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パイロットとタバコ

こんにちは、あらいぐま機長です。
今日はパイロットとタバコについてお話ししようと思います。

気になってる人もいると思うんですよ。

『僕、たばこ吸ってるけどパイロットになれるのかな?』

実は僕も学生時代は喫煙者で、ずっとやめたかったけどやめられず

『このままでパイロットになれるの?』

って不安だったんですよ。
じゃあさっさとやめろって話なんですけどね、でも禁煙って難しいんですよ。

それでインターネットを使って色々調べてたんですけど、あんまりこういう情報って出てこないんですよね。

実際のところはどうなのか、話していきましょう!


喫煙者でもパイロットになれる

まず結論から言うと、タバコを吸っていてもパイロットになれます!

パイロットの健康系のことは全て『航空身体検査に適合するか』に集約されるんですけど、航空身体検査ではタバコを禁止していません。

実際の僕の周りのパイロットでも、タバコを吸う人はいます。

最近はタバコを吸う人も減ってきましたけどね。昔はコックピット内でも喫煙OKだったんですよ。

その時代を知っている先輩パイロットが言うには、機長がタバコを吸う人だとコックピット内が煙たくて辛かったそうです。
飛行機によってはまだコックピットに灰皿が装備されているものもあります。

ちなみに客室のトイレにも灰皿みたいなのがついてあって、それをみて『あ、タバコ吸っていいんだ。』って勘違いしちゃうお客さんがいるんですけど、絶対にダメです!
あれは火を消すためについているもので、今は機内は絶対禁煙です。

飛行機って、火災が一番怖いんですよ。外に逃げられないですからね。
消化器はいくつも装備してありますが、消化器で対応できないくらいの火災が起こってしまった場合に、飛行機全体が燃え上がるまで、20分しかなかったという実験もあります。

だからお客さんがトイレで隠れてタバコを吸って、それを隠すためにトイレに捨てられるのが一番怖いんですよ。

あそこに入っちゃうともう取りに行けませんからね。そのタバコの火がまだ燻っていたりしたら、とんでもないことになってしまいます。だから火を消すためのトレーが装備されてあるんですよ。

ちょっと話が脱線しました。
パイロットはタバコを吸っていてもOK、ではあるんですが、ちょっと怖い話があります。

不整脈のリスク

長くタバコを吸っていた先輩パイロットで、心臓の疾患で航空身体検査に引っかかって飛べなくなってしまう人が多いんですよ。

医学的な根拠はよく分からないんですですけど、タバコを長く吸っていると不整脈を起こしやすいのかな?

実は僕の知り合いの先輩パイロットがこれで航空身体検査に引っかかっちゃいました。
航空身体検査で心電図を見たお医者さんに、一言めに『ああこりゃダメだ』って言われたらしいです。

航空身体検査マニュアル

心電図ってパイロットが航空身体検査でよくひっかかるものの一つなんですけど、自分ではどうしようもないじゃないですか。

高血圧とかならまだ食生活とか運動とかで改善できるかもしれませんが、心電図をどうやったら改善できるのかなんて分からないですよね。

それに心電図って自分で見てもそれがいいのか悪いのか全然分からないですけど、上の例のようにお医者さんが見たら一発でわかるらしいです。

だからこれが怖いんですよ。
『最近心電図悪くなってきたなー』とかそういう前触れなしに、一発でアウトですからね。

COPDのリスク

そしてもう一つ、COPDっていうんですけど、慢性閉塞性肺疾患という病気があります。
これ、喫煙者の5人に1人がなるらしいんですよ。

タバコにより肺が悪くなってしまって、息切れしやすかったり、咳が出やすくなってしまうらしいです。

航空身体検査マニュアルでは、慢性閉塞性肺疾患は不適合とされています。

航空身体検査マニュアル

これも怖いですよね。
5人に1人ですよ。結構な確率です。パイロットはそれで飛べなくなります。
そこまでしてタバコを吸いたいか?って話ですね。

でも大丈夫、禁煙するとタバコによる害は大きく緩和されます。

利根中央病院HPより引用

だから結論としては、タバコを吸っていてもパイロットにはなれますが、その後フライトを長く続けるために、いやそれ以前に健康でいられる時間を長くするために禁煙しましょう!

今日はここまで、パイロットとタバコについて話しました。
じゃあまた次回!最後まで読んでいただきありがとうございます!

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