルムカウンター
④露出計
確認方法は機種によって変化しますが、項目自体はほとんど一眼レフに共通するものです。

シャッター確認

まずはシャッターが正常に切れるかどうかチェックします。
①レバーを巻き上げます。
*状態が悪いとこの時点でレバーが動かないものもあります。

②レリーズボタンを押します。
「ガチャン」という音がすればOKです。

「シュルン」とした音が鳴った時は不良です。
大抵はミラーが上がりっぱなしになって、元の位置に戻っていません。
ミラーアップという不良です。

正常であれば、シャッターを切った後のミラーは開いています。

よくある症状
ミラーアップ・・・ミラーが上がりっぱなしで降りない。
シャッターロック・・・巻き上げレバーが巻けない。
幕が途中でとまる。

低速シャッターの確認

高速ではシャッターが切れても、低速にすると切れないことがあるのでチェックします。
シャッター速度を1秒にして先ほどの同じくシャッター確認を行います。

よくある症状
ミラーアップしてしまう。
シャッターがやたら早い。
低速のジ~って音が消え入りそうでとても長い。

高速シャッターの確認

シャッターを切った際、正常であればその瞬間はシャッター幕が完全に開いた状態になります。
しかし、幕の動きが悪いと、完全に開き切らないことがあります。
低速では、開いている時間が長いのでそんなことは起こりづらいですが、高速になるにつれ発生しやすくなります。
その為、高速でシャッター幕が開ききっているかのチェックをします。
①シャッターダイヤルを最高速(1/1000秒)にする。
②フィルム室を開ける。
③マウントを光に向けてシャッターを切る。
この時に幕が完全に開ききり、幕部分に四角く光が見えればOKです。

正常であれば、一瞬ですが幕が開き切ったこの状態になります。
実際は、残像として見えるだけです。

うまく開き切らず、幕が残ってしまうことがあります。
この場合、幕の一部分が欠けたように見えます。

一瞬しか幕は開いていないので、何回かシャッターを切ってよく確認してください。
わかりずらければ、シャッターダイヤル1000と500で切ってみて、光の見える大きさが違ったら幕が開き切っていないということです。

バルブの確認

バルブというのは、レリーズボタンを押している間、ミラーが上がったままになる機能です。
①シャッターダイヤルをBに合わせる。
②レリーズボタンを押しっぱなしにする。
ボタンを押している間はミラーが上がっていて、離すと同時に下に降りればばOKです。

よくある症状
レリーズボタンを押し続けているのに、ミラーが下がりシャッターがきれてしまう。

フィルムカウンターの確認

巻き上げレバー上にある、フィルムカウンターをチェックします。
正常であれば、一回シャッターを切るごとに、目盛りがひとつづつ進んでいきます。そして、裏蓋を開けた瞬間に"0"より2個前の位置に戻ります。
①シャッターを数回切り、カウンターが連動しているか確認
②裏蓋を開け、目盛りのリセットがかかるか確認

よくある症状
リセットがかからない。
リセットするのがゆっくりでぎこちない。
10回以上とか、何回か切った後だとリセットがかからない。
目盛りの開始位置がおかしい。
目盛りが動かない。
一回で2回分目盛りが進む

タイマーの確認

シャッター動作が一通り問題なければ、タイマーの動作チェックをします。
動作が正常でないうちに、タイマーをいじると、うんともすんともいわなくなることがあるので注意です。
①シャッターを巻き上げる。
②タイマーレバーを下に回す。
③タイマーのボタンを押す。

タイマーの操作手順は機種によって様々です。
SPはタイマーのボタンがありますが、シャッターのレリーズボタンがこれを兼ねる機種が比較的多いです。
よくある症状
タイマーが途中で止まる。
タイマー音が息も絶え絶え。
タイマーボタンが押せない。
押したボタンが押し込まれたまま戻ってこない。

露出計の確認

露出計とは何ぞやという方もいるかもしれませんが、ファインダーをのぞいた時に見える針のことです。
正常であれば、明暗に合わせてこの針が上下します。

露出計は電池を入れないと動作しません。
カメラの底板部分に電池蓋があります。
結構硬い時もあるので、力がかかり易いように500円玉やコインオープナーで開けてください。
10円とかで無理に開けようとすると溝がけずれて、最後永遠に開かなくなります。
裏蓋開かない場合→参照: Pentax SPの露出計改善

LR41電池を入れます。画像では座りがいいように電池の周りにゴムリングを付けています。
+がボディ側です。
蓋を戻しますが、表面に緑青を吹いているような状態だと通電しないので清掃してから蓋を締めてください。

ASA感度とシャッター速度を設定します。
確認の際は、どんな機種でもASAは100固定でいいです。
シャッター速度は1/125や1/60が振りが分かり易いです。
この設定は毎回同じにし、さらに確認する場所の明るさも同じでチェックしていると動いているかのチェックだけでなく、感度の強弱も分かるようになります。

最後に、SWとかかれたスイッチを上に上げます。
これで露出計が作動します。
あとは、明るい方を向いたり、暗い方を向いたりして露出計が上下に振れているかチェックをします。
なお、シャッターを一度切るとこのスイッチが戻り、それに合わせて露出計も停止します。

以上で最初の検品は終了です。
この後、外観の清掃やモルト交換、場合によってはトップカバーをはずしてもファインダー清掃を行います。

最終チェック

メンテナンスが完了したら、レンズをつけた状態で動作チェックを行います。

シャッターと絞り羽根の連動確認

レンズを絞って、シャッターを切った際に、絞り羽根が閉じているかチェックします。
①レンズの絞りを全開ではなく絞る。*絞りはAUTOで
②低速でシャッターを切る。
設定した値通りに絞り羽根が閉じていればOKです。

露出計の確認

レンズを付けた状態で改めて露出計のチェックをします。
最初の設定は、検品時と同じです。
追加で、シャッター速度やASA感度を変え、それに連動して露出計が作動しているか調べます。

無限の確認

最後に無限をチェックします。
①レンズのフォーカスを無限に合わせる。
②カメラを持って窓際か外に行く。
③カメラのファインダー越しに遠くを見つめる。
ごくまれではありますが、ミラーがずれている等の理由で、無限でピントが合わない個体があります。
確認の際は、当然ですが、無限ズレのないレンズを使ってください。

以上ペンタックスSPの検品方法でした。

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