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本が好きなのに内容を忘れてしまうという悩みについて、ふと至った結論。

私は、わりかし本が好きだ。
超本好き、というような人と並べられたら、それは知識もないし世の流れも追えてはいないけれど。

だけど小説や自己啓発系(他に良い言い方はないものかと常々思っている。)、心理学や哲学、国際情勢についてなど、いろんな本が好きである。

しかし、読んだはいいが、内容はわりとすぐに忘れてしまうのは悩みでもある。


先日、知り合いの素晴らしい音楽家のソロリサイタルを聴きに行った際、プログラムに、尹 伊桑(ユン・イサン)の曲が盛り込まれていた。

イサンユン(という響きの方が私は馴染みがある為、そう呼ぶことにする。)は、日本統治時代の朝鮮で生まれ、主にドイツで活動した作曲家だ。

一般的に広く知られている作曲家ではないと思うが、私は学生時代、イサンユンについての本を一冊読んだ。そしてそう、もう内容は忘れた。

が、確かにそこに、イサンユンに対する親近感は残っている。
内容は少しも覚えていないといえど、一度でもイサンユンの生涯に寄り添ったということ、読みにくい本を一冊読んだということ、それによる自分ごと感。

その本の“感じ”、イサンユンの“感じ”は私の中に残っている。

イサンユンについて語るなんてことはもちろん、何一つとして説明できない自分はどうしたものかと肩身の狭いような思いだが、その“感じ”が残っているだけでも、その芸術に触れる際には手助けをしてくれるようには思う。


あんなに勉強したのに、忘れてしまって…と自分を責めるひとがいたならば、このことを伝えてみたい。

その残り香があなたの中にあればいい。


私はね、他にもシューマンやミヨーといった作曲家の本を熱心に読んだよ。

もちろん、中身は忘れてしまったけれど。

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