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立会演説文

寮の常任委員長に立候補するんで立会演説の演説文をかきます。

寮の常任委員長はわたしがやらないといけない。それを説明します。


世界はこれから激変する。結論から言うと、核兵器がとうとう動き出す。

閲覧注意。これより先、世界の衝撃的で過酷な運命と真実を知る覚悟のない者は、これより先を読んではならない。


「北朝鮮のミサイルは当たらない」

かつてはこれが当たり前の事実であった。

しかし時代が進むごとにいつのまにか北朝鮮の軍事研究が発達し、正確無比なICBMが開発された。

その結果、もはやテポドンは不用品になってしまったのだ。


当然、北朝鮮としてはテポドンを売って少しでもお金を取り戻したい。これまでさんざん海に沈めてきて大変な額のお金を失ってきたのだ。

しかし、闇サイトで麻薬を売買する悪い人たちはいるが、テポドンとなるとそれは不可能だ。


北朝鮮は困った。しかしそこで、テロリストが取引を持ち掛けてきた。

テロリストは潤沢なお金を北朝鮮に支払う代わりに、テポドンを引き取る、と言ってきた。

北朝鮮にとって願ってもない話。


しかし北朝鮮にすこし不安なことがある。

テポドンの開発に携わった研究者たちが「テポドンは標的には当たらないよ」と正直にいった。

万が一、テロリストが不満になっておこったら、北朝鮮であってもやっかいなのだ。

しかし、テロリストは「どこに落ちるかわからないのが良い」と言って譲らなかった。


結局、テロリストはテポドンを買った。おそろしい核兵器がテロリストの手にわたってしまった。

しかし問題が発生した。核兵器を起爆させる起爆装置をこわしてしまった。

落として画面が割れてしまって電源が入らなくなった。

ネットを見ながらバッテリーの交換などをやってみたがなおらない。


核兵器を爆発させるのに絶対に必要な起爆装置がこわれてしまったのだ。

核爆弾というのは正しく核分裂反応をおこさないと、爆発も何も起きない。

テロリストたちは叩いたりお湯をかけたりしてみたが、まったく爆発などしない。


せっかく買ったテポドンが何の役に立たなくなり、テロリストたちは窮地に立たされた。

しかしそれでも、テロリストたちはあきらめずに悪いことを考え続けた。

その結果「テポドンが爆発しなくても、アメリカ軍の兵船に落として穴をあければ、沈めることができる」というとても悪い計画を発案するに至った。


しかし計画が狂い、テロリストたちはテポドンを発射しようにも、ミサイルを発射するために必要な燃料が入手できなくなってしまった。

爆発することのないテポドンを飛ばすための燃料費の予算を、予算委員会が承認しなかったのだ。


「これ以上なにをすればいいのか」

いよいよ追い詰められた。

ところが問題はあっさりと解決された。

スカイダイビングのヘリコプターのパイロットに、偽札の賄賂を渡して買収し、テポドンを運んでアメリカ軍の兵船の真上までに操縦させたのだ。


作戦の決行日はクリスマスイブだった。その日はアメリカの国中が浮かれて国民が仕事に手がつかなくなる日。

米軍の最高司令官たる大統領も、職務を怠けてさぼりサンタさんの服を着てホームパーティーをしていた。

まさに米軍の油断をつき、一点突破に奇跡的に成功。


ヘリコプターから米軍の空母を目視。標的は米軍の空母。テポドンを投下。

しかしテポドンは命中せず、海の底まで沈んでいった。


テポドンを失い全てのお金を失ったテロリストは何もできなくなった。

そして何もしなくなった。


一方、日本はどうか。

日本は世界には内緒で核兵器を開発し隠し持っている。

そしてその核兵器は富士の樹海に隠されているのだ。


仮に一般人が富士の樹海で核兵器を発見したとしても、樹海で迷って生還することなどできない。

それにもし、戦争など起きずに核兵器が無用の長物になったとしても、メルカリで筋トレの器具として売ればいい。

こうして水面下で日本は核武装を進めて、ICBMを開発した北朝鮮と対等に戦えるようになった。


しかし、日本は地震が世界一よく起こる国で、もし富士山が噴火したら国が隅々まで壊れる。

近年は異常気象による、たぐいまれな強風が繰り返し起き、かつて京都駅ビルの天井がこわれさらに、年々台風の威力は加速的に強くなった。

鴨川が台風の大雨で氾濫しそうになり、寮生がTwitterに投稿することもあった。


ある日、強風によって富士の樹海にある核兵器が、富士山の噴火口に吹き飛ばされた。

富士山は活火山であり、その噴火口はとても不安定な状態だ。

そこに重量のある核兵器が落ち、そのはずみは富士山を大噴火させてしまった。


噴火だけでは済まなかった。核兵器がマグマの中で溶けていた。

核物質が溶けて溶岩が放射能汚染され、その火山灰を浴びると男子は放射能汚染されて子供が出来なくなってしまう。

富士山の大噴火による火山灰は日本中を覆いつくすので、国中の男子は国外に逃亡しようとした。


男子がいなくなればセクシャルハラスメントはなくなる。

しかし「男子が完全にいなくなるのも重大な人権問題だ」と訴える声もあがった。

結果、国連と連携して協力しあい、人権保護活動は前進していき、同時に一定数の女子も国外逃亡することになった。


さて、日本国外に脱出しようとするが、脱出しようとする人の数が多すぎて、船が足りない。

一方、我々の寮には、ペットボトルでイカダをつくる技術が蓄積されているので、亡命用のイカダを作り始めた。

さて、どこに亡命するか。朝鮮半島はダメだ。あそこでは日本人で毎日キムチを食べれない人は差別され、職が与えられない。


結論としてペットボトル製のイカダで向かう先はグアムとなり、みんな英語の勉強を始めた。

考えてほしい。寮生でそんなときにそんなイカダに乗る人の中で、わたし以外に英検1級を持ってる人なんていない。

なので望むか望まないからに関わらず、わたしが常任委員長をやらざるを得ないのだ。


一方、グアムに向かわずに朝鮮半島に亡命した人々もいたが、悲惨な末路を迎えていた。

日本では朝鮮半島の人に対する差別が絶えないが、その仕返しに日本人も差別されようとしていた。

毎日キムチを食べることができない日本人はやはり差別され、韓国に進出した松屋で働くしかなかった。


しかし松屋が雇える数にも限りがあり、多くの亡命した日本人は朝鮮半島で、動物園飼育員補助、という仕事に就かされた。

動物園飼育員補助、というのは飼育員と同様、動物園の動物を飼育する仕事である。

しかし一方、飼育員補助は飼育員と違い、動物のおりの中で生活を完結し、地震が起きようと何があろうと動物のおりの外には出ないのだ。

もちろん、人間と動物とでは必要な栄養が異なるから、適宜、ビタミンなどがフードに添加されている。


富士山が大噴火した結果、日本列島は徹底的に破壊され、富士山を中心とするドーナツ状の大きな島となった。

ドーナツ状の島の姿は人工衛星から写真を撮影された。

かつて「日本人は優秀だ」などと言ってた外国人は、人工衛星のドーナツの島の写真を見て、同じことを言うことはもうなくなった。


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