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ミジンコの街で

教科書に出てくるミジンコがとてつもなく大好きだった。

あの丸いお腹部分のまるっこさとか、足がちょろっとしているところとか、手がびよーんと長いところとか。中でも一番好きだったのはあの何を見ているのか見ていないのかわからないようなつぶらな瞳。

めちゃくちゃカワイイよね~


と思って、さっき画像を検索してみたら、想像上のミジンコよりもたいそう可愛くなかったので悲しくなった。

あれ。おかしいなぁ。全然可愛く見えない。

可愛くは見えないけど、ミジンコは昔見たミジンコと何一つ変わっていないような気がする。まぁ、こんな数十年で進化して変形するようなヤツではないなので、変わってしまったのはワタシの目なのか脳なのか…。


気を取り直して。


ミジンコだけが住むことが出来るミジンコの街。

水中にあるこのミジンコの街は、初代ミジンコ王「ミジンコオ」の像を中心としてレンガ造りのおうちが立ち並び、たくさんのミジンコが住んでいました。

ミジンコオの像の目の前にある、赤いレンガでできたミジンコハウスの2階では、今日もモノミジンコが窓の外をぼんやりと眺めていました。

「あぁ~今日もいい天気だなぁ。あ、おはよー」

窓の外ではジミジンコがぴょこぴょこと泳いで通り過ぎようとしていましたが、モノミジンコに気付き手を振りながら窓の方へ寄ってきました。

「おはよー。あれ?モノミジンコは今日もお休み?」

「うん、まだ上手くできなくってさ…」

窓を開け、ジミジンコに向き合いながらモノミジンコは寂しそうに答えました。

「そっか。モノミジンコは昔っからバタフライ苦手だったもんね。でも、クロールは上手いんだから無理にバタフライしなくてもいいんじゃないの?」

「でも僕はジミジンコたちみたいに、バタフライをしたいんだよ。仲間にはいりたいんだよ」

モノミジンコはますます寂しそうになりました。

「でも、トリミジンコはバタフライじゃなくて犬かきだけど、そんなこと気にせずにどんどんいろんなことをしてるわよ?モノミジンコも気にせずに一緒に行きましょうよ」

ジミジンコはモノミジンコにそう言いました。

「一緒にしないでくれよ!」

モノミジンコは家じゅうに響き渡るくらい大きな声でジミジンコに叫びました。

「あ、ごめん。大きな声出しちゃって…」

ますます寂しそうな顔をしながら、モノミジンコは言葉を続けます。

「だって、トリミジンコは仲間みたいに振舞っているけど、本当はミジンコじゃないじゃないか。僕はアイツと違ってミジンコなんだよ。だからバタフライができたらもっともっと…」

そこまで言い黙ってしまったモノミジンコ。

そんなモノミジンコを見たジミジンコはモノミジンコにこう言いました。

「気持ちはわからなくもないけど、モノミジンコはモノミジンコでいいじゃない。トリミジンコだって、仲良しなんだし、トリミジンコはトリミジンコでいいじゃない。ミジンコって呼ばれているんだから、別に小さなこと気にしなくたって、みんな違ってみんないい!でしょ?」

「ジミジンコ… ありがとう!そうだね、クロールだっていいよね!僕も行くよ!」

眩しい笑顔をジミジンコに向けたモノミジンコは、出かける用意をして玄関へと素早くクロールして行きました。

そんなモノミジンコの背中を見送りながら、ジミジンコは微笑みました。

「モノミジンコったら。ふふっ。
モノミジンコだってミジンコだけどミジンコじゃないのにね」


終わり

‐‐‐

ミジンコミジンコと連呼したかったのでミジンコの街でした。

-----cast-----
モノミジンコ → カイミジンコ
ジミジンコ  → ミジンコ
トリミジンコ → ケンミジンコ

となっています。ミジンコってついているけど、それぞれ形も泳ぎ方も違っていることを知れてよかったよかった(←

しかも、ケンミジンコはミジンコっていう名前がついているにもかかわらず、ミジンコではありませんだそうで二度びっくり。


(/・ω・)/ ミジンコアタック



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